転生に気付いたが絶望した
私の名は……いや今の俺の名は『ミリアリア』家族や仲の良い友人は『ミリィ』と呼ぶ。
俺は、まあ……所謂『転生者』って奴だ。前世はごく普通の男子高校生だった俺だが、ある日トラックに轢かれてをこの世を去った。しかし、この世界に転生してから10年たったある日。俺は前世の記憶に思いだした。漫画やゲーム、小説なんかで見た異世界転生したのだと当初は喜んだ。この世界は魔法が存在し、モンスターや魔王なんかも居る。the異世界って感じの世界だった。
しかし現実は無常だ。俺は『村娘』だった。もう一度言おう『村娘』だ。前世男で転生先が女って、どういう事だよ!しかも役職もストーリーも何も絡みそうに無いポジション。
だが、俺は挫けなかった。女の身は兎も角、異世界転生したのならば冒険者になろうと魔法を学ぼうとした。モンスターや盗賊とかが跋扈する世界。必ず需要はある筈だと魔法の書を片手に頑張った。
その結果、擦り傷を治す程度の回復呪文と薪に火をつける程度の火の呪文を覚えた。
どうやら魔法の才能が無いようだと剣を持とうとしたら重くて持ち上がらなかった。女の子に転生したから腕力も年相応の物となっていた……俺は絶望した。
ならば技術チートに走るかと言われればそりゃ無理だ。農業系の学生とかならまだしも、俺は元々普通科の学生。農業の事なんかサッパリだ。
じゃあ商業系チートにするか?そんなん知るかよ。神様転生とかで知識得なきゃ出来るわけもない。
最後の手段として見知らぬ土地を開拓するか?某アイドルグループのリーダーじゃあるまいし、『農業や開拓の事ならワシに任せぃ』なんて言えるわけもない。
何も無い……そう、何も無かったのだ。ワクワクするような冒険譚も異世界転生で無双する様なストーリーも。俺はこの村でただの村人として過ごすのが確定した。
神よ、もしも居るならば何故、こんな無意味で絶望感に浸れる転生させたのだと貴方を呪いたい。