リスン・トゥー・ミー
中学3年生、15歳の天音雫です。
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。
文字通り地獄のような光景にルーカスは頭を掻きむしった。
「ノアの奴、10年前のあの悪魔を捕まえていたのに報告しなかった上、自分のおもちゃにしていたなんて…!」
正気を疑う。
この少年が悪魔であることはノアもわかっていたはず。
それなのに何故逃がし自制の聞かない状態にしてしまったのか。
大地が再び揺れてビルの窓ガラスが砕け落ち、道路に亀裂が走る。
ルーカスは深い溜め息をつく。
あれもそれもこれも全部、悪魔を冥界から呼び出そうなんて考えた馬鹿な父親のせいだ。
父親の目論見は半分成功し、半分失敗した。
愚か者の父は今も特設病院の一室のベッドで横たわっている。
一方の息子2人がその悪魔を冥界に戻そうと躍起になっていた。
この悪魔を冥界に送り返さなければ危険だ。
いつあの命令を思い出すかわからない。
いやむしろ思い出しているのかもしれない。
ノアは両手を上げた。
「聞いてくれ、リアム。
俺は君に危害を加えるつもりは一切ない。
俺の弟が君にひどいことをしたみたいだな。
すまない。
俺からも謝る。
リアム。君は、故郷にー冥界に帰りたいんじゃないのか?
こんな窮屈な人間界ではなく。
俺は君が冥界に戻れるように手はずを整えよう。
そして、レンや他の子達を助けると約束する。
その後にーーーー」
必死に語りかけるルーカスをリアムは手で制した。
「お前は」
静かな声音。感情を読み取れないその声にルーカスの背筋に冷や汗が伝う。
「お前は零を投げた。
………モノみたいに、扱った」
「ご、誤かいー」
「僕の大切な仲間を」
その瞳がすっと細められる。
「それだけで十分だ」
「零なら無事だ!ほら見てくれーー?!」
振り返り目を見開く。
そこに零はいなかった。
少し離れたところで蹲っていたはずのレンもいない。
一体何処に。
周囲に目を走らせたその一瞬が致命傷だった。
眼の前を黒い何かが横切った、と思った瞬間、地面に組み伏せられる。
ルーカスの上にリアムが馬乗りになり、ルーカスの首に手をかけている。
力を入れられれば間違いなく死ぬ。
死を間近に感じるルーカスの耳に銃声と獣の声が聞こえる。
恐らく向こうでノアがレンと零相手に善戦しているのだろう。
ここで負ければノアに嘲笑われる。
ルーカスは力を振るって背中にリアムの翼に手を伸ばした。




