ラブ・ドーナツ
中学3年生15歳の天音雫です。
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。
リアムは人の目に怯えつつも、皆に食べ物を、という意思だけで何とか都市の中を進んでいた。
銀髪を隠すようにフードを何度も被り直し、できるだけ足早に歩く。
フード付きパーカーのポケットに入っているのは、脱獄寸前にノアから奪ってきたお金だ。
リアムはそれを手で弄りながら考えた。
果たして、何を買っていくべきなのか。
栄養があるものが良いのだろうが、リアムに栄養の有無の知識はない。
かと言って皆の好物も知らない。
そんなリアムの鼻を、甘い匂いが掠めた。
「こ、この匂いはまさかっ!」
匂いのした方向に駆けていき、
「や、やっぱり!」
リアムは都市の中でもかなり有名なドーナツ店に辿り着いていた。
「ぼ、僕の好物……だけど良いかな……?」
しばし葛藤したあと、リアムは謎の意思を固めて店内へと入る。
そこでキラキラしたドーナツに目を奪われつつも、たどたどしく人数分購入する。
ショーケースから店員が、ドーナツを出している間、視線を彷徨わせていたリアムは、見覚えのある人影を見つけ、目をしばたかせた。
その人物は、店内のイートインスペースの角の席に座っていた。
無機質な、黒い瞳。
ガラスのように透き通った白髪。
纏っている異質な空気。
「ーーーーーー零?」
思わず、リアムはその名を呼んだ。
零は一瞬、こちらを見た。が、直ぐに顔をそらした。
しかし、リアムは見逃さなかった。常人の4倍の視力が、零の右手首の裏側の数字”04“を捉える。
(あれ、零って……“00”だったから、ノアに零って言われたんじゃなかったっけ……人違い、かな?)




