ジージョさんを探せ
相変わらずおねえちゃんのイビキがうるさくて目を覚ます。
「あぁ、懐かしいなぁ、、
イビキと歯ぎしり寝言の三重奏。」
そう美波は起こさないよう笑いを堪えながら呟くと姉のウェーブの髪を優しく梳かす。
そのまんま寝ちゃったんだなぁ、、きっとおねぇちゃん
またこんなとこで!って怒りながらベッドに運んでくれたんだろうなぁ。
って私お風呂も入ってないし!
いけないいけない、と慌てながら三重奏がクレッシェンドしかけたところの眠る姉を叩く。
「私、部屋に戻って支度してくるからおねぇちゃんは侍女さんが来るまで待ってるんだよ!じゃっまた後でね!」
「ぅあーうん、はい!はーい。」
なんて生返事している姉に後ろ髪を引かれつつも小走りで部屋を出て行く。
(誰だろう、ジージョって誰。)
そう思いながらグッと背伸びしてスプリングいっぱいのベッドから飛び跳ねるように降りる。
リュックの中の歯ブラシと歯磨き粉を持って洗面所へ。
「、、、、、、、、、、。」
リズムよく歯ブラシを動かしながら部屋を見渡すが
昨日夜で見えてなかったせいか朝日に照らされる部屋はとんでもなく豪華で厳かで緊張すら感じる。
まぁ、この部屋でご飯は食べないだろうな。。
それからビュッフェが楽しみ〜なんて鼻歌を歌いながら
美波やジージョさんが来るのを待っていたが
ケータイの充電やら受付に聞きたいことが山ほどあった。
ちょっと受付探して行ってみようかな、、。
「待ってろと言われて待ってられない奴いますよね?それ私です。」
誰に説明してるかもわからないが美波が出て行った扉を開けながらそう呟いた。
扉の両脇立っている2人の衛兵が一斉にこちらを見る。
(なにしてるんだろう、大変だなぁ、警備の方かなぁ?)
「...おはようございますぅ」
強面の2人が目を逸らさずにこちらを見るのでなんとなく挨拶してみたが
すぐにその2人が何かを言いながらにじり寄ってくる。
(おぉぉ?挨拶返事なし?
そして顔こわいんですけど!何か怒らせちゃった?!)
若干怖くなった玲奈は足取りが早くなる。
それがだんだんと小走りになる。
そしてトップスピードに。
(なんでついてくるのーーーー!!??)
2人だった衛兵がどんどん増えて気づけば7〜8人後ろに続いている。
「っくそぉ、、!こうなったら仕方ない!」
ぐりん!と180度回転して衛兵達に向き合う。
「.....!?」
息を切らしている衛兵達は急ブレーキで目の前の女と睨み合う。
先頭にいた衛兵が意を決して捕まえようと飛びかかる。
バターン!!
気づけば衛兵は一回転して天井を仰いでいた。
周りの衛兵達も何が起きたのか一瞬でわからなかった。
ハッとしてそのあとも1人、2人と飛びかかるが
またも
バタンッ!バターン!!
と大きな音を立ててひっくり返っていく。
そこで玲奈はハッとして
「もしかして、、この中にジージョさんいらっしゃいますか!?」
と慌てふためいていた。