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第21話 新人教育

遅くなりまして、申し訳ありません。

 一夜明けて、今日も僕は【バニラ】のお店番です。すごく落ち着きます。

 ちなみに、メイちゃんとクーデルさんはお買い物に行きました。メイちゃんの服や日用品を買いに行くそうです。クーデルさんは鼻歌交じりですっごく楽しそうでした。


「ありがとうございました!」

 化粧箱を買ってくれた親子を見送って、午前は一段落。

 僕はカウンターでノートを開いて、昨夜の帰り道の会話を思い出しながら書き出します。

 内容は、メイちゃんはどんなことができるのか。

 僕はRPGでも、新キャラが加入したらまずステータスを確認します。どんな役割を与えるか、どういう風に育てるかを考えるのって大事だし、なにより楽しいよね。

 

 吹き矢、毒造り……は僕を眠らせたヤツらしい。狩りにも使うとか。

 斥候……はスパイとか偵察だよね。危ないことをさせられていたんだなぁ。小柄だし、身軽だとも言っていたし、気配の消し方はナガレさんも褒めていた。

 あと、力も結構強いらしい。これも身軽さと同様、猿族の特性。重たい荷物もよく運ばされていたとか。あのお宝も沢山運んでくれていたし。絶対僕より腕力あるね……。

 それから、武器の手入れとか、掃除や洗濯、食材の調達や簡単な料理などの雑用も全般的にやらされていたらしい。まぁ、奴隷だものね……。

 うん、薄々分かっていたけど、かなりのハイスペックだね。

 これなら、頼めることも沢山あるぞ。毒造りの技術は薬造りに応用できるし、街の外に材料や食材を採りに行ってもらうのも安心だ。僕は一人じゃダメだって言われるけど、メイちゃんならむしろ一人の方が効率的かもしれない。

 クーデルさんの負担が減れば、その分道具造りやご贔屓のお客さんのお相手も存分にできる。店長には店長にしかできない仕事が沢山あるからね。

 ……正直、危機感がハンパない。ゲームで後から入ってきたキャラの方がレベル高いと、既存のパーティメンバーはこんな気持ちになるのかな。

 でも、ここは道具屋。ナガレさんと一緒に冒険者としてやっていくならいいけど、店員になるのならそうもいかない。

 メイちゃん、どう考えても接客には向いてなさそうだもんなぁ……。


「ただいま~!」

 二人が帰ってきた。案の定、大きな紙袋を抱えている。メイちゃんは三つも抱えていた。腕相撲は絶対に挑まないでおこう。

 昨日手に入れたお宝を少し分けてもらえたから、思う存分買い物できたみたい。クーデルさんがホクホクしている。

 残りのお宝は、今ナガレさんが知り合いの鑑定士さんと査定中です。値段とかよりも、危険な物がないかを調べてくれているみたい。明らかに呪いのアイテムっぽいのもあったからね。

「お帰りなさい。いいものは買えましたか?」

「うん! 見て見て!」

 クーデルさんが紙袋から取り出したのは、大きな革のリュックサックだった。

 この世界において、カバンは必須アイテムだ。お財布代わりだからね。

 採取作業をするなら尚更だ。

「新しい服も買ったんだよ! でも、カワイイ服はあんまり好きじゃないみたい」

「クーデルの服、動きにくそう」

 そう言うメイちゃんは、革のショートパンツにTシャツ、フードの付いた薄手のアウターという、ボーイッシュな服装だった。髪も切ったらしく、ショートヘアが綺麗に整っている。うん、よく似合うね。

「それに、あたしが着たら、ヘン」

「あら、そんなことないわよ。休日用の服も今度作ってあげるわね!」

 思わずクーデルさんのエプロンドレスを着ているメイちゃんを想像する。うーん、その無表情さえどうにかなれば似合うと思うけど……。

 でも、なんていうか、キャラじゃないよね。ダウンロードコンテンツの限定コスを無理矢理着せた感じ?

「ミツル、ヘンなこと、考えてる」

 鋭い! そんなスキルは聞いてないよ!

「ふ~ん? イケナイ先輩ねぇ。せっかくミツルにも新しい服を買ってきてあげたけど、売り物にしちゃおっかなぁ~」

「そんなぁ!」

 本気でがっかりした僕の情けない顔を見て、クーデルさんは吹き出した。

「あはは、冗談よ。まとめてお部屋のタンスに仕舞っておくから、お店が終わったら確かめてね。私は今からメイちゃん用のお部屋をお掃除するから、またお店番頼める?」

「はい、お任せ下さい」

「ありがと♪ それと、メイちゃんにも何かお仕事を教えてあげてくれるかしら?」

 おぉ、早速新人教育の機会だ。頑張るぞ!



「そんなわけで、まずは何から教えようか?」

「あたし、森、行ってくる」

「はい?」

 なんで急に森? あ、新しいリュックサックを背にしてアピールしてる。多分採取に行くってことか。自分に合った仕事を先にやりたいってことかな?

「うーん、まぁ、いいよ。じゃあお願いするね」

 これで自信をつけてもらえれば、モチベーションも維持できるものね。

「必要なものが何か分かる?」

「食材と、木材」

「うん、大体合ってるね。あ、木材は道具作りにも使うから大きめのサイズがあったらそれを優先的にね」

「りょうかい」

「晩御飯までには帰って来てね」

「りょうかい」

「じゃあ、いってらっしゃい」

「………」



 メイちゃんは、夜になっても帰ってこなかった。


お読み下さった方、誠にありがとうございます。

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