閑話6話 暗黒騎士エルンスト
閑話6話 暗黒騎士エルンスト
某はロザーリアの武人でデニス侯爵のエルンストと申す。
ローザリア王国時代は政治腐敗が進んでおり王子たちが血で争うようになってしまっていたのに失望して、 某は中央の政治争いを避けて領政に専念していた。
王子たちの争いが終わり第八王子のヨシュアが王になり、 腐敗していた官僚や貴族を次々と粛正を始めたのであった。
国王陛下は徹底した能力主義者で官民問わず能力があるものは次々と取り入れていた。そして、某は武人としてそれなりに功を挙げていたため将軍職を任されるようになった。 陛下は周辺国を平定するために自ら兵を率いて領土を拡張していき国号を帝国に改めたのであった。
しかし急速な改革は不満を持つものも大勢いたのも確かだった。 某もそれに付き添い各地を転戦して戦功をあげていたため、周辺国にも黒騎士の二つ名で呼ばれるようになった。
しかし、悲劇は起こった。領土拡張のためにシュトラール王国に侵攻を決定して、 かの国を侵攻するために隣国に工作を仕掛け、 兵力を二分に分断することに成功したので、誰もが勝てると思って攻め込んだ矢先に、 政変で死亡したはずの兄王子たちや粛正したはずの権力者たちが一斉蜂起して王城に攻め込んだのであった。
さらに侵攻していた30万の軍勢は補給物資の保管が悪かったのか? 痛みが早いものが多く食あたりを起こした兵たちで身動きが取れない状態だった。 しかも、あっという間に反乱で帝城は包囲され焼け落ちてしまい陛下は自害したのだった。 足止めされていた軍勢もまともに戦えずに敗退してしまい、シュトラールの同盟国のクリスベルからも宣戦布告を受け領土のほとんどを制圧されてしまうのであった。
ロギオンに残っていた有力者たちは北東部に集結してローザリア第二帝国として独立をしていたが、そのころのデニス領は包囲下にあり情勢は最悪と呼べる状況だった。
シュトラール・クリスベルから停戦協定を受けたため某も兵を引いて様子を見ることにしたが、
ロギオン周辺は第三王子アーサーの手により瞬く間に復興を始めて、国土がシュトラールに包囲されているデニス領は独立を保っていくのは絶望的な情勢にあった。
孫娘のティアが帰順を進めていたので、ティアとともにロギオンにいるアーサー王子と会談することになり。 ティアがアーサー王子の側室になることが正式に決定され、某は帰順することになったのじゃ。
なので、今はアーサー王子を主君として仰ぐことになったのじゃ。ティアを不幸にしたらたたき斬るつもりじゃがの。




