2℃目の訪問③
階段を降り、リビングへ移動。
「大したものはないけど、沢山食べていってね!とにかく食べて体を大きくすることが大切よ!」
テーブルの上にはてんこ盛りの肉じゃがとこれまたてんこ盛りのサラダ。寮の食事は悪くはないんだが、大量に作る為どうしても一個一個のクオリティが下がる傾向にある。
久しぶりの家庭の味、しっかりあじあわせて頂こう。
「はいっ!お言葉に甘えて」
早速、テーブルにつき皆でいただきますをしてから肉じゃがを一口‥‥‥‥
「‥‥‥‥‥‥‥‥ぐすっ‥‥」
「ど、どうしたの、尾間加瀬くん!?なんか変なものでも入ってた!?」
気が付いたら、本当に気が付いたら、涙が出ていた。
久しぶりの手作りの味。ほんの少しだが、実家に暮らしていた時のことを思い出してしまった。
大学入学を機に上京。就職先も東京だったため、実家にはあまり帰れていなかった。
母親の作る料理はそれほどおいしいというわけではなかったが、それでも懐かしい記憶が詰まっている。
こんな状況になってしまった以上、現実世界に絶対に帰れるとも限らない。そう思うと、あんなちょいまずの料理ですら恋しく思えてくるのだ。
「いえ、久しぶりに家庭料理を食べたもので‥‥ちょっと、実家に住む母の味を思い出しました」
「まぁ、そうだったの‥‥尾間加瀬くんさえよければいつでもご飯食べに来てくれていいのよ!!!なんなら私のことを『お母さん』と呼んでくれてもいいんだからねっ!!!」
「がっ、はっ、はっ!!!そりゃいいなぁ。じゃあ、俺も『お父さん』と呼んでもらおうかな。実は息子が欲しいなぁと思っていたんだが、なかなか出来なくてな。尾間加瀬くんが息子になってくれるのであれば丁度良い!」
この人たちはどれだけ良い人たちなんだろうか。
人のやさしさが胸に染みる。
「わ、私も別に構わないけど‥‥か、勘違いすんじゃないわよっ!飼い犬に餌を与えるのも飼い主の務めってだけのことよっ!!!」
王道ツンデレありがとうございます。ルナ様。
「ルナと尾間加瀬くんを見てるとな、なんだか俺と母さんの事を思い出すなぁ」
「ふふっ、そうね。実はね尾間加瀬くん。私とお父さんは同じ覇王高校の野球部だったのよ!」
「ええええええええええええ!!!そうだったんですか!?」
確かに二人とも高身長でスポーツ向きの体をしてるなぁとは思ってたが、まさかそういうオチ!?
ってかそんな事実、熱プロでは明かされていなかったぞ?裏設定だったのか?
「母さんは覇王高校のエースだった、今のルナのようにな。俺は4番でキャッチャー。女房役ってやつだな!」
ん?ルナパパが女房‥‥?逆転しちゃったよ。ということは、ルナママが亭主?でもキャッチャーを女房役とは言ってもピッチャーを亭主役とは言わないよな。ということは、えーと‥‥
バシッ!!!いちゃい‥‥
「あんた、またボーッとした顔して!!!人の話はちゃんと集中して聞かないとだめでしょっ!!!」
怒られた‥‥最近頭はたかれること多くないか?
それとも、これはルナ様なりのボディータッチなのかな?
「がっ、はっ、はっ!!!二人は本当に仲良しだなぁ。嬉しい限りだ!当時の俺と母さんもバッテリーを組んでたこともあって仲良しでな。最後の大会が終わった後に俺はこういったんだ『これからは役割を変えよう。俺が亭主で、お前が女房。それでいいか?』ってな!!!」
「キャーーーー!!!当時のことを思い出してまたドキドキしてきたわっ!本当にあの時のお父さんはかっこ良かったわ!もちろん今もかっこいいけどね!」
あのー、人前でのろけるのやめてもらえませんかねぇ。
「キャーーーー」って、ルナママ、あんた歳いくつや?
「っ‥‥‥‥‥‥」
横を見るとルナちゃんが顔を真っ赤にしてうつむいていた。
どしたのかな?両親の突然の痴態に悶絶しているのかな?
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そんな、こんなで二度目のルナ様宅訪問イベントを終えた。
まあ、でもこれからゲームの練習をするために本番まで通いつづけることになるんだけど。
家族の温かみ、それを久しぶりに感じられてよかった。




