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彗星鉄道あかつき号

「え?克服出来る方法ない?」


「そうそう、やっぱり宇宙鉄道の美しさには負けたよ。なんかそれっぽい鉄道会社ない?」


てっきり大京テツは高所恐怖症でもう来ないまま期限が過ぎるかと諦めて何日経ったある日の平日。第三者から見れば2人はニートに見える。文字通り平日の昼間からフリータイムナウを過ごしている。

単純に電波塔の展望台に連れて行けば普通の人ならありがちな作戦。しかし高さはそれよりも遥かに高い。

自動化とした右手で醤油せんべいを取りながら私は言う。


「この前の銀河鉄道見たいのを乗るのは?あれもいい練習だと思うけど?」


テツの手も醤油せんべいの巣窟に伸ばす。


「もっと早く克服出来て、荒治療じゃないと治らないと思うんだ」


荒治療ねぇー。時刻表のページをめくってみたら、今日の深夜にちょうどいい列車があった。


「じゃあ今日の夜11時にここに来てください」


「お、おう!流石チカだな。よろしく頼む。」


テツが帰った後、私は早速専用の機械でチケットを取った。




「ちょっとそこの君いいかね」


「はいなんでしょう?」


早速チカの家に行こうとしたら警察のお兄さんに呼び止められた。


「分かってるよね?もうすぐで深夜徘徊になるから…」


「そ、そうですね…」


「家は近く?」


「あ、はい。数分のところにあります。」


俺はチカの家の方向に指をさす。

警察のお兄さんは「じゃあ早く帰ってね」と言って解放してくれた。家が近くで助かった。


「あ、テツさん遅かったですね」


「警察に呼び止められた」


「何か悪いことでも?」


「してません」


この前と同じように改札に入り、お目当ての列車まで行く。


「本日乗るのは彗星鉄道あかつき号です」


あかつき号はブルートレインの赤バージョンと言ったら分かるだろうか?そのデザインもいいけどあかつきは『紅月』じゃなくて『暁』の方だと思うよ。


「これも寝台列車?」


「そうですよ。翌日の昼ぐらいにはここに帰って来ます」


車内もブルートレインにそっくりだった。席は大体真ん中ぐらい。


「じゃあもう遅いので寝ましょうか。テツさんおやすみなさい」


「あ、ちょっと待って!」


「どうしましたか?」


「お前って、オンオフの差って...」


その時のチカの眼光が恐ろしく感じ、質問を続けないまま「おやすみ」と言って静かにカーテンを閉めた。

列車はいつの間にか動きだし、いつの間にか眠った。



宇宙だから当然朝日はない。適当な時間寝て目が覚めた。カーテンを開くと上半身裸のチカが着替えていた。


「...」


「...?」


俺はカーテンを閉め、二度寝に入る体勢をとる。


「ちょっとなんでカーテン閉めたのですか?そろそろメインイベント始まるし起きてください!」


「うるさい露出狂!あんなところで裸を見せられたらビックリするだろうが!」


「いいじゃないですか!他に乗客いなかったからつい...」


「そういう問題じゃないし、ついついでやる事じゃねーよ!あと俺はいいのかよ!」


「とにかく起きてください!」


カーテンが勢いよく開けられた。そこにいるのは服を来たチカ。もう大丈夫だな。


「あぁ疲れた。ところでここどこ?」


「わかりません。毎回毎回場所が変わるので」


「で、メインイベントは?」


「もうすぐです」


その時有名なチャイムが鳴り、アナウンスが入る。


「皆様、おはようございます。本日はあかつき号をご利用頂き、ありがとうございます。間もなく、この列車は急加速、急降下を行います。安全のため、お立ちのお客様は席にお着きください。」


ん?急加速?急降下?某国のあれみたいなフレーズだな?それってどういう?

と思ったいたら列車が急に加速し始めた。


「チカさんチカさんこれなんですか?」


「彗星鉄道は本物の彗星みたいに走るアトラクション系鉄道会社です。駅までこのまま突っ込みます。」


「このまま突っ込む!?」


「いい荒治療でしょ?」


俺は言葉の選択の間違いに今気づいた。



列車は何百キロで大気圏に突入し、そのまま駅に突入した。もちろん止まるが、その衝撃は激しい。やっと出た言葉が、

「じぇ、じぇっとこうすたぁ」


なんて情けない。


「どうですか?高いところは怖かったですか?」


「確かに怖くなかった。でも...」


「でも?」


「エレベーターに乗るのが一苦労しそう。」


大京テツは、落下恐怖症になったかもしれないです。

遅れました。すみません。

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