グシャ
グラウンドに出て体操や素振りなどでテストに向けたウォーミングアップをした。
その間、たくさんのギャラリーが集まってきていた。
おいっ!お前ら、見せもんじゃねーんだぞ!
しかもよく見たら、変態発言をしていたロリコン野郎がビデオカメラ回してやがる。
あとで、粉々に砕いてやるからな。
「では、試験を始める。打席に入れ!」
「は、はい、なのです!」
ぶかぶかの練習着、その身長には明らかに不釣り合いな長いバットをもって小梅が打席に入る。
試験のルールは以前と同じ、3打席勝負。二軍のピッチャー相手に3打席のうち一本でもヒットが打てれば合格だ。
ただでさえ小さい体をぐっと沈み込ませる。重心が低い独特のフォームだ。
あれじゃあストライクゾーンが狭すぎて、ピッチャーは相当投げにくいんじゃないのか?
さらに、重心を低くすることにより目線のブレが少なくなり、下半身のパワーを伝えやすいというメリットもある。が、その代わり物凄い負荷が下半身に掛かるのだ。
あのロリっ子の下半身にそんなパワーが宿っているとは到底思えないのだが、そこは、野球ゲームの世界。
不可能を可能にできる場所なのだ。
二軍のピッチャー、第一球を‥‥投げた!!!
ブン!!!
バシーーーン!ストライク!!!
二球目
ブン!!!
バシーーーン!ストライク!!!
三球目
ブン!!!
バシーーーン!ストライク、バッターアウト!!!
‥‥‥‥‥‥おい、おい、おい。大丈夫か?一球もかすらなかったぞ?
「あ、あの‥‥小梅さん?」
「しんぱいしないでください、ますたー!まだ2打席あるのです。今のはきゅうしつを見るためのこてしらべ。次こそはしとめにいく、なのです!!!」
そして二打席目‥‥
ブン!!!
バシーーーン!ストライク!!!
ブン!!!
バシーーーン!ストライク!!!
「こっ、こんにゃろーーー!!!」
ブン!!!
バシーーーン!ストライク、バッターアウト!!!
‥‥‥‥おい。後がなくなったぞ。
周りのギャラリーもざわつき始めてる。どうすんだ!小梅!!!
と思っていると、打席からとてとてと小梅が僕のもとに寄ってきた。
「ま、ますたぁああああ!!!ふえーーーん、バットにボールがあたらないよぉ‥‥ぐすっ、にゃ、にゃんでですかあああ」
それは‥‥多分僕のキャラメイクのせいだ、確実に‥‥
しかしそんな事は口が裂けても言えない。マスターの威厳は保たねばならないのだ。
「ほら、泣くな小梅。かわいい顔が台無しだぞ?」
「ふにゃっ!?」
ケツポケに忍ばせていたハンカチで小梅の涙を拭う。
涼風の一件で、ハンカチにはとんでもない対女の子効果がある事が分かったので、あれ以来常にケツポケにはハンカチが入っている。涙とハンカチは切っても切り離せない関係なのだ。
「いいか、難しいボールはもう一切振るな。真ん中あたりのボールをひたすら待ってそれを強く叩け。お前は僕が作った最高の選手なんだぞ?絶対できる、自信を持て」
小梅の目をまっすぐに見つめて諭すように言った。
小梅の目に力が戻る。
「はい!わかりましたです、ますたー!!!」
再びとてとてと打席へ戻っていった。
しかし、もしこれで入部できないなんてことになった小梅は涼風たちになんと言われるのだろうか。
「このクズがっ!!!」みたいな感じになって、皆から省かれてしまったらどうしよう‥‥
その時は責任をもって、僕が引き取るしかない‥‥よな。
三打席目の勝負が始まった。
僕のアドバイス通り今回はきちんとボール球を見逃している。
もともと、あの身長の低さにあの構えだ。ちゃんとボールさえ見極めればなかなかストライクは奪えんぞ。
カウント3ボール1ストライク、絶好のバッティングカウントだ。
運命の5球目、ピッチャー‥‥投げた!!!
ビューーーン!!!
よし、真ん中高め!!!
力の限り‥‥振り抜けーーーーーー!!!!!!
グシャ
ん?音がおかし…
ギュイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!
打球は、一瞬にして場外へ。
しかし、なんて打球の速さだ‥‥化け物か
「ま、ますたぁああああああ!!!うわぁあああん!!!」
小梅がぐじゅぐじゅの顔で駆け寄ってきた。
こりゃ、またハンカチの出番かな?
小梅の能力だが
左打ち
ミート F
パワー S
走力 F
肩力 E
守備 E
申し訳ない‥‥打率が低いのは完全に僕のせいだ。
一発しか狙わないというスタイルの選手が作りたくてこんな脳筋キャラメイクになった。
パワーSは何人も作ってきたが、パワーの数値をカンストさせたのは小梅だけだ。
多少とらえ損ねてもスタンドへ運ぶパワー。
なのに見た目はとってもプリティーな小学生。
グッとくるだろ?




