たからのちず
理想的な1番打者とはいったいどういう打者だろうか。
人それぞれ意見はあるだろうが、個人的な意見を言えば、それは出塁率であると思う。
野球にとって、先制点は大きな意味をもたらす。
今年のチャンピオンチームである◯ークスは先制した試合の勝率が約9割というデータもある。
とにかくクリーナップの前を打つ1、2番が塁に出て初回に先制点をとること。これがなによりも重要なのだ。
更に言えば、足も速い方がいい。
ヒットをツーベースに変えてしまう、破壊的な脚力。挑発的なでかいリードで相手投手を塁上から揺さぶるランナーとしての能力。
これがあれば、投手が気を散らしてクリーナップ相手に失投をする可能性も出てくるからな。
覇王高校の一番は主に僕が打っていた。
出塁率は高かった。だけど、走力Gのせいで盗塁はゼロ。万が一でも牽制アウトは避けたかったためほぼベースに張り付いていた。
しかも、4番を打っていた小紫がチームを去ったためこれからは1番を打っていた僕がクリーナップに回される可能性が高い。
とにかく、理想的1番打者の育成が今の覇王には急務なのだ!!!
と、思っていたアル日ノコト‥‥
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「た、大変でござるっ‥‥!!!大変でござるよーーーーーー!!!」
只野が猛ダッシュでこっちに近づいてくる。わりぃ、あまりにも久しぶりすぎて一瞬誰だかわからんかったわ。
「どうした?ははーん、さてはお前の好きな戦国武将フィギュアの発売日なんだろ、今日は!お前なぁ、今はいいけど後になって後悔するんだぞ?フィギュアってのは。まだ趣味としては市民権を得てないからな」
「違うでござる!勝手に決めつけないで欲しいでござるよ!それより、これを見て欲しいでござる!!!」
と言って、只野は古ぼけた一枚の布切れを差し出してきた。
「うわっ!きたね!!!なに変なもん差し出してんだよ!さてはこれお前が◯ンコふいた紙だろ!なぁ、そうなんだろ!?そういうことなんだろ!?もうやめてくれええええええ!!!◯ンコはもうこりごりだあああ」
「尾間加瀬殿!!!落ち着くでござるよ!!!よく見るでござる。これは‥‥宝の地図でござる‥‥!」
あ、なんだ、◯ンコじゃなかったのか。良かったあ‥‥
最近、◯ンコを見るたびに「あの光景」を思い出す。水飛沫のように飛び散る「アレ」を
てか、なんだって!?宝の地図?
「なんでそんなもんがお前の手元にあるんだよ?どうせまたなんかの付録についてきたパチモンだろ。まさか、毎月買って一枚の地図を完成させるって手法じゃないだろうな?」
付録で吊るようになったら、雑誌は終わりだぞ?
「違うでござるよ!!!これは、グラウンドの片隅に生えてる樹齢300年の有り難い御神木の根本から出てきたものでござる!」
ん?なんかこの展開、見覚えがあるぞ?
もしかして、これ「伝説のスパイク探索イベント」じゃないのか?
もし、あのスパイクを見事発見して只野に装備させることが出来れば‥‥
解決する‥‥1番打者不在問題が‥‥!!!
「只野」
「な、なんでござるか!?やっぱり尾間加瀬殿もこれはパチモンだと思うでござるか‥‥?やっぱり、この地図は処分した方が‥‥」
「今すぐ、探しに行くぞ。30秒で支度しな」
「えっ‥‥!?ちょ、ちょっと待つでござるよーーー!!!せめて、3分間だけ待って欲しいでござるーーー!!!」




