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野球ゲームの世界に飲み込まれました。  作者: kaonashi
第1章 ~はじまり、はじまり~
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犬宣言


ルナちゃんの部屋はその性格を表したかのように、サッパリとした感じだった。

あまり物がなく必要最低限なもので構成されている。まあ、強いてあげるとすればジュニア用と思われるケージが設置されているくらい。

でも、犬がいるっていうのに凄くいい香りがするのは何でだろう?女の子の部屋って、そういうもんなの?



「ルナちゃんの部屋はあまり物がないんだね。これまでもらってきた野球の賞状とかトロフィーとかは飾ってないんだ?」



「そんなもん飾ってどうすんのよ?掃除するときも邪魔だし、まとめて物置にしまってあるわ。」



サバサバしてんなあ。でも、普段サバサバしてるからこそ、たまに見せるデレにやられちゃうんだよなあ。計算してやってるわけではないと思うけど。ほんとに、ツンデレの鏡だよ、この子は。世の女子達にルナちゃんの爪の垢を煎じて飲ませたいね。




「あ、あのさあ‥‥」




ルナちゃんがいきなり顔を赤らめてモジモジし始めた。

ん、なにかなあ?おじさんになあんでも話してごらん?



「何でも言うこと聞いてくれるんでしょ?」



「うん、そうだけど‥‥。なんかしてほしいことある?」



「うん。あのね‥‥」



ルナちゃんは恥じらいながら





「ジュニアと一緒にね、そこのケージに入ってほしいの‥‥」




‥‥‥‥‥‥‥‥はい?今、なんと?




「な、何よ!その顔は!何でも言うこと聞くんでしょ!四の五の言わず早くケージに入って!これは主人からの命令よ!」




まって、全く意図が読めない。何を目的に?なんの理由で?

僕がケージに入ることで何かが起こるのか?

戸惑いながらも、普段ルナちゃんから犬扱いされている習性でそそくさとケージの中に入って体育座りをした。ジュニアを抱き抱えて。うーん、せまい。やはり人が入るもんじゃないぞ、これ。





「‥‥‥‥‥‥‥‥っ!?」





ん、なんかルナちゃんの様子がおかしいぞ?

顔も赤くなってるし‥‥。大丈夫?と声をかけようとした、その瞬間





「か、かかかっ、可愛いいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」





‥‥‥‥‥‥え?





「オマリーとジュニアが一緒にいるわ!?こんな瞬間が訪れるなんて夢にも思わなかった!!!そうだ、写真!写真撮らなくちゃ!」



パシャ!パシャ!パシャ!



ちょっ、写メ、写メやめてください!

やばい‥‥。ルナ様が、壊れた。



「あ、あの‥‥ルナちゃん?僕はオマリーじゃないんだけど‥‥。」



「そ、そんな事知ってるわよっ!ちゃんと‥‥解ってるわ。でも、アンタとオマリー、すごく重なるから‥‥その‥‥。」




いきなり、シュン‥‥としてしまった。

そうか、僕に死んだオマリーの姿を投影していたのか。普段、僕を犬扱いするのはそういう所から来ていたんだな。




なるほど。全て理解した。

そして、全てを理解した上でこう言おう。

ルナちゃん。君に悲しい顔は、似合わやっ!?

やべ、噛んだ。




「ルナちゃん!」



ケージの中から呼び掛ける。無論、ジュニアを抱いたままで。



「な、何よ?」



「僕はオマリーじゃないけど、それでルナちゃんが元気でいてくれるなら、僕はルナちゃんの犬でいいよ。」



「えっ‥‥!?」



まあ、今までも犬扱いされてきた訳だしな。非公式の犬扱いから、正式な犬になるだけだろ?些末なことさ。




「オマリーの代わりが務まるかどうかはわからないけど、これからもよろしくね!」




尾間加瀬、渾身の犬宣言。これは、ルナちゃんも喜んでくれるかな?




「グスッ‥‥」




えっ‥‥‥‥?

もしかして、ルナちゃん、泣いてる?




「あ、あの‥‥ルナちゃん?」




「わ、私トイレ行ってくるからっ!!!」




ダッダッダッダッ、バタン!!!




行ってしまった。これは‥‥どういう反応なんだ?


「なあ、ジュニア。お前はどう思う?」


「クーン‥‥」


ケージ内でジュニアと一緒に考え込んでいるとポケット中のケータイが振動し始めた。



「もしもし?」



『もしもし!尾間加瀬殿でごさるか!?今どこにいるでござるか!!!』



なんだ、只野か。しかし、さすがにルナちゃんの家、それも犬用のケージの中とは言えない。あらぬ誤解を生んでしまう。



「い、いや、適当に街を歩いてるだけだけど‥‥どうした?何かあったのか?」



『決勝の相手が決まったでござるよ!』



胸がドキン!と高鳴った。何か嫌な予感がする‥‥。



『決勝の相手は‥‥‥‥‥‥泡沫の夢高校でござる!!!』




ウタカタノユメ?なんだ、その高校は

聞いたこともないぞ‥‥



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