15話
15話でした。
至らぬ点が多々あるとは思いますが、少しでも楽しんでいただけていれば幸いです。
ワシらは少し先に、神社の表にやって来た。どうやら葵は樹と話をしとるようじゃ、まったく樹は子供じゃのう。
「すまんがそれを置いて行ってくれんかのう」
「これ無しで九尾と戦うなんてのは自殺行為やぞ、そないな危ないことをわざわざせえってのか?」
「そうじゃよ」
「おい、天狗ワレどないした? 頭おかしいんじゃねぇか」
「やつは所詮実践も知らんような小物じゃ。安心せい、死ぬことはないじゃろう」
「そもそも、なんであの不貞腐れ野郎のためにこれを置いていかなきゃあかんのや」
「子供の手助けをしてやるのも大人の仕事じゃろ」
「は? あいつ十七ぐらいやろ、それを子供ってのはどうかと思うぜ」
はぁ、こやつも馬鹿じゃのう、やっぱりワシが一番の大人じゃな。さすがワシ、やっぱりワシ最強。
「人との関わり方というのかのう、うーん……まあ、そんな感じのところがまだまだ子供なんじゃよ。ちょっと喧嘩してすぐに不貞腐れて、そんな子供がちょっと素直になるために背中を押してやるのも大人の仕事じゃと言っとるんじゃよ」
「いちいち構ってられるかや、そないなもん」
「ワシらのときは散々迷惑掛けてもそれにいちいち、構って手を焼いてくれたものがおったじゃろ? 次はワシらがそうして手を焼いてやる番なんじゃよ」
「……」
「あんなの可愛いもんじゃしな、ワシらは山を半壊して神にまで出てきてもらったんじゃからのう」
「……」
「たのむ、それを置いていってくれんか」
ワシは深々と頭を下げた、もちろんこんな鬼如きに頭を下げるなどとても屈辱的ではあったが、こうして仲間のために手を焼いとると思えばさほど嫌な気分もせんものじゃ。
不思議じゃのう。
「……分かったよ」
やっと折れよったか強情ものめ、この苦労樹にどうやって返してもらうかのう。
「葵、はよう来い」
「今行きまーす」




