武装人と物騒連絡
中学3年生、15歳、天音雫です。
明日からまた投稿する頻度下がります、すみません。
何かと至らない点があると思いますが読んでいただけると嬉しいです。
「…………はぁ?」
相手の間の抜けたような声が聞こえる。
しかし依然として相手は姿を見せてくれない。
ノアは両手を顔の前に出し無防備だということを相手に知らせながら一歩前に進む。
「ほら丸腰だよ?
ねえ、僕と取引しない?」
また一歩先の見えない裏路地の深くへと進む。
ーーーー実際には、ノアは全くの丸腰ではなかった。
ノアの着ている服のポケットにはそれぞれ銃が一丁ずつ合計二丁入っていて、ズボンのポケットには小型のナイフが合わせて4本、さらにロングブーツの内側にもナイフを二本潜ませていた。
むしろ完璧に武装している。
しかしそんなことは露知らず相手はノアに対して警戒心を弱めた。
暗い路地裏を相手が持つライトが照らす。
相手の男の姿があらわになる。男は目の前にライトを突き出して聞いた。
「お前……何者だ……それに、お前と取引したところで俺に何の得があるっていうんだよ」
ノアはしてやったりと一気にその男との距離を詰めた。
「まあまあ、それは……あなたは聞くことができないでしょうね?」
「は…………」
意味のわからない応答に男の思考が停止し無防備になったその一瞬を、ノアは逃さなかった。
上着のポケットから銃を一丁取り出し男に向かって穿つ。
パンっ!パンっ!
重厚な銃声音が、2発分、暗い路地裏に響いた。
「ぐ、ぁ…………?」
男は大声を上げる間もなく地面へと倒れた。
その体から大量の鮮血が溢れ出している。
撃ったのは、この男の肩と腹。
たった2発でも肩と腹くらいを適当に撃っておけば放っておけば人は大量出血ですぐに死ぬことをノアは知っていた。
頭を撃てば、それ以上に、直ぐに死ぬことも。
「ふははっ、ごめんねぇ、商人さん?」
笑いながら愛銃を撫でてポケットへと戻す。
【3番地の裏路地に潜む商人を殺せ。】
ノアの脳内で零のマイクロチップに刻まれていた1つ目の命令が蘇る。
「ふは、ふははははははっ、あはははははっ!」
こらえきれなくなり薄暗い路地で一人狂笑する。
「っ………ぁ……だ、誰か、っ、た、す、たす、けっ……」
男が呻く。助けを求める。
その嘆願の声すらノアの異常さに掻き消される。
その時、バイブレーションの音が響いた。
ノアはスマホを取り出す。画面に映し出された名前を見てすぐに【応答】をタップする。
「あぁ、もしもし?元気ぃ?」
スマホの向こう側から聞き慣れた不機嫌そうな声が聞こえてくる。ーー否、相手は実際に不機嫌だった。
「お前、もう定期連絡の時刻を過ぎてるだろう!何をやっていたんだ!」
「えぇ……………そんなに怒んなくてもいいじゃん〜〜」
電話越しに唾が飛んでくるんじゃないかと思うほどの剣幕で怒鳴る兄にノアは呆れた。
「お前はな……なぜどうでもいいときに連絡してきて大事なときに連絡してこないんだ?!」
「ごめんってばぁ……」
物凄い剣幕で怒鳴りつけられ、ノアは思わずうんざりする。
「ちょっと立て込んでたんだってばぁ、ごめんってぇ〜〜」
「…………次は、ないと思え。」
聞いたことのないほどの低音で脅されてノアは思わず笑いを堪えた。
「はいは〜い、気をつけまぁ〜す!」
「……………貴様……」
スマホの液晶の向こう側からとてつもない殺意が漂ってきてノアは慌てて話題を変える。
「そ、そっちは順調なのかなぁ〜?」
「…………はぁ、順調、順調だよ、」
「あははっ、良かったぁ!」
男がうめき声をあげる。。
ノアの電話相手に助けを求めようとする。
「ぁ…………た、たすけて、くれっ………!!」
ノアは男を睨みつける。しかし、遅い。
「…………そこに、誰かいるのか?」
「ん〜………ちょっと、ね……」
零の代わりに殺したやつが目の前にいるなど口が裂けても言えない。そうなれば全て水の泡だ。ノアは笑って曖昧にぼやかした。
「…………ああ、“また”ショーのに出してる奴らをいたぶってあそんでたのか」
「あ、うん、そ、そうなんだよねぇ〜む、夢中になっちゃっててぇ〜」
ノアはこれ幸いと相手の勘違いに乗っかる。と同時に、スマホから一旦顔を少し離して、
「…………黙れ」
倒れている男を右足で踏みつけた。
「っ……ぁ……」
男は微かに苦鳴の声を漏らすことしかできなかった。




