異世界だと知る
書き直しました。
___此処は何処だろう? それが僕が目を開けた時、一番最初に心に浮かんだことだった。確か僕達は教室にいたはずだ。しかし此処は教室ではない。確か教室の床に魔方陣が浮かび上がり、強く発光したのは覚えているのだが。
「おい、明人大丈夫か?」
いきなり話し掛けられ、少しビクッとしてしまった。振り向くとそこには隼人がいた。返事をしたが少し上擦っていた。
「ああ、大丈夫だよ。」
「それは良かった。それにしても此処は何処だろうな?」
隼人の言葉に、改めて周りを見渡す。部屋は広く教室のように四角形だということがわかる。壁には巨大な壁画が描かれている。その壁画には白いヒトガタが両手を広げ、自分の下にいる人達を覆うように守護している。その様子が描かれている。それだけではない。空を飛ぶ竜のような生き物や、たくさんのこの世の者とは思えない怪物達の上に立つ“何か”などが描かれていた。
僕が壁画の観察をしていた時、突然音が響いた。思わず、音が鳴った方向え目を向けると、そこにはお姫様がいた。それだけではない。よくよく見ればお姫様が入ってきた扉の周りには、ローブに身を包んだ人達がいた。その人達は、僕達に向けて杖を構えていた。僕達が唖然とし動かずにいると、お姫様は僕達に向けて声を掛けた。
「ようこそいらっしゃいました、勇者達よ」
___勇者?僕達がその言葉に疑問を抱いていると、お姫様は続けて声をあげた。
「皆様、困惑していると思いますが、まずは着いてきてください。」
そう言うとお姫様は僕達に背を向けツカツカと歩きだしてしまった。此処は何処なのか、あなた達は誰なのか、おそらくは質問をしようとしていた奴らは、少し呆けていたが、急いでお姫様の後を着いていった。僕ももちろん着いていった。
長い廊下を歩かされた。その途中暇だったので、お姫様の観察をしていた。分かったのは本当にお姫様ということだ。手入れされた長い金髪。仕立ての良い青いドレス。頭に載った小さいティアラ。歩く姿からも気品が感じられる。
此処は何処だろう?最初に目を開けた時、思った疑問だが、僕の中では答えがでかかっている。それは__
「此処です。」
気が付くと、僕達は扉の前にいた。その扉には豪華な装飾が施され、僕達に威圧感をあたえていた。
「この扉の先に、我が国の国王がいらっしゃいます。」
姫様の言葉に顔がひきつる。まさか、いきなり国王に会わせようというのか?
「部屋に入ったら、膝をつき頭を下げてください。王が良いと言うまで顔を上げてはいけません。解りましたか?」
僕は急いで首を振る。他の奴も首を振っている。姫様はそんな僕たちに頷くと扉の両脇にいた兵士と思われる人たちに声を掛けた。
「開けなさい。」
兵士は無言で頷くと扉開けた。姫様は歩きだす。僕達も歩きだす。そうして部屋に入ると、扉は閉められた。そこで僕達はさっき言われたことを思いだし、膝をつき頭を下げた。
「お父様、勇者達をお連れしました。」
....沈黙が続いた。僕達は頭を下げ続けている。だから王様がどんな表情なのかがわからない。それが怖い。
「面をあげい。」
僕達に声がかかる。僕達は恐る恐る顔を上げ、言葉を失った。王様はとても威厳があった。体格がよく、その眼は覇気で満ちている。頭に複数の宝石がはまった王冠を載せている。玉座は縁が金色で中のクッション部分が赤色だった。僕達が気圧されていると、王様は僕達に向け話し出した。
「お前達が勇者か...我はアロガンテ王国国王ベルク·T·アロガンテである。」
「そして私はアロガンテ王国第一王女レヴィア·T·アロガンテです。」
「お前達の名は?」
その質問に答えなければいけない気がした。だから、まためんどくさいことが始まった。他の奴が名前を言ってゆく。僕も言わなければならなかった。本当にめんどくさい。そして僕達の自己紹介が終わったら、また王様が話し出した。
「お前達を呼び出したのは私たちだ。」
「理由は簡単だ。魔王を倒して欲しい。その為に呼び出した。」
___嗚呼、やっぱり。その思いがよぎった。良くある展開だ。高校生が異世界に呼び出され、魔物と戦う。本当に良くあるが、まさか自分が巻き込まれるとは。
「何故ですか!どうして僕等何ですか!」
誰かが質問をした。
王様はその質問に律儀に答えてくれた。
「それは知らん。お前達が呼び出されたのは全くの偶然だ。むしろこちらが文句を言いたい。我らとしても、もう少しマシなのが来て欲しかった。」
...王様適当だなぁそう思った。
「じゃあ帰してよ!私たちを帰してよ!!」
また王様は答えた。
「それは無理だ。勇者召喚には誓約があり勇者は召喚された目的を達成しなければ帰ることは出来ないらしいぞ。」
ふざけるな!...思わず叫びそうになった。しかし我慢した。
王様は話を続けてる。
「協力してもらうぞ、勇者達よ。悪いが我々もお前達を召喚するのに結構な苦労をしたのだ。だから、我々の苦労分は働いてもらう。」
ガチャ
そんな音がした。周りを見た。鎧を着けた人達が僕達に槍を向けている。
脅しか...!僕は歯噛みした。
「悪いがしばらく牢屋で過ごしてもらう。準備ができたら呼ぼう。我々には準備というものが必要なのだよ。解るかね?」
そして僕達は牢屋に詰め込まれた。