出会い
ジリリリリリッ!
けたたましい金属音が、静まり返った部屋に鳴り響く
カーテンの隙間から射し込む朝日が、丁度狙ったかの様に顔面を捕えて、非常に朝から不愉快な気持ちになった
ただでさえ朝は、低血圧でテンションがダダ下がりなので
そこにいつまでも鳴り響く忌々しい目覚まし時計に、追加攻撃だと言わんばかりのお天道様からのモーニングコール
これは二度寝をしても、きっと俺に罪はない
そう、全ては目覚まし時計とお天道様が悪いのだ
未だ俺の眠りを妨げようとする諸悪の根源(目覚まし時計)に、安らかなる眠りを与え、自らも再び惰眠を貪るべく枕へと顔を埋める
ああ、この瞬間が堪らなく幸せなのだ
今日は何か朝から大事な用があった気もするが、それはきっと俺の勘違いであろう
「さぁ、いざ参ろうか。目眩く夢の楽園へと」
「さっさと帰ってきなさいッ!バカ兄っ!」
スパーンッ!と
逸そ清々しい程の音と共に僅かな痛み
枕から顔を上げてみると、そこに居たのは
腰ほどにもなる美しい黒髪をサイドテールにし
真っ赤なお目々がチャーミングな
目に入れても、全然痛くなーい愛しの妹
【黒木馬 愛莉クロキバ アイリ】ちゃんがご降臨なされていた
意識が一瞬にして覚醒する
布団を蹴り上げ、寝癖を直し、歯磨きをし、制服に着替える
シャワーも浴びたかったが生憎時間がなかったので割愛
この間、僅か3分
インスタント麺も真っ青なスピードで全ての準備を整えた俺は、壁に手をかけ
「お待たせ、待ったかな?」
と、決めポーズ
この際、爽やかにハニカムのがポイントだ