10年前のあの出来事
14歳の中学生が書いています。
何かと至らない点があるかと思いますが、読んでもらえると嬉しいです。
彗寧セイネイ10年。
政府に所属する、1人の男がいた。
その男は、表では誰にでも優しく完璧に仕事をこなす逸材であり、優秀な人材として政府内でも世間でも評価されていた。
しかしその男の心のうちは黒く染まっていた。
すべてを壊したい、その思いに突き動かされて政府に入り周りから褒め称えられた男は、政府に入って4年後に行動を起こした。
ー国を混乱に陥れる事件を起こした。
政府の中には、重要機密事項の一つとして、とある書物が保管されていた。
世に知れ渡ってはいけない、禁じられた、作者不明の書物。
それは、この世界と“冥界”と呼ばれる、悪魔が住まう世界を繋ぐ方法、そのための儀式が書かれていた。
政府はそれを、鍵付きの金庫の中に、誰の目にも、誰の手にも、触れることがないように、誰の耳に入ることがないように、極秘に保管していた。
しかし、男はそれを知っていた。政府内で築いた信頼と評価をもとに、男はその金庫をあけることに成功した。
そして誰にも知られぬままその書物を金庫から持ち出す。
誰にも知られないままに、穏やかで平和な通常通りの日々が流れていく中で、男は政府の仕事の合間に時間を見つけ何度もその書物を読み、内容を頭に叩き込み、儀式に必要なものを密かにかき集めた。
そうして3年が立つ。準備を整え終わった男はその日、行動を起こした。
誰もいない路地裏で儀式を行う。呪言を唱える。そうして、男が最後に呪言を唱え終わった瞬間、鮮烈な光が空間を切り裂いた。
それとともに、男の目の前の空間の一部分が捻れる。
男はその光の眩しさに目が眩み成功したか否かがわからないままに意識を失った。
成功すれば、冥界から繋がりここへ来た悪魔が、命令通りすべてを壊してくれるだろうと、思いながら。
街中を照らした白い旋光に政府は何が起こったのかを悟る。政府は総動員で街中を駆け巡った。
そして路地裏で倒れている男を発見した。その男の腕には、あの禁じられた、金庫の中に封印していたはずの書物があり。男の目の前の空間は一部分だけ、歪み、ねじれている。
その時政府は、すでに手遅れになったことを知った。悪魔が、この国に解き放たれてしまったのだ。
あれだけ評価され、信頼されていた男の手によって。政府は絶望した。
そしてその時居合わせた政府の特殊部隊の長官の女が、すべてを一変させた。冥界を開いた代償と、その連帯責任という大義名分で政府の役職の一切から、男を排除し、女だけの政府を作った。
男など、政府に置けば次は何をやらかすのか分からないから、信用などできないと、強引に。
政府に所属していた男達は問答無用で退職にされ、冥界への扉を開いた男は、そのことさえ知らないまま、病院へと運ばれた。
そうして政府は、特殊部隊や最新技術を使い、解き放たれてしまった悪魔を躍起になって探したが、ついぞ見つけることはできなかった。
その悪魔が、全てを壊すように命令されていることなど知る由もなく。
そうしてその、女性だけの政治体制は、10年たった今もなお、変わらずに続いている。