心が叫びたがってるんだ。
「えっ‥‥何、今のストレート‥‥。」
可愛いつり目をまんまるにして驚いている。
投げた本人が一番、ビックリしているみたいだな。
うん、その表情も、可愛い。
何故、この段階でルナちゃんがルナティックミサイルを習得したのかは謎だが、勝負は勝負だ。
仕方ない。ルナちゃんとの速球練習が出来ない以上、豪速球投手の道は諦めたほうがいいなあ。
たしか、ルナちゃんにエースの座を奪われる変木曲太郎先輩となら変化球の固有練習が出来たハズ。
路線変更だ。変化球で無双する投手になろうか。
ほら、スライダーをブーメランみたいにグイングイン曲げたり、スローカーブを超山なりに投げたら、それはそれで格好いいでしょ?
「ねえ、ちょっと、アンタ。」
ツンデレ美少女からお呼びがかかる。
「わかってるよ、ルナちゃん。今までの君に対する態度、全面的に謝る。今後は、話しかけないようにするよ。あ、ただ、遠くからそっと見つめるのだけは許してね。」
「キモい。」
今後はこんなやり取りも出来なくなるのかあ。やだなぁあ。
やっぱり、リセットしようかな‥‥。でも、こんな夢二度と見れないかもしれないし、うーむ。
「私をここまで、追い込んだのは正直アンタが初めてよ。一体、アンタ何者なの?なんで、そこまでの実力を持ちながら今までの無名だったのよ?」
いやあ、そんなことを言われましても。僕はただ、ゲームしてるだけだからね。
まあ、それなりにやりこんでるけれども。
高校球児が野球に費やす時間以上は、頑張ったかな。地元の熱プロ大会でも優勝したし。
なんと返答して良いか分からずまごついていると、
「まあ、いいわ。今の勝負で投げた、最後の球。あの感覚を忘れたくないの。アンタには練習台になってもらうから。」
「え!?ルナちゃん、僕はもう君に関わっちゃいけないって‥‥」
すると、ルナちゃんは小悪魔的なそして、挑発的な笑みを浮かべて、こう言った。
「私の奴隷になるんでしょ?忘れたとは言わせないわよ。」
心が、叫びたがってるんだ。
キュンキュン、キュンキュン叫びたがってるんだあぁ。
「はい!!!!!喜んでーーーーーーっ!!!!」
気がつくと、ルナちゃんの足元で綺麗に土下座していた。
不肖、尾間加瀬。一生あなたに付いていく所存でございます。




