第4回 ホ別苺NS諭吉参、もしくはパパ活ママ活について
伊藤 かなこ(3?歳)英語教諭、生活指導担当、独身彼氏なし。
最近の悩みは、若白髪って言い訳できない生え際の白さ。美容院にも満足に行けないこと。
少ない休日も、家にいると怠けてしまうと、近所のカフェでパソコンを開いて仕事をするしかない。
教師として、あえてダサい恰好をするのが嫌だったけれど、最近は、気楽で良いやと割り切ってしまった。
「ふぅ。」
肩、凝るわね。
でもこれを今日中に終わらせないと、まだまだ終わっていない仕事に取り掛かれない。
ああっ、小テストも作らなきゃ。
――コト。
「お疲れですか? 伊藤さん。」
「……頼んでないわよ。」
「僕の奢りです。」
「ありがとう、加藤くん。」
行きつけのカフェでバイトしている加藤くん。大学生だって聞いた。でもまだ、未成年。
加藤くんがバイトを始めて1~2年くらいかな、最近は時々、頼んでいないコーヒーを届けてくれて、しかも笑顔までくれる。
つかの間の清涼感を齎してくれる。
「あまり根を詰めすぎないでくださいね。」
「ありがとう、でもこれを終わらせないといけないのよ。」
少しだけ、自分の身嗜みが気になって、そして少しだけ落胆する。
こんなおばさんが、何をやっているんだか。
そんなことより、昼前から夕方までずっと、ひとテーブル埋めたまま、金払いも悪い客に嫌な顔ひとつない加藤くんに癒される。
はぁ……。仕事仕事。
*** ***
「あっ、伊藤さん。」
「はい?」
加藤くん?
帰り道、呼び声に振り返れば、走ってきたと言わんばかりの様子の加藤くん。
「どうかしました?」
「いえ、今日、というか、日曜は早上がりで、いつも伊藤さんのちょっと後に帰ってたんですよね。」
「そうですか。」
「今日は追いつけました。」
にへら、と笑顔が暖かい。
「こら。こんなおばさんを、困らせないの。」
「おばさんじゃ、ないですよ。」
「?」
「伊藤さん、綺麗だと思いますよ。」
え。
「ふふっ、お世辞がお上手。」
ドキッとさせないで。
「……これから、スーパーですか?」
「ええ、そうよ。」
「ついていって、いいですか?」
「え、と。どうして?」
「僕も、夕ご飯を作らないといけないですから。」
*** ***
……どうして、こうなったのかしら。
「伊藤さん、こういうお店によく来るんですか?」
「たまにね。」
「料理、美味しいです。」
加藤くんが近くの大学に通っていて、私の家から近いところに下宿してることを聞いたときは、まだまだ引き返せたと思う。
話のタネに何を作るのか、聞いたのが間違いだったかしら。
なぜか、加藤くんが私の部屋に来るとか来ないとか、そういう話になって、さすがに今、部屋をみせるわけにもいかないから、知ってるお店に行くことを提案した。
……本当に、どうしてこうなったのかしら。
加藤くんが、だって美味しそうに食べるんだもの。
この前まで高校生だった子なのに、すごく礼儀正しくて、なのに、ちょっと擽るようなことを言ってくれて。
見てるこっちの方が気分が良くなるくらいペロッと食べていくのが面白くて。
顔を合わせれば愚痴ばっかりの、先生方との飲み会にうんざりしてたし。
何より、私のコミュニティも、彼のコミュニティもお互いがお互いのことに詳しくないから、無責任にご飯だけ楽しめるのが、すごく心地いい。
「そう。良かった。」
「ほら、笑った。」
「え?」
「伊藤さんの笑顔、僕は好きですよ。」
……ええ、そうね。
ママ活とか、姉活とか、ハマる気持ちもわかるわね。
私が払いたいと思うことで、加藤くんには存分に楽しんでもらいたい。
それを眺めるだけでいい。
ああ、何だったら、「お早う」から「お休み」までを、支えたいわ。
……本当に、どうしたら良いのかしら。
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答えは、出ませんでした! ごめんなさい!
きのこさんからのお便り『ヘイヘイDJちょっと聞いてよ!「出会い系で男を誘う女子・またはママ活に精を出す男子。それに対する大人の対応」どう思います?? 心と体、両面からの考察してよね!』
大人の対応……ジャンルで分けると、乗り気かそうじゃないか、相手を求めているのか求められたいのか。多分ですが、パパ活やママ活・姉活と呼ばれる、性行為が絡まないものって、求められたくてやってるんだと思うんですよね。それは、乗り気かどうかに関係なく。
頼りにされたい。もしくは、頼られたりするのがくすぐったい感じ。
ええ、わんこです。
下手に年上の相手に媚びる子が良いわけではなくて、この子のパトロンは私・俺だぞって、思いたい、というか。
だから、ぐいぐい迫ってくるものの、あるところでピタッと止まって、こっちが対応しやすくしてくれると好都合って感じでしょうか?
でも、ねぇ……♡ って、吐息をかけられたら、話は変わってきますね。
私の周りは、一足早く大人に教育を受けに行った子とかが、いないような環境でしたので、想像するしかですね。
おそらくですが多くの子は、市場原理的なものが絡んで、安売りに転じた結果じゃないかと思うんです。
というのも、お話して、ご飯食べて、それでお金がもらえるなら、たぶんそこで終わらせると思いますから。それ以上を求めるのは恋愛感情か、もしくは一部のおませさんが興味津々の場合でしょうか。あと腐れないですからね。
出会い系のサイトがあって、同じような目的の子が集まって、相場が出来ちゃってるんですから、ある種の集団心理的なものが働くんじゃないでしょうか。結局、何かしらの理由で、お金が欲しいんですよ。自分の価値を確かめたいというのも含めて。
まあ、体験していないことをアレコレと書いてもむなしいので、大人の対応に話を戻しましょうか。
さっきの大人の対応のジャンル分けで言うなら、乗り気で相手の子を求めてることになると思います。大人が乗り気じゃないのに、相手の子が身体を差し出してくる場合は、少なからず恋愛感情が絡んでいるので、その対応は、皆さん、大人になるか、大人げなくなるか、決めてからにしましょうね。
さて、乗り気で相手の子を求めてる大人の皆さんは、市場原理が働いている出会い系サイトについて、理解できているでしょうから、極めて打算的な行動を取るべきでしょうかね?
仮に、その場に恋愛感情を持ってきても、需要も供給もないので、トラブルしか起きないでしょうから、やめた方が良いですね。
とすると、そういう、初々しい子を求めるのは、純粋に、大人のお姉さんでは満たされないという、性癖をお持ちの皆さんですよね?
このように考えますと、そういう経済活動が無くならないのも当然のことだと思いますね。
なので、パパ活・ママ活とか言って、身体を売らないように止まっている子の方が、まだ健全かもしれませんね。少なくとも、パパ活・ママ活市場という身体を安売りしなくてもいい市場を開拓したわけですから。この市場に参入している大人は、求めることじゃなく、求められることを主目的にしているので、ちゃんと住みわけができていますね。
さてさて、こういうふうに、あと腐れが少ない関係性を築く世間の闇は、システム的にはわかりやすいような気がしてきました。
ところが、そういうのとは関係ない闇がいっぱいありますよね。
人間関係の圧力とかを使った、性関係ですね。
そこで、MCきのこさんにお尋ねしたいのは、「女性から関係を迫る場合って、どんなプレイに走りがちか、聞いたことあります?」ということですかね?