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巨大機神マギア、出撃す

「ならば、私に世界の恨みをぶつけなさい。女体に欲情して犯し尽くすのもよし、満足するまで殴りつけるもよし、好きにするといいわ。ただし満足したら、マギアに乗るのよ」

「お前……」

「私は世界を守るために、地位も名誉も捨てた! 王国からは追放されたという名目で姿をくらまし、この地の底で何年ものあいだ世界を守ることだけ考えて生きてきた! 今さら失うものなどなにもないわ!」


 フェリカの堂々とした立ち姿に、気づけば俺は圧倒されて……そして笑っていた。


「ははは……ッ! がはははははははッッ!!!」

「なにがおかしい?」

「面白れぇ女だ。そこまでやるかよ、普通……」

「凶悪犯がよく言う。で、どうするの? 抱くなら早くして」

「バカ言うな。童貞は愛した女に捧げるって決めてんだよ」


 俺は素っ裸のフェリカの腕を掴んで、


「行くぞ。世界を守るのには興味ねぇが、お前の覚悟の先になにがあるのかが気になった」

「ええ、期待外れにはさせないわ」


 フェリカは静かに頷き、そのまま駆け出した。






     ◆

 俺はマギアマシン1号機っていうモン(魔法の乗り物みたいなものか?)に乗り込むことになったわけだが、その途中で地面に横たわる血だらけの男たちを見つけた。

 死んではいなかったが、これから先なんらかの不自由を背負って生きていくことになるであろう重傷だ。

 フェリカは彼らが正規パイロットの予定だったマナレスたちだと語った。

 おそらく俺は“最後の手段”ってヤツだったのだろう。

 そりゃ誰だって凶悪犯に世界の命運は託したくないさ。

 コックピットとかいう、教会の懺悔室(ざんげしつ)の足元からレバーがいくつも生えてきたようなところに乗り込むと、目の前にフェリカの顔が浮かび上がった。


「うぉっ!? なんだこれ!? お前どこいるんだ!?」

『私は今、マギアマシン3号機のコックピット内よ。これは通信ホログラムというもの』

「つ、つうしん……? まぁいいか! で、どうすりゃいいんだ!?」

『起動はこちらで行う。あなたはしばらくそのままじっとしといて』


 じっとする、か……なにげに難しい注文してくるぜ。


『あなたって疑うことを知らないのね』

「あ?」

「普通、超幻獣の正体とか、存在をなんで知ってるんだとか……もっと疑うはずでしょ?」

「さぁな。細かいことは気にしねぇんだ。何事も信じてから考える。騙してくるなら容赦はしねぇが、騙されるまでは信じぬくってな」

『そう……』

「とはいえ後で教えてくれよ。そう言われちゃ気になるぜ」

『ええ……後で、ね』


 そうこうしているうちに起動準備が完了したようで、壁のアームが動き始める。

 同時にコックピットが大きく揺れ、目の前になにやら見覚えのない言語の羅列が浮かび上がっていく。


『マギアマシン1号機、2号機との合体完了。3号機、ドッキング開始――《領域魔法:ユナイト・サンクチュアリ》』


 3号機に乗るフェリカが魔法を詠唱すると、周囲一帯が光に包まれていく。


『コックピット内マギア・エネルギー遮断領域確保。合体保持領域確定――ドッキング』


 下のほうで金属同士が繋がる轟音がした。

 鉄が擦り切れ、火花が散り、動力炉にマギアエネルギーが点火されていく。


『合体完了! マギア――リフトアップ!』


 ダンジョンが大きく揺れると天面が左右に開いていき、アームと機体各所に浮かんだ魔法陣――重力系魔法で持ち上げているのだろう――がマギアの巨体を持ち上げる。

 王国の城下町を引き裂くように、地中のダンジョンから白銀の巨躯が腕を組んでせり上がっていく。


『あなたが乗っている1号機に操縦権がある形態が《マギア・ウィザード》よ』

「おぉッ! こりゃすげぇ!」


 俺の全身に緑色の超高純度のマナ、マギア・エネルギーが注ぎ込まれていく感覚があった。

 MPがゼロだった感覚が反転したかのように、全身がマナ……いやそれ以上の何かで満ち足りたような感覚に陥る。

 それは同時に、全身の血管に溶解した鉄が流し込まれているようなもので、体内から焼くような熱が湧き上がる。

 これがマギア・エネルギー……とんだ暴れ馬だぜ。


「がぁぁぁぁぁぁッ! 体ン中がマグマみてぇにドロドロになった感じだぜッ……! だがよォ……俺を殺すにゃ、まだ足りねぇな!」


 体内で脈打つマギア・エネルギーを抑え込んで、俺は叫んだ。


『適合しているようね。よかった……。ならば、マギアはあなた自身の体と一体化してくれているはずよ』

「おう! 自分の体が30倍の大きさになったような感覚だぜ! こりゃ使う魔法も30倍の大きさってか……!」

『そうね。じゃあ――』


 目の前に浮かぶ怪物、超幻獣を見据えてフェリカは言った。


『マギア内のデータと照合……敵超幻獣はタイプ:バハムートよ。やれそう?』

「ババァだか、ムスコだか知らねぇがよォ……今の俺たちは無敵だ! 負ける気がしねぇ!」


 目の前にステータスが表示される。マギアのものだ。



【名前】巨大機神 マギア・ウィザード

【職業】該当データなし

【HP】12000000 / 12000000

【MP】99999999 (Max) / 99999999 (Max)

【筋力】3500000

【技量】1560

【知力】1560

【敏捷】36336

【魔力】4000000

【耐久】5900000

【幸運】0

【称号】該当データなし

【装備】アキト・ルーベル

・スキル

《マギア・エネルギー発生源》

 無限大のマナ、マギア・エネルギーを常に発生させている。

《概念変化無効》

 マギアを対象としたあらゆる概念操作系魔法、およびスキルが無効化される。

《規格外の巨体》

 全長10m未満の生命体の攻撃によって、HPが減少することはない。

《未覚醒状態》

 この機神は未覚醒状態である。

 条件によってスキルが解放され、ステータスが上昇する。

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