球界の至宝
「我らの期待を そのバットに乗せて♪ ミラクルアーチを 決めろ涼風~♪」
自ら応援歌を口ずさみながら涼風が打席に入った。
つか、その応援歌◯鉄時代の◯村紀洋じゃねーか。この満塁の場面でどでかい一発でも打ちあげるつもりなのか?
ノーアウト満塁。初回に早くも最大のピンチを迎えた。
帝の今日の出来を考えると、ここでの大量失点は死を意味する。
抑えられるか、この場面‥‥
ルナちゃん‥‥
「ふぅーーーーーーー‥‥」
ルナちゃんが大きく息を吐いた。
ここで頼れるのが、ルナ様という絶対的エースなのだ。
準決勝のあのピッチング。あの時のようなピッチングが出来れば、涼風を抑えられる可能性も出てくる。
「ねぇ、赤藤ルナさんっ!」
涼風がマウンドからルナちゃんに話しかける。
「あなたマスターのこと『私の犬』って言ってたけど、もし、こんな序盤でバカスカ打たれるようなことがあったらマスターの飼い主、失格だねっ!」
涼風、明らかに挑発してるな。
ルナちゃん、こんな挑発乗っちゃ駄目‥‥
「はぁ!?なんでそんなことアンタに言われなきゃならないワケ?試合前からずっと、マスター、マスター、マスター、マスターって煩いのよっ!うちの犬に馴れ馴れしくしないでっ!!!」
アカン‥‥完全に乗せられてる
ルナちゃん、完全にプンプンモードだ。対する涼風は余裕そうな表情。自分に対する自信が溢れてるな。この場面必ず打てると信じきってる、そんな感じ。
涼風の能力だが
右打ち
ミート S
パワー S
走力 B
肩力 S
守備 S
まさに、規格外。
身長は160センチくらいで、可愛らしい、ただの女子高生にしか見えないが、メジャーでもタイトル獲れるくらいのポテンシャルを秘めているのだ。
オールA選手止まりだったハズが、最後の最後で成功率50%の博士の改造手術に成功。結果、化け物となった。
ルナちゃん、満塁の場面だが、大きく振りかぶり第一球目を‥‥投げた!!!
ガキィーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!
えっ!?おい、嘘だろ?
打球は‥‥
ギリギリレフトポールの外側。さっきの響を超える飛距離の特大ファール。
「はぁ‥‥ねぇ、そんなつまんない球打っても面白くないからさっ!自分が一番自身ある球、放ってきなよ!」
恐らくは、カウントを獲りに行ったフォークだろう。
そんな球を打っても意味がない‥‥圧倒的強者の発言だ。
カッチーーーン
と、音が鳴ったような気がした。
ルナちゃんを見ると、鬼のような形相をしていた。
身体を小刻みに震わせ、顔は真っ赤になっている。
か、可愛い女の子が、そんな顔するんじゃないっ!
綺麗な顔にシワが出来たらどうする!?
美しいトルネード投法。
しかし、この瞬間。トルネード投法は怒りのトルネードに変わった。
怒りのオーラを身に纏い、第二球を‥‥投げた!
ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!
ミットがぶち破れるんじゃないかというほどの球威。
まさに「ミサイル」だ。
球速表示は‥‥
ひゃっ、154キロ!?
く、クレイジーだぜ‥‥
「ふーん、なかなか速いねっ!やるじゃん!!!」
涼風、目をキラキラ輝かせている。
こいつも大概、クレイジーだな。
怒りのトルネードから、第三球目‥‥
ギュイーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
涼風、◯村紀洋顔負けのフルスイング!!!!!!
カキィーーーーーーーーン!!!
打球はバックネット後方へのファール。
ふぅーーーーーー‥‥あぶねぇ、心臓がとまる‥‥
球速表示は‥‥ひゃ、、、155キロ?
お前ら‥‥高卒で、メジャー挑戦せえや‥‥
誰も立ち寄れぬ異様な雰囲気が場を支配している。
剛と剛、火と風がぶつかり合う。
大きく振りかぶり、身体を思いっきり、相手に背中が見えるほどに捻る。
鋭い腰の回転、しなる左腕。
最高のストレートが放たれた‥‥‥‥
ギュイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!
風切り音が外野まで聴こえてくる。
空気との摩擦で火が起こるんじゃないかと不安になるほどの最高のキレ。
物理法則を無視して、天をつらぬ‥‥‥
ガキィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
涼風、打った瞬間バットを高々と放り投げる。
そして、自分自身の打球の行く末をキラキラした瞳で見つめていた。
打球は‥‥
バックスクリーンを、なんと、越えた
推定飛距離150メートル
球界の至宝、それは涼風の事を言っているのではないか
そんな事を思った。




