偽物
中学3年生15歳の天音雫です。
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。
黒煙と炎の中施設中を駆け回り、挙句の果てには子供たちと獣達に追い回され、何度も死を覚悟した。
ーーーー、一緒に、ショーをした、仲間達、だった。
否、仲間ではない。
仲間と思ってはいけなかったのだ。最初から。
仲間だと思っていないつもりだった。けど、甘かった。
ショーのメンバーは、今回の“脱獄メンバー”以外は全てノアのいいように改良された紛い物、偽物、つまりはロボットのようなものだ。
そこに命は宿っていないし、当然感情も宿っていなかった。
それを最初から知っていたレンは、思った。
こいつらは脱獄するときにノアに動かされて、ノアの“命令”俺たちを捕まえようとするだろうと。
なぜなら、彼らは、ロボットであり、必要とあらばいつだって、ノアの忠実な下僕と変わってしまうのだから。
彼らの目に、レン達は「一緒にショーをした仲間」なんていうようには映っていない。
ただショーに必要な見世物の生き物としか映っていない。
それを分かっていたから、レンは“脱獄メンバー”に彼らを入れなかった。
もし彼らに命があり、ノアに動かされていなかったのなら、レンは彼らも連れて脱獄しただろう。
ーー例え、それで、脱獄の難易度が上がったとしても。
そんなことをぼんやりと考えながらレンは己の体力回復に努めていた。
気の抜ける会話をするニナとリアムとは対照的に、ルイとメイは、二人仲良くお互いの肩に頭を預けて座り込んで眠っていた。
まだ幼い二人に、一晩中走って施設から逃げるなどという無茶をさせてしまった。
しかし、一晩中逃げなければ、走らなければ、ここには辿り着けなかった。
ここは、都市。この国で、一番、人も、物も、情報も、色々なものが集まっている場所だ。
レンたちは今、その都市の中にある薄暗い路地裏の廃れた建物の影に隠れていた。
この雰囲気の悪い路地裏に入ってくる者は誰もいない。
昼間だというのに薄暗いこの路地裏には、まさに脱獄してきたレンたちが見つからないように隠れるのに最適の場所だった。
それでもレンは確信があった。
あいつが、ノアが、自分の獲物を、商品を、みすみす逃すはずがないと。
必ず、追ってくるはずだと。その執念を、レンは知っていた。




