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野球ゲームの世界に飲み込まれました。  作者: kaonashi
第1章 ~はじまり、はじまり~
40/78

涼しい風が吹いています


甲子園をかけた県予選決勝。その当日を迎えた。



昨日はルナちゃんの事で頭が一杯で決勝戦どころではなかったのだが、よく考えれば考えるほどにこの決勝戦は不気味だ。


熱プロ11覇王高校編では県予選決勝は必ず熱狂高校なのだが、それが準決勝にずれた。


そして、今日の対戦相手が「泡沫の夢高校」なのだと言う。


そんな高校、熱プロ11では聞いたこともない。しかも高校の名前が明らかにおかしい。



なんだよ、泡沫の夢って?



只野に聞いたところ、去年まではそんな高校は無かったとのこと。つまり、今年出来た新設校ということだ。

そんな無名の新設校がなぜいきなり決勝戦まで上がってこれる?



不気味だ、不気味すぎる。

例えるなら初めてホラー映画の◯怨を見たとき並みに不気味だ。一人でトイレにいけないレベル。



何かとんでもないことが起きる気がする。

どうなる、決勝戦‥‥



―――――――――――――――――――――――



「全員、揃っているな?それではスタメンを発表する。」



いつものように、スタメン発表おじさんこと佐出がスタメンを発表する。

お前は、それしか仕事をしていないな。給料ドロボーって言われても知らんぞ?


オーダーは準決勝と同じ。僕はまた1番レフトだ。

しかし、あんなお粗末な守備を披露してもなお僕を先発で使うとは‥‥。

ただのもうろくじじぃだと思っていたが、存外見る目あるじゃないか。ちょっとは認めてやってもいいぞ。給料ドロボーの発言は撤回してやる。




「おい、向こうのスタメン見てみろよ!?なんかおかしくないか?」


「ああ‥‥おかしい。カタカナ表記の奴がやたら多い。」


「変だな、明らかに変だ。しかも、こいつら新設校なんだろ?一体どうなってんだ?」




ベンチからそんな会話が聞こえてきた。

そんな変な名前の奴が出てるのか?つーか、僕の名前は尾間加瀬だぞ?いっちばん変な名前の奴が近くにいること、忘れるなよ?




どれどれ、電工掲示板を見てみようかね。




1番 ヒデロー 右

2番 雨宮 二

3番 天海 左

4番 涼風 遊

5番 響 三

6番 アーロン 一

7番 ドンキー 捕

8番 蒼井 中

9番 帝 投




‥‥‥‥‥‥‥‥そんな、訳はない。

これは何かの間違いだ。そう、きっと夢を見てるんだ。夢の中でさらに夢を見るって経験、一度くらいあるだろ?それだ。そうに決まってる。




だってさ‥‥あいつら、全員‥‥




「おーーーーーーーーーい!!!マスターーーーーーー!!!!!!」




可愛らしい、それでいてとても元気に溢れた女の子の声がベンチ内に響いた。

声のした方へ視線を向けると、ベンチ前から僕を真っ直ぐに見つめる美少女がいた。

肩にかかるくらいのショートカットで、髪の両側に可愛らしい赤いリボンを着けている。そして、キラキラと輝いた大きな瞳。




なんとなくだけど、僕はその子が誰なのか解ってしまった。




「な、何よ!いきなり!?ちょっと、駄犬!あの子、アンタの知り合いなの?」



「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」



「ねえっ!!聞いてるの?」




ルナちゃんが僕に話しかけているようだが、全く耳に入らない。動揺と疑問がごちゃ混ぜになって、自分自身よく分からない状況に陥ってる。




僕はベンチから出て、その子に話しかけた。




「も、もしかして‥‥‥‥涼風(すずかぜ)、なのか?」




すると、女の子は満面の笑みを浮かべて




「ピンポーーーン!!!あったりーーー!!!流石は私たちの産みの親だね、マスター!!!」




と言って僕の腕にいきなり抱きついてきた。



えっ!?ちょ、まっ!

まだ心の中ぐるぐるでワケも分からない心理状況のうえに、腕に抱きつかれたら!?

あ‥‥良い香りがする。そして、あの‥‥当たってますよ?




「んなっ‥‥!?」




ルナちゃんが唖然とした顔でこちらを見つめていた。


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