ひかり
掲載日:2022/01/06
しっかりと、前を向いて、歩く。
……目に映るのは、田舎の風景。
長閑な景色、輝く太陽の光。
ああ、平凡な、日常だ。
私は、学校へと、向かった。
やや急ぎつつ、足もとを見つめながら、歩く。
……目に映るのは、街の風景。
煌びやかな景色、輝くネオン。
ああ、いつもの、日常だ。
私は、職場へと、向かった。
のんびりと、子供の手を引いて、歩く。
……目に映るのは、緑の多い住宅街の風景。
緑の多い遊歩道、街路樹の木漏れ日。
ああ、穏やかな、日常だ。
私は、公園へと、向かった。
ぽてぽてと、町内会会議の資料を片手に、歩く。
……目に映るのは、余分なものが浮かぶ風景。
晴れ渡る空に、キラキラと輝く飛蚊症の欠片。
ああ、老いが忍び寄る、日常だ。
私は、公民館へと、向かった。
ぼんやりと、孫に手を引かれながら、歩く。
……目に映るのは、少しぼやけた風景。
建物の外には、明るい光が溢れている。
ああ、眩しすぎる、日常だ。
私は、施設へと、向かった。
ぼんやりとしたまま、誰かに車いすを押されて、移動する。
……目に映るのは、なんの風景だろう。
私には、なにが光っているのか、わからない。
ああ、眩しい、眩しすぎて、なにも、見えない。
私は、目を、そらすことなく。
光の中に、とけて、いった。




