お話があるんだっ!
僕の腕に抱きついている涼風も、電工掲示板に写し出されていたラインナップも全て知っている。
なぜなら、僕が熱プロ11で作成した選手だからだ。
本当にワケが分からん‥‥一体、どうなってんだ?
「あ、あの‥‥涼風?これは一体どういう‥‥」
「ちょっと!いい加減私の犬から離れなさいよ!!!」
ルナちゃんが駆け寄ってきて、僕と涼風を無理矢理引き剥がした。
助かったと思う反面、ちょっと残念に思う自分がいた。
もう少しだけ、胸の感触を確かめていたかった‥‥
「はあ?なにするのよ!涼風とマスターの仲を邪魔しないでくれる!そもそも、あなた誰なの?」
「アンタこそ誰なのよっ!いきなり表れたと思ったらうちの犬に馴れ馴れしくして!誰の許可を得てそんなことしてるワケ?」
すると、涼風はルナちゃんをジロジロと観察し始めた。
そして、何かに気付いたような表情をして
「ははーん、わかったわ。あなた、赤藤ルナでしょ?」
「それが、どうしたって言うのよ?」
「速球とフォークしか取り柄のない、いつも涼風たちに打たれるだけの二流ピッチャーね。よく覚えてるわ。ちなみに涼風、あなたからホームランを打ったこともあるんだからっ!」
ルナちゃんは怪訝な顔をして、
「はあ!?何ワケ解んないこと言ってんのよ!アンタと会ったのはこれが初めてよ!くだらない嘘つくんじゃないわよ!」
僕にはわかる。鮮明に覚えてる。
涼風を作成したのは熱狂高校編でプレイした時だ。
最終回、僕が操る涼風がルナちゃんから劇的なサヨナラホームランを打ち甲子園のキップを手にしたのだ。
「はぁ‥‥話しても無駄ね。ねぇ、マスター?こんなやつ放っておいて涼風とお話ししよ!とーっても大事な話があるんだっ!」
うっ、涼風、可愛いな‥‥上目遣い、たまらん‥‥
って、違う、違う!
でも確かに涼風には聞きたいことが山ほどある。
ルナちゃんには悪いけど、ちょっと二人きりにさせてもらうか‥‥
「ルナちゃん、ごめんね。ちょっとだけ涼風と二人きりにしてもらえるかな?あ、あの、すぐ戻ってくるから!ちょっと確認したいことがあるだけだからさ!」
「‥‥‥‥‥‥っ!?」
「あ、あの‥‥ルナちゃ‥‥」
「もう!!!!!!信じられないっ!!!私の犬になるって言ったのに!なんなのよっ!誰なのよっ!その女は!!!もう、知らないから!!!ばか、ばか、ばかいぬ!!!」
タッタッタッ‥‥
あ、ああああああああああああ!!!ルナちゃあああああん!!!違うんだ!これには深いワケが‥‥
「さ、邪魔物も消えた事だし、お話ししよ!マスターに伝えておかなかきゃいけないことがあるんだっ!」
くそっ!あとでルナちゃんにフォローをいれておかねば‥‥
人間関係って、難しい‥‥
それはさておき、伝えておかなければならないことってなんだ?
もしかして、僕がこの熱プロの世界に迷いこんだ事と何か関係があるのだろうか?
うーむ‥‥




