シーフードのド
舞台設定;カフェや学校内等、女子(女生徒)二人が自然に会話出来る場所
女1(ボケ)女2(ツッコミ)
女1「ねえねえ、前から不思議に思ってた事があるんだけど、聞いてくれる?」
女2「なに?」
女1「シーフードカレーってあるじゃない」
女2「あるね。私は嫌いだけど。カレーは肉派」
女1「貴女の好みはどうでも良いんだけど」
女2「えー。友達でしょ?」
女1「そうだけど、今は私の話を聞いてくれるって言ったよね?」
女2「言った、言った。カレーにあるまじき魚介を入れたやつ」
女1「あるまじき迄言わなくても。まあそれは置いといて」
女2「置かないでよ。カレーと魚介は」
女1「答えてくれる気、ある?」
女2「聞く。あの憎らしいシーフードカレーがどうだって?」
女1「シー風はいいんだけど、ドって何?」
女2「え?シーフー?」
女1「シー風よ、シー風。知らないの?」
女2「シーフードじゃなくて?」
女1「だからド、シー風のド」
女2「どはドーナツのど」
女1「れはレモンのれ」
女2「みはミカンのみ」
女1「ファはファランクスのファ」
女2「なんで古代ローマの密集陣形が出て来たの?」
女1「流れで。いや、だからね、知りたいのはシー風のドが何なのかよ?」
女2「シーフードはシーフーのドじゃなくて、シーフードだけど?」
女1「そうシー風ドカレー。シー風とカレーの間にある、ドが何かなって」
女2「シーフードのドはシーフードのドだけど、敢えて言えばd?」
女1「ちょっと訳が分からないんだけど、どうして英語が出て来るの?英語は前でしょ?」
女2「訳が分からないのはこっちなんだけど」
女1「だから、シー風の後に付いてるドの意味が知りたいの」
女2「英語が前で、後に付いてるドって、シーフーとドを分けて考えてる?」
女1「分けるも何も、Sea風でしょ?関東風とか関西風とか」
女2「何でそうなった⁉︎ 」
女1「海の具材が入ってるからSea風でしょ?」
女2「違うし。せめて魚介類って言ってよ」
女1「Sea風の具が入ったカレー。ドが間に入ってるでしょ?」
女2「違うし。大体おかしいでしょ。英語だったらドじゃなくて、the、じゃない?ドだとフランスっぽい」
女1「何とかド何とか」
女2「何とかと何とか」
女1「シャルル・ド・ゴール」
女2「何だっけ?」
女1「シャルルがゴールにドーン」
女2「絶対違う」
女1「ジャンヌ・ド・ラ・モット・バロワ」
女2「それは首飾りで死ぬやつ」
女1「ジャンヌが名前で、ドがフランスで、ラが新しい何かで、バロワが多分名字」
女2「新しい何かって何よ?」
女1「フランスでカレーと言えば、そういう名前の街があるわよね」
女2「そうなの?」
女1「上野の美術館にカレーの市民って像が飾ってあるもん」
女2「何でそういう事は知ってるのに、シー風になっちゃうのかな」
女1「ド・カレーだったら、カレーがフランス料理に」
女2「ならないし。フードだし。食品。海のフード。海のご飯」
女1「え?」
女2「シーフードで一つの英単語」
女1「そんな言葉があったかも?」
女2「あるから。自信満々にシー風連呼するから、そういう言葉があるのかも知れないとちょっと思っちゃったじゃない」
女1「でもさ、ドがフランスだと面白くない?」
女2「どこが?」
女1「国際的で。アメリカのシー、日本の風、、フランスとインドでド・カレー」
女2「海ってオーシャンとも言うわよね」
女1「入江みたいに囲まれてたり、大きな湖、イギリスに近いカリブ海とかカスピ海とかがシー。アメリカの左が太平洋で右が大西洋で、オーシャン」
女2「そこまで分かっててシー風になるのもおかしいし、地理を右と左で説明するのもどうかと思う」
女1「えー、結構みんな使ってるでしょ。右がアメリカで左がイギリス。上がロシアの右に伸びてるとこ。メルカトル的に」
女2「国によっては南が上だけど、メルカトル的に」
女1「そうなの?」
女2「そうなの。それとイギリスは北海やケルト海やアイリッシュ海に囲まれてるから、シー風を推したいなら、アメリカじゃなくてイギリスなんじゃない?」
女1「そっか」
女2「いや納得しちゃダメでしょ」
女1「とにかくドの謎が解けたから良かった。ありがとう」
女2「カレーに魚介を入れるのはダメだけどね」
女1「美味しいのに」
女2「それからさ、インドのカレーってカリーって言うけど」
女1「いやもう良いでしょ」
女2「じゃあインドカレー屋の店員がネパール人で、日本人向けにしたネパールのインド風のカレーを出してるって話は」
女1「もう良いから」
女2「はーい」




