騎士達
いつもより高い視線に戸惑いながらも辺りを見回す。
どんだけでかいホテルだよ!
どっかの貴族の屋敷をホテルにしました、とか。
海外で古城やお屋敷をホテルにするのもよく聞くからそんな感じだろうか。
アミューズメントパークのホテルにしては広すぎるのだ。
ぶつくさ呟きながらエリクのお姫様抱っこされているのも忘れて[考える人]のポーズよろしくずっと思考を巡らせていた。
部屋に着いたと思ったら他の衛兵さん達がドアを観音扉みたいに開けてエリクが真ん中を歩く。
思考を巡らせていた玲奈もそこでハッとする。
(えっ!さっきいた部屋!連れ戻されたー?!)
そのまま奥のソファーまで来たところで下ろして…
と思ったが抱きかかえたままエリクはソファーに腰掛ける。
「降りられますから!!」
多少乱暴に掴まれていた手を弾くように飛び降りた。
「美波の姉の、一ノ瀬 玲奈です。
あの…先程は失礼しました。
こちらの勝手もわからずに失礼なことがあったかもしれませんが…
女性の後を追って、剰え飛びかかるようなことがあるなんてこちらのホテルの警備はどうなっているんでしょうか?」
サッとビジネスモードに入り
握手をし、自己紹介と忘れずに牽制もする。
エリクはごめんごめん、と軽く謝りながら
「でも、美波ちゃんも可愛いけど、また全然違うんだねぇー。
髪の色や瞳の色も同じなのに。玲奈はこんなにセクシーで、やっぱり胸も大きいね。」
座ったままのエリクが握手をした手を引っ張って、あろうことかもう片方の手で自分の胸を触っている。
そんでもってニコッと笑う。
ニコッ。じゃない!!!
この変態!!!!
回し蹴りを喰らわそうとしたところで
ノックの音がする。
「...失礼する!先程は私の部下が無礼な働きを、、」
と言いかけたところで片方の胸を掴まれているこの状況を一瞥し
「......エリク.....貴様......!!」
めちゃめちゃ凄んでるこの人の額には青筋が浮き出ている。
栗毛色の髪の毛はさらさらで爽やかだけどくそ真面目そう。
「ぅわっ!まてまて!レオン!誤解だよ誤解!
お前も見ただろ?彼女が衛兵をホイホイ投げてたの!
あれの手ほどきをお願いしていたんだよ!」
エリクが慌てて苦しい言い訳をする。
「はい、嘘です。自己紹介と同時に握手を交わしたところでいきなり胸を揉みしたがれました。」
玲奈は表情を変えずにエリクを指差した。
「....教育が行き届いておらず、申し訳ない…。
私の名はレオン・ベルナール。君は……」
と、言いかけたところで悩んでいた様だった。
「あ ね です。」
年が離れているとは思うが最近は年齢よりも上に見られることも多い。
「あ ね の玲奈です。初めまして。」
冷や汗を浮かべているレオンさんとの握手の手は少し強めに握った。
くつくつ笑いを堪えているエレクを睨みつける。
「とにかく、妹と、美波に合わせてください。」
そう言いながら言葉がため息と混ざる。
(どうでもいいけどこいつらめっちゃめちゃ失礼だな!!!!!)