繋がる-ハル・ジャンヌSide-
敵に突っ込んだジャンヌをすんでのところで止めたのはハルだった。
「何やってるんだ!一人で戦って勝てると思ってるのかっ!」
怒鳴られて、ジャンヌはグッ、と下唇を噛んだ。
「そんなこと…勝てるなんて、思ってませんよ!私なんかが敵うはずないじゃないですかっ!」
「だったら…!」
「でも…!私は、これしか出来ないから……剣術だってそんなに上手じゃない。頭が良いわけでも、特別な能力があるわけでも…」
そう言って項垂れるジャンヌを見て、ハルはジャンヌの頭を乱暴に撫でた。
「何も出来ないのは俺も同じだ。でも、自己犠牲なんかで助けてもらっても、誰も嬉しくない。それは忘れるな」
自己犠牲…?
確かに私は自分が犠牲になって皆さんを助けるつもりでした。
でも…でもそれは、ハル様も一緒ではないのですか?
あなたが作った薬から生まれた私達は、あなたのことが手に取るように分かります。
あなたは今、あのお嬢様を助けるために命さえ投げ打つ覚悟でココに居ます。
でもそれを、あのお嬢様は喜ばれるでしょうか?
自問自答し、ジャンヌはフ、と笑う。
「分かりました、ハル様。しかし、自己犠牲をするなというのは、ハル様にも言えることだと思います」
そう言うと、ハル様は目を見開いて私を見る。
「だから、お互い再びあのお嬢様の元に戻ることが、私達共通の目標ということで、どうでしょう?」
そう笑いかけると、ハル様はニ、と笑って、言いました。
「いい根性してるな」
鉄パイプを握りなおし、再びハルは前を向く。
「一人で戦ってるんじゃない。さっき言ったばかりだろ?」
「…そうでしたね」
その通りです。
私は独りで戦ってるんじゃない。
「では、ハル様」
「あぁ……行くぞっ!」
戦いましょう。
皆さんのために。
私の、ために。
『――天照君』
その時、目の前の敵が口を開いた。