夢の国
枕が違うとなかなか眠れない体質の玲奈は気を失ってから数時間後に目覚めた。
まだ朝では無さそうだった。
が、自分が寝ているベッドは天蓋も付いているし枕?もそんなにいらないだろうと思うくらいたくさん置いてあるし、とにかくでかいベッドだ。
どんな豪華なホテルに泊まってしまったんだろうと一瞬寒気がした。
たぶん妹がずっと憧れていた夢の国、、
そう、きっとあの夢の国にいつの間にか来てしまったんだ、と思った。
玲奈は〇〇ランドだとか△□スタジオジャパンとか一切行ったこともないので本当にわからなかったしそう言った娯楽に疎かったのだ。
暗い部屋で目が慣れてくるとベッドの端で座ったまま寝ていた美波の姿に気がついた。
(あぁ、もう、この子はまたこんなところで寝ちゃって。)
母にいつもかけられていた言葉をそのまま妹に思う。
よっこいしょ!とベッドの上に寝かせる。
美波が何故こんな服を着ているのかわからないけど夢の国だもんね、憧れてたのかなーこんなドレスに。
そしてこれプラス料金いくら掛かるんだろうなんて思いながら妹のためなら絶対奮発するつもりでいた。
あっ。
夢の国とか来ちゃってるし泊まってるけど
会社に電話しないと、妹見つかりましたって警察にも電話しなくちゃ。
そう思って辺りを見回す。
ローテーブルにキオスクのビニール袋とリュックが置かれていた。
スーツケースは見当たらない。
仕事のものがそちらに入っていたので少し冷や汗が出る。
まぁ出張帰りで飛行機に持ち込めるリュックと分けていたから直ぐに要る物はたいていこちらに入っている。
あった!ケータイ、、、は電波が届かないみたい。
とりあえず充電しておこう。
充電器を取り出してコンセントを探す。
それからずっと探し回ったけれど
探しても探しても見つからず受付に電話して聞こうにも電話もないことに気づく。
なんかおかしい?と思いつつ、
(夢の国ってば現実を見させない作りになってるんだ!)とことん作り込んでるそのプロフェッショナルな意識に感動すら覚えて床に着くことにした。
明日起きたらきっと美波が勝手を教えてくれるだろう、と信じて。