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ヤギな羊がスカートをめくる恋

作者: 儚い

この物語に出てくる扇風機は生き物みたいなものです。


 俺はヤギの格好をした羊だ、無論二足歩行だ。

 さて、今日も日課のスカートめくりといくか。


 俺は第2胃で扇風機を生成し、食道を通して口へと運び、咥えたまま扇風機のプロペラを回し風を吹かせる。


 「キャァッ!」


 その風で目の前にいた男子高校生のスカートをめくった。


 「よっしゃあ!やはり男子高校生のスカートめくりはこれだからやめられない!」


 「可愛い声出しあがるぜ!」


 俺は扇風機と一緒に喜びの声を上げた...が、


 「てめぇら!いい加減にしやがれ!今日という今日はもう許さねぇぞ!」

 

 男子高校生の怒りの声に俺たちは身の危険を感じ、すぐさま逃げる。


 ...が判断は遅かったようで俺たちの体にはすでに風穴が開けられていた。


 「ヒヒィィィン!!」


 俺は痛みのあまり鳴き声を上げた。


 「ブッブッブー」


 扇風機は快感のあまりウサギに似た鳴き声を上げたようだ。


 痛みはやがて引いていき、快感とともに意識が朦朧としていく。

 薄れる意識の中、俺は扇風機に語りかけた。


 「...今まで秘密にしていたんだが...俺、元々は人間で...全身黒タイツのやつに...中身は羊、外見はヤギに変えられちまって...今まで秘密にしてて悪かったな...」


 どんどん意識は薄れていき、扇風機は何かを語りかけているようだが聞こえない...

 俺は奇跡的に無傷だった第2胃を耳に変え扇風機の声を聞き取った。


 「ヤギって漢字で書くと...山に...羊なんだぜ...」


 そ、そうだったのか...知らなかった...


 そして俺たちは死んでしまった。


------


 気づけば扇風機と一緒に浮いていた。周りを見渡しても先の見えない暗闇がみえ、上を見れば神々しい光が俺たちを照らす。

 俺たちはどうやら逝くようだ。


 「...なぁ扇風機、いい人生だったな」


 「あぁ、お前の中に6ヶ月いたが...第2胃、暖かったぜ...」


 「中だなんて、そんな卑猥な...」


 「俺とお前の仲だろ?」


 「...なぁ扇風機、今日から毎朝牧草の味噌汁を作ってくれないか...?」


 「...告白と取っていいんだよな...?」


 「...はい」


 そして俺たちは神々しい光に包み込まれ...


------


 イソギンチャクとクマノミのような共生関係、彼らのそれの中には恋が芽生えていた。風を吹かせ、男子高校生のスカートをめくる日々の中燃え上がる感情...それは逝って訪れた空間でさらに燃え上がり、彼らは結婚を誓った...そして、











 後に離婚した。


 やはり恋は盲目、長くは続かなかったようだ。

 


激しい恋愛感情が続くのは12ヶ月から18ヶ月くらいだそうで、また恋愛中は相手の欠点が見えなくなってしまう...まさに恋は盲目です。ちなみに離婚する原因は性格の不一致や暴力、金銭問題など色々あるようです。

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