表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AA  作者: 碧乃苑
13/46

約束



「お兄ちゃん、なの?」


震える声でもう一度尋ねると、少年は心利の髪を撫で、言った。


『心利』





「ハル様っ!」


硬直状態の俺の意識を戻したのは、馬に乗った少女だった。


「お前…確か心利と一緒にいた…」


「はい、ジャンヌといいます」


名前を聞いて、グッと体に力が入る。

そんな俺の様子を見て、ジャンヌはふ、と笑う。


「安心してください。私達は見方です」


「私、達…?」


「は、ハルく~ん…置いていくなんて酷いじゃないかぁ」


間抜け声に振り向くと、ヘタレと和服の男が後ろに立っていた。


「お前達も、文字化けか。

 …いいのか?」


問うと、ジャンヌは小さく笑った。


「私達はただの“文字化け”

 ここに在るのは(・・・・)、ただの思い(・・)です」


そう言いながらも、ハルはジャンヌの震える手を見て溜息をつく。

恐くない、はずがない。

一度死んでいるからといって、死という恐怖に耐えられるわけではない。


否、 “死の恐怖を知っているからこそ”、その恐怖は更に増大する。


「では、ハル様。シンリ様を連れて逃げてください」


馬を操りながらそう言ったジャンヌ。

しかし、背後の気配は消えない。


「ハル様?いったいどうし…」


振り向いて、目を見開く。

そこにはさっきまで倒れていた心利の姿も、京という男も福沢様も居なかった。

居たのは、鉄でできた棒を握り締めるハル様だけ。


「どうして…ハルさっ」


「勝手に一人で戦うなんて決めるな!」


「え、あ、はい!」


その勢いに、つい返事をしてしまう。


「心利のことはヘタレと和服に頼んだ。俺はここでコイツを足止めする。

 …一人で戦うのは、恐いだろ」


「っ…」


零れそうになった涙を押し込める。

一人じゃないことが、ここまで楽なんて思わなかった。


「いいか。俺達の役目はあくまで“時間稼ぎ”無理はするな」


「はい!」


腰の剣を引き抜き、構える。

もっと早くこの方達と出会えたなら。

そしたら――


手綱を引き締め、前を見据える。

右手に持った剣が、陽光を反射して輝く。

「ハッ!」という掛け声とともに、走り出す。


敵に向かっていくというのに、不思議と恐くはない。


ハル様。

無理はするなという約束、さっそく破ります。

心残りはありません。

だって、一度私は死んでいるんですから。


ただ、また会えたなら――



「もう一度、友達になってください…」







はい、久しぶりの更新です^^

思いっきり死亡フラグ立ってますが気にしないでください←

やっと“文字化け”という単語も出せて満足です。

いちおうこの章のタイトルだったりします。AA~文字化け編~と私は言ってたり…

ここまで読んでくださりありがとうございました!^▽^



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ