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野球ゲームの世界に飲み込まれました。  作者: kaonashi
第2章 ~チーム力アップだ!友情イベント編~
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ウンコは食べ物ではありません


あのクソ犬が敵チームのスパイであることが判明した。

だが、それを証明するものが何もないというジレンマに陥っている。



どうするか‥‥

証明するのは諦めて暴力で排除するか?



いや、そうするとルナちゃんとの間に埋められない溝が出来てしまう。それは、なんとしても避けなければならない。



一番の解決策は、奴がスパイであると証明することだ。

その場合、言葉だけじゃ信じてもらえないだろうから、変化している現場を抑える必要がある。



しかし、どうやって?

ああああ、クソっ!!!何も思い浮かばん!!!

ぽく、ぽく、ぽく、ちーん‥‥してみても何も思い浮かばない。



まぁ、悩んでいても仕方がない。とりあえずグラウンドへ向かおう。


あの犬の様子も気になるしな。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「くぅーん‥‥」



「ちょっと、アンタ!その足どうしたのよ!?」



グラウンドへ向かうと、露骨に足を痛めてますとアピールしているクソ犬とそれを介抱するルナちゃんの姿があった。



あの、クソ犬!!!!!

白々しいにも程があんぞっ‥‥!



ルナちゃんは僕を見つけるやいなや



「ちょっと、駄犬。この子が足を怪我してるんだけどアンタ何か知らない?」



うっ‥‥まずいっ!!!なんかめっちゃ疑われてる!?



「いや、僕は別に、何も‥‥」



「わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!」



こいつっ‥‥!

露骨に僕の方を睨み付けてわんわん吠えてきやがる

この、クソ犬があああああああああああああああ!!!!!!!!!!!



「ねぇ‥‥アンタがこれやったの?どうして?なんでこんな酷いことするのよ?」



怒りと悲しさが入り交じったような複雑な表情で僕に問いかける。

駄目だ‥‥何の言い訳も思い浮かばない。

かくなる上は、一か八か正直に話すしかないっ‥‥!!!



「違うんだ、聞いて、ルナちゃん!!!こいつはパッと見可愛いただの犬なんだけど、実は『忍学園』っていう高校のスパイで、僕らの弱点を探ろうと偵察してたんだ!!!それを、昨日僕が街で見かけて、それで‥‥」



「何、ワケわかんないこと言ってんのよっ!!!この期に及んでまだそんな嘘つくわけ?信じらんないっ!!!」



駄目だああああああああ!!!やっぱり信じてもらえないよぉ‥‥

このままだと確実にルナちゃんに嫌われてしまう。犬を虐待したクソ野郎と見限られてしまう。



いや、こういう時こそクールになれっ!尾間加瀬!!!

一番やっちゃいけないのは焦ってさらに傷口を広げることだ。

あるっ‥‥!この局面を打開する解決策が。

熱プロ11の情報、数々のギャルゲー攻略の知識、ツンデレヒロインアニメの記憶‥‥その全てを動員するんだ!!!



時間にして10秒位だったと思う。だが走馬灯のようにゆっくりと時間が流れる。

脳内で原稿を超高速でライティング。そして、今、その原稿が完成した‥‥



「ルナちゃん‥‥最近全然僕に構ってくれないよね?」



大胆な論点のすり替え。これしか‥‥ない!!!



「‥‥‥‥は?」



ルナちゃんは驚きと戸惑いを隠せないでいるようだ。

ふぅ‥‥なんとか流れは切れたようだな。



「その犬ばっかり気にかけて!前みたいに話してくれないじゃないか!!!ルナちゃん、最近、おかしいよ!!!」



「んなっ‥‥!?い、いきなり何言ってんのよ!意味わかんないしっ!!!」



顔を真っ赤にして動揺するルナちゃん。

よし、論点のすり替えが上手くいったようだな。攻守逆転だ。



「ルナちゃん、僕が『ルナちゃんの犬になるよ』って言った時に嬉しいって言ってくれたじゃないか!!!それなのに最近のルナちゃんの態度はおかしい!どういうことなのさっ!!!」



畳み掛けろ、畳み掛けろ!

勢いがあるときは勢いに乗る!これ、◯リッツの鉄則っス!



と、余計なことを考えていると




「‥‥‥‥じゃない‥‥」




「ん?今、なんて‥‥」




ルナちゃんは真っ赤な顔でキッと僕を睨み付けて




「あ、アンタだって、最近、あの変な小学生とイチャイチャしてるじゃないのよっ!!!」



‥‥‥‥へっ?

もしかして、小梅の事か?



「いや、小梅はただの幼馴染み(という設定)で昔からことあるごとに付きまとってくるんだ。別にイチャイチャしてたわけじゃ‥‥」



「それが気に食わないって言ってんのよ!!!アンタ私の犬になるって言ったわよね!だったら他の女にしっぽ振ってんじゃないわよ!アンタは私の犬なんだから、私だけ見てればいいのっ!!!」



お、おおおおおおおおおおおおおおお‥‥

『私だけ見てればいいのよ』って‥‥完全な王道ツンデレお姫様じゃないかっ!?束縛、つえぇ‥‥

だが‥‥それが、いい!!!流石ですっ、ルナ様!!!


しかし、やはりそういう事だったか。普段から僕と小梅が一緒にいるとき明らかに不機嫌な顔をしてたからな。そのあてつけでクソ犬を可愛がって僕に振り向いてもらおうとしていたんだな?


かっわいいことしてくれるじゃないのよ!!!

やはり、ツンデレに嫉妬は欠かせませんな。



なら、僕はその気持ちに答えてあげなければ‥‥



バッ!!!



「ちょ、ちょっと、アンタ!?またそれなの?もう、やめてよね!!!こっちが恥ずかしいんだからっ‥‥!」



土下座だ。変木が小梅にしているところを見て正直引いたが、しかしこれ以外感情を表現できる方法を僕は知らない。何度も言うが、土下座には全ての過ちを無かったことにする不思議な力が宿っているのだ。



「ごめんっ‥‥ごめんよ、ルナちゃん!!!僕、知らないうちにルナちゃんを傷つけてた‥‥飼い犬失格だよ。ほんっとーに、ごめんなさあああい!!!」



見てくれっ‥‥僕の土下座100%を!!!

想いよ‥‥とどけええええええ!!!!!!



「ふ、ふんっ!!!わかればいいのよ、わかれば!これに懲りたらもう今度からは他の女にしっぽ振っちゃだめよ!い・い・わ・ね!!!」



ルナ様、まんざらでも無い様子。

ふぅ、これで一件落着だな。僕がクソ犬に全力でボールをぶつけた話しは完全なにうやむやになった。



「‥‥‥‥!?わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!」



一部始終を見ていたクソ犬がまた話をぶり返そうとわんわん吠えたてる。



貴様っ‥‥!どこまでクソなんだ!!!



どう始末するか、思考を巡らせていたその時




「あっ、わんちゃん!!!こんなところにいたのですか!!!それに、ますたーも!」




突然、小梅がぽてぽてとやって来た。

くっ‥‥タイミングが最悪だ。ここで小梅はまずいっ‥‥!

ルナ様をチラ見すると‥‥あちゃー、明らかに不機嫌な顔してる。せっかく一段落したところなんだ。余計な火種をつくるなよ?



「あのね、こうめすごい情報をしいれたのです!わんちゃんはね、うんちをたべるしゅうせいがあるらしいのです!!!」



えっへん!と胸を張る小梅。

そして、その手にはビニール袋がぶら下がっている。

ま‥‥まさか



「お、おい、小梅‥‥?その手に持ってるのはなんだ?」



「ますたー?わかりきったことを聞かないでほしいのです。うんちなのです!ちょうど道路におちていたのでひろってきたのです!!!」



こいつ‥‥イカれてやがる。

道端のウンコを拾う‥‥だとっ!?



「ほら、おいでーわんちゃん!!!だいこうぶつのうんちなのですよ!!!」



タッタッタッ!!!

クソ犬目掛けてダッシュ!!!



「‥‥!?わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!」



クソ犬猛ダッシュで逃げるが、若干反応が遅れたため無惨にも捕まった。



「むぅ‥‥あばれちゃだめなのです!!!おおきくなれないのですよ!!!」



駄目だ、小梅は100%の善意でウンコを食わせようとしている。

悪気の無い行動ほど厄介なものはない。

そして、犬の口に無理矢理ビニール袋を押し当てた。



「きゃん!?わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わん!わっ‥‥おっ‥‥おええええええええ!!!!!!」



ドロン!!!



「えっ‥‥一体何なの!?」



驚くルナちゃん。

煙がモクモクとあがり、そこから‥‥



「おええええええええ‥‥かっ、かはっ‥‥信じられねぇ。このガキマジでウンコ食わそうとしやがったぜ‥‥かはっ‥‥」



忍高校、化乃川が姿を表したのである。


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