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孤独な捜索

妹が目の前から消えて三日が経つ。

その日は記録的な猛暑日で目が眩むような日差しが降り注いでいたことを思い出す。

連日続く猛暑の中日傘も差さずに一日中歩き回っている。

今頃お腹空かしてないか。寂しいって1人泣いてるんじゃないか。

本当はどこかすぐそこに隠れているんじゃないかとさえ思う。

だって目の前にいた妹が、忽然と消えたのだから。



3日前、私が3週間の海外出張から帰るにあたってバイト帰りの妹と駅で待ち合わせをしていた。東京の街はまだ慣れなくて路線図を見ては何度もケータイで検索して電車に飛び乗っている。とにかく人が多いのにぶつからずに真っ直ぐ決まった行き先に歩いて行く人々を見ては感心する。

駅まで迎えに来てくれた妹と合流しどこかお茶できる場所が無いか話しながら歩き出した。


大きなスーツケースを持っていた玲奈はチェーン店のコーヒーショップに入ることを躊躇したからだ。

どこかゆっくり腰を下ろせる場所を、と駅から30分ほど歩いた頃、雑居ビルの下に看板を見つける。

“純喫茶ルーブル”

黄色のパトロンがついた小さな看板を指差して美波が手招きする。なかなか渋いセンスだがもうどこでもいい、というほどヒールのあるパンプスが玲奈の体力を削る。

雑居ビルの隙間を抜けると飴色の屋根の小さな喫茶店が突如として現れる。ドアには可愛らしいステンドグラスとベルがついていて開けるとカランと呼び鈴の変わりもする仕様だ。

荷物が邪魔にならない様に玲奈はソファーの席を選び、美波は向かいの猫足の椅子に座る。

そこで2人でお茶をしていたはずだった。

トイレから戻ると美波の姿は無く、店主も不在。


「…え…っと…みなみ??」


静寂な店内で玲奈の飲みかけのアイスコーヒーの氷だけがカランと返事をした。


それから3日間、この重いスーツケースを引きずって東京中を探し回っているというわけだ。


きっと友達から連絡が来て、とかバイト先から急遽呼ばれて、とかいくらでも想像は出来るが妹に限って三日間も連絡をよこさないなんてことはあり得ない。

何故なら自分にとっても、美波にとっても、たった一人の家族だから。


玲奈の妹、美波とは10歳年が離れている。

大学生になった妹の美波は目に入れても痛くないのは大袈裟ではないくらい大事な妹だ。ねじ込まれても絶対に痛くないと断言する。

両親が交通事故で他界したとき、まだ美波は7歳だった。

その時17だった自分でも泣きじゃくる幼い妹を見て自分は何があってもこの子の父親であり、母親であろうと心に誓ったのだ。

それから田舎に住む祖母の家に引き取られたが、まだ子供だった2人には両親の残したわずかな貯金と保険金を切り崩すような生活しか出来ず、祖母の介護を親戚たちは放棄し、その姉妹に任せきりだったため裕福とは程遠い生活だった。


満足に遊びも連れていってやれなかったし、可愛い流行りの服も買ってあげたかった。

それでも妹は不満など一つも溢したことが無く、いつも優しく微笑むような子だった。


10年後祖母は亡くなり、2人の姉妹は田舎を後にすることとなる。

自分は東京に就職先が見つかり、妹の美波も晴れて東京の女子高生となる。


成長する美波はどんどん母に似て可愛らしく、近寄ってくる変態や不届き者を排除するのが大変だった。

妹を守るために合気道を習っていたのはご愛嬌。拳でわからせないといけない輩もいたのだ。

どんどん悪い方向へ思考が巡ってしまう。

あんなに可愛い妹が男たちが放っておくことなんて考えられない。まさか今ごろ、、


「みなみぃーーーーーーーー!!!!」


そのあと街の真ん中で叫びながら泣いている私は警察に職務質問されていた。




まだ慣れてなく、不備があったらすみません!

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