たましいの投球
2回面、ゴーグルスの攻撃は一番の原沖から。
どうせ、ロックオンでどこへ投げても捕捉されちまうんだ。なら‥‥
いけっ!!!田桑あああ!!!通算173勝の力をみせてやれええええええ!!!
ビューン‥‥
「ねぇえっ!!!なんて球なげてんのよっ!!!バカなの?アンタバカになっちゃったの!?」
バシッ、バシッ!!!
ル、ルナちゃん、プレー中は叩かないで‥‥
「ふん、とうとうおかしくなったか‥‥こんな、スローボール確実にスタンドだっ‥‥!!!」
ガキィーーーン!!!
一番打者、原沖、ジャストミート。
だが‥‥
バシィーーーン!!!アウトーーー!!!
惜しくもサードライナー。
ワンナウト。
「チッ‥‥!!!」
「もう!!!たまたまアウトになったから良かったけど、なんでいきなりスローボールなんか投げんのよっ!!!」
「あ、あれ?おかしいな‥‥おい、化乃川!コントローラーまで細工してるなんてことないよな!!!」
「ほんとに良く吠える犬だな。そんなに不安ならコントローラーを交換してやってもいいんだぞ?」
念のため、化乃川のコントローラーと交換する。
そして、2番の竹佐を迎えた。
そして、その初球
ビューン‥‥
「ねぇえっ!!!何なのよっ!!!なんでなのよっ!!!なんでスローボールなのよっ!?」
バシッ、バシッ!!!
ル、ルナ様?そろそろ僕の肩、とれそうなんだけど?
「くっ‥‥また、このクソボールっ‥‥!!!」
ガキィーーーン!!!
原沖に続き、竹佐もジャストミート!!!
打球は三遊間を強烈に抜けるっ‥‥!かと思われたが
バシッ!!!
ショートの岡二、横っ飛びで打球を止める。
そして、矢のような送球っ‥‥!!!
アウトーーー!!!
ふぅ‥‥流石、球界を代表するショートの岡二だな。
守備範囲、そして、肩。一流だぜ。
不倫さえなければ、な‥‥
「な、なんで!?さっきから、良い当たりの打球が全部野手の守備範囲に来てる‥‥」
目を白黒させる、ルナちゃん。
「ク‥‥どうやら貴様の悪運は相当に強いらしいな。ただ、それも三度目はない。次で、仕留めてやる」
続く、打者は三番の部磯。
ゴーグルスでは、崎山に次ぐパワーを誇る打者だ。
だが、それがどうした?
ジーニアンツの黄金期を支えてきた絶対的エース、田桑の敵ではない。タイトルも獲得したことのない二流打者が。このたましいの投球の前に、ひれ伏せっ‥‥!!!
ビューン‥‥
「いやああああああ!!!また、スローボールじゃないのよーーー!!!!!!」
「こんのっ‥‥いい加減にしろ!!!スタンドにぶちこんでやる!!!!!!」
ガキィーーーン!!!!!!
打球はグングン伸びてライトスタンドへ突き刺さるっ‥‥!
かと思いきや‥‥
バシッ!!!アウトーーー!!!スリーアウトチェンジ!!!
フェンス手前で失速。
ライトの橋高がつかみスリーアウト。
「ふん‥‥そういうことか」
化乃川がぽつりとこぼした。
まあ、そろそろばれる頃合いか。
「えっ、えっ!?アンタなんかしてたワケ!?」
目をまん丸にして僕を見つめるルナちゃん。
や、やめて‥‥惚れちゃう‥‥
「さっきから、お前‥‥ストライクを投げてないな?」
そう。さっきから投げているスローボールは全部ボール1個分外しているのだ。いくらいい当たりをしてもボールゾーンの球であれば打ち取れる可能性が格段に高くなる。
まぁ、普通はそんなボールゾーンの球にはホイホイ手を出してくれないんだが、ここにロックオンの穴がある。
ロックオンは自動的にミートカーソルが動くため、ボールゾーンに近いコース、つまり打つのが難しい際どいコースであっても手が届いてしまう。さらにそれがスローボールであればなおのこと打ちたくなる。熱プロにおいてスローボールは必ず狙ったところに投げられるという特性があるからな。ボール球を打たせるにはもってこいの球種なのだ。
「小癪なマネをしやがって‥‥次からはこんなに上手く決まると思うなよ。それとなぁ、いくらお前がチマチマと失点を減らしたとしてもすでに点差は5点。そこがすでに致命的なんだよ」
うっ‥‥それは確かに。
早いところこの点差を詰めないと本当に手遅れになる‥‥
でも、ルナ様‥‥
打てるのかなぁ‥‥?




