表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第三話




「──古宮さん、おはよ!」


「お、お、おはようっ!!」



私と城戸くんの挨拶のやり取りに、友達二人が驚きの目をした。




「ちょっと、安奈!!何で城戸と挨拶なんかしてんのよ!!」


友達の葛西結愛(カサイユウナ)が興奮気味で私に尋ねてくる。


「え……挨拶しちゃ駄目だった……?」


「違う違う!!昨日までそんな事無かったじゃない!

もしかして、何かあったの!?」


結愛は、私にとっては姉のような存在でいつでもクールなイメージだったのだが、今はまるで子供のように目を輝かせている。



すると、もう一人の友達と目が合う。

周藤陽太(スドウヒナタ)くん。

控えめだが、とても可愛らしい弟のような存在だ。


今は、この三人でよく過ごしている。



「あー……実は昨日色々あって……。」



私の言葉に、更に目を輝かせる結愛と、反対に少し表情を曇らせる陽太くん。



「色々って!?勿体ぶらないで話しなさいよ!!

周藤もそう思うでしょ!?」



突然、話をふられた陽太くんは戸惑いながらも答える。


「……あ、うん……。僕も知りたい。」



ということは、ストーカーに悩まされている事も話さないといけないのか……。

でも、この二人なら大丈夫か……。


私は決心して話し始めた。



「実はね、私最近ストーカーされてるみたいなの。」




「は?」

「……え?」



二人同時にすごく驚いた表情を見せる。



「……それでね、城戸くんがその事に気づいてくれて……守ってくれるって言ってくれて──」



「──ちょっと待ちなさい。」



私が話している途中で、結愛が口を挟む。

その表情はいたって真剣だ。



「ストーカーってどういうこと?

何で、まず初めに私たちに話さなかったの?」


結愛は少し呆れた表情で、私に尋ねる。

陽太くんは下を向いていて、表情はうかがえない。



「……ごめん。最初は単なる嫌がらせだとしか思ってなくて……それはストーカーだって、昨日城戸くんに言われて気づいたの……。」



「──警察には?」



その言葉に、私も陽太くんもビクッと反応する。


「……相談しようと思ったけど、城戸くんがそれで犯人が逆上すると怖いって言ってたから、してない。」



「確かに城戸の言うことも分かるけど、まずは警察に相談するべきよ。一般市民が守ってくれるって言ったって、限界があるんだから。」


「……そう……だよね。」



私は、好きな人が守ってくれると言ってくれて、一人で浮かれていたのかもしれない。



「分かった。放課後にでも相談してみる。」


「それで良いのよ。あー、朝から驚いた。

ちょっと飲み物でも買ってくる。」


結愛はそう言って伸びをすると、講義室を出ていった。



私もため息をついて、教科書を準備していると──



「──古宮。」


「ん?」


今まで黙っていた陽太くんが、突然口を開いた。




「……ストーカーに検討はついてるの?」


「…んー…それが全くなの。そのストーカーの姿を見たって訳じゃないし……。

あ、でも、1つ分かってるのは、それが学内の人間だってこと。」



「……学内…?」



これは単純に私の予想だが、それは間違ってはいないと思う。



「メールがいつも届くんだけどね?それが、いつも側にいて見てる感じなんだ。

特に、学校にいる時がメールが来るのが激しいから、きっと今も側で私の事を見てるんじゃないか…って。」



私の言葉に、陽太くんの顔がひきつる。



「そっか……ありがとう。」


陽太くんは、力なく笑うと自分の席へと戻って行った。



皆に心配かけちゃったな……。



でも、大丈夫。


今日の放課後には更に強力な──ブー………ブー………



心臓の音が早くなる。


画面に表示された"新着メールが届きました"の文字。



震える手で、スマホを握りメールを開く。




























『警察に相談したらどうなるか……分かってるよね?』





























私は思わず、辺りを見回す。


聞いてた……!?


見てた……!?




でも、怪しい人物なんて一人も見つからない。


皆、普通に生活を送っている。




私はこの時気づかなかったんだ。


一人、そんな私を見て愉快そうに笑う君に──。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ