真っ向勝負
マウンド上の西園寺をルナちゃんが鋭い眼光で睨み付ける。
もし僕が西園寺の立場であんな眼光で睨みつけられたら、「ルナちゃん可愛い~♪」状態になってしまって実力発揮できないだろうな。
しかしマウンド上の西園寺、表情ひとつ変えないな。
やはり、イケメンは心の余裕が違う。女の子が向こうから寄ってくるからがっつく必要がない。しかし、そのつれない態度が逆に女の子の心を掴み、さらにモテる。
これじゃあ、格差が開くばかりだろ。どうなってんだよこの世のなか。不公平すぎるだろ。
もし僕が総理大臣になったら、「イケメン、イケジョの結婚禁止法案」をつくるよ。顔面偏差値の総和が必ず100になるような結婚をしなければならない。そんな法律さ。◯ADWIMPSもビックリするだろうな。
駄目、不公平、絶対。
しかし、打席のルナちゃん‥‥。ちょっと笑ってないか?
凄いピッチャーと対戦できて嬉しい。どんな球が来るんだろう。私を楽しませてくれるのかしら。
そんな事を思っていそうな笑みを浮かべている。
野球を純粋に楽しむ少女の姿が、そこにあった。
西園寺、大きく振りかぶり第一球を‥‥投げた!
バシーーーーーーーーーーーーーン!
インハイギリギリにストレート。しかし、ルナちゃんピクリとも動かない。ただ、真っ直ぐに西園寺を見つめている。
第二球目はアウトローギリギリに決まるフォークボール。
しかし、これもルナちゃんピクリともしない。まるでスイングをする素振りがない。
ここまでされたら馬鹿でも気付く。
誘っているのだ。決め球のスライダーを。
ここで、マウンドの西園寺の口の端が緩んだように見えた。
恐らく奴は逃げない。「熱狂高校編」をプレイすれば分かるがあいつはプライドの塊。完璧主義者。奴の辞書に「逃げる」という文字は存在しないのだ。
自信に満ち溢れた表情、綺麗な投球フォームから、第三球目が放たれた!
ビュイーーーーーーーーーン‥‥‥‥ギュイン!
左打者のルナちゃんからすると、アウトコースギリギリに決まるかと思われた球がいきなり、内角一杯に切れ込んでくる球筋。
いわゆる「インスラ」ってやつだ。
ルナちゃん、強振!!!
カキーーーーーーーン!!!
打球は、ライトへと勢いよく飛んでいき‥‥
途中で失速。ライトフライに終わった。
おい、ルナちゃんですら捉えられないのか?あとは小紫がミート出来なければ、このチームであいつを打てる奴はいないってことになるぞ?
ベンチに戻ってきたルナちゃんに話しかける。
「ルナちゃん、感触はどうだった?」
ルナちゃんは悔しさと楽しさを同居させたような表情をしながら
「あいつ、中々やるわね。あんなスライダー、見たこと無かったわ。ただ‥‥。」
自信に満ち溢れた表情で、のたまった。
「次は、スタンドへ運ぶわ。」
神様、仏様、ルナ様‥‥




