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18話

月のウサギと機械時掛けの神86


お茶会





「わしは戦いに来たんじゃないんじゃよ」


「はぁ……」


僕はヤマネさんと文化祭を楽しんでいる。


ヤマネさんの能力で眠っていた生徒たちや参加者も数分で目を覚ました。


「わしはお茶会でもしようと思ってな。見ての通り、わしら『青目』の能力は常時発動型じゃ。気を抜くとすぐに辺りを眠らせてしまう」


「なるほど」


「君はなぜ、『青目』と『赤目』が戦うか分かるかね」


「さぁ?」


「それはな、勝利したグループが神になれるからじゃよ」


「神に、なれる?」


「ああ、そうじゃよ」


「でも、神になんでなりたいんですか?」


「誰にもやり直したい過去がある。なりたかった自分がある」


「でも、なれなかった今がある」


「白崎真白。君は神になりたいかね?」


「僕は……」





舞浜学園。


「なんとか、勝ちました」


僕はヘッドギアを外し、アリスさんに手渡す。


「記憶は、戻った?」


黒芝の問いかけに僕は、


「もちろん」


と、返した。


「僕がエデンシステムを作り、人類保管計画を実行した」


「そう、超能力者たちの犯罪が増加し、普通の人類と超能力者たちの戦争が起きかけていた」


「それで、僕はエデンシステムを作り、普通の人類と超能力者の区別のない世界を作ろうとした」


「しかし、木戸秋葉は気付いてしまった。世界の真実に」


「だから、『青目』と『赤目』という勢力を作り、外世界へ行ける能力者を生み出そうとした」


「そして、皮肉にも木戸秋葉はこの世界にうり二つの世界、月のウサギと機会時掛けの神を作ってしまった」


「あの中での記憶はニセモノじゃない。この世界で実際に起きたことなんだ」


「そう。日比谷棺は実在する人間よ」


「そして、僕はあの学園で平穏な生活をするはずだった」


「でも、あなたは『目を開く』能力を覚醒させてしまった。いや、正確には発動によく似た状態かな」


鏡を見る。


そこにはエメラルド色とルビー色のオッドアイの僕が映っていた。


「今はちゃんと発動している」


「『目を開く』能力。他人からヒトゲノム兵器。ヴォイド兵器を取り出す能力……」


「アリスさん。みんなを助けましょう」


「そうね。でも、まずはエデンシステムを守っている端末を倒さないと。エデンシステムに近付くことも出来ないわよ」


「アリスさん。あなたを使います」


「やっぱり視えるの」


黒芝が聞く。


「視える? って?」


「私のヴォイド兵器が視えるってことですよ」





月のウサギと機械時掛けの神87


神になりたい





「僕は神になりたい、です」


「そうか」


ヤマネさんはお茶を喫茶店で飲みながら言った。


「君はなぜ神になりたいのかね」


「僕は、変えたい過去があります」


「変えたい過去?」


「時同沙耶を生き返らせたい。あの事故を無かったことにしたい」


「君の『目を逸らす』能力なら、時同沙耶の死を無かったことに出来るのでは?」


「出来ないんです」


「出来ない?」


「時同沙耶だけは、どうしても無かったことに出来ないんです」


「それは変じゃな」


「ですね」


「おっはー、ヤマネ」


金髪の少年が言う。


「チェシャー猫。ワシの目の前で何かする気かな」


「チェシャー猫。まさか七卿の一人かな?」


「落ち着いてるねー、白崎真白」


チェシャー猫は何時の間にかいなくなっていた。


「どこにでも現れ、どこへでも消える。そういう能力者じゃよ」


「……」


「さて、そろそろ時間だ」





舞浜学園。


「アリスさん。君を、使うよ」


アリスさんに右手を押し込む。


光の柱が右手を中心に現れる。


出てきたヴォイドにイメージを流し込む。


出てきたのは巨大な弓だった。


僕は弓を上空に向ける。


光の矢が生まれる。


「矢を撃つ」


矢を上空に向けて撃つ。


上空まで上がると矢は分裂し、幾万も分かれて地上に降り注ぐ。


地上のほとんどのエデンの端末はこれで無力化したはずだ。


「ヴォイド兵器。相変わらず一騎当千ね」


黒芝の独り言に、


「ヴォイド兵器。見たことあるの?」


「アリスが私のヴォイド兵器を使っているのを見たの」


「ふーん」


一瞬、不自然な気がしたが、気のせいだろうか?


「それはそうと、逢魔くん」


「はい」


「零って呼ばれるのがいい? それとも集って呼ばれるのがいい?」


「それは……」


考える。


逢魔零の生涯と、逢魔集の人生。


どちらも僕で、どちらも逢魔の、僕の生きた証だ。


「……」


「どっちも大切なのね」


「ええ」


「なら、逢魔くんと呼ぶことにするわ」


「すみません」


「なぜ謝るの?」








月のウサギと機械時掛けの神88


ヤマネ





「お茶。美味しかったよ」


ヤマネさんが料金を払う。


「いいんですか。払ってもらっちゃって」


「いいよ。まご小遣こづかいをあげたようなものだ」


「そう、ですか」


「また、いつか会おう」


「……さようなら。ヤマネさん」





舞浜学園。


「じゃあ、トラックでバベルの塔へ向かって、ハッキングしてリアライズシステムを使い、人類をエデンシステムから取り戻す。OK?」


「はい」


僕、アリスさん、黒芝がトラックに乗り込む。


運転手は黒人の男性だった。


「ハノイといいます。よろしく」


「よろしくお願いします」


「行きましょう。バベルの塔へ」





鏡代学園。


「白崎真白。ヤマネと出会ったな?」


「どうして、分かるの?」


安心院さんは言った。


「乙女のかんだよ」


「そうなんだ」


「それで、白崎真白。私には用事が出来た。すまないが一人で文化祭を楽しんできてくれ」


「うん。わかった」





某所。


「ヤマネ。あなた、『赤目』と接触しましたね」


青い目の女の子が言った。


「カナリアか……」


「やってしまいなさい」


カナリアの後ろから大男がやって来た。


「眠れ」


ヤマネは能力でカナリアと大男を眠らせる。


が、


バンッ!


ヤマネの脳を弾丸が撃ち抜く。


「ふぁああ。狙撃手よ。準備はしておくものね」





鏡代学園。


「射的だよ〜、安いよ〜、商品が豪華だよー」


僕が歩いていると、射的が視界の端に見えた。


「射的。面白そう」


射的の列に並ぶ。


「次の方〜」


「はいはい〜」


射的の銃はエアガンだった。


「商品をよく狙ってくださいね」


商品の中で携帯オーディオプレイヤーを狙う。


そして、


「料金倍出すからそっちの銃も貸して」


両手に銃を持つ。


視界には携帯オーディオプレイヤー以外見えていない。


「まずは一発」


一発目、右手の銃を撃つ。


携帯オーディオプレイヤーが揺れる。


揺れにタイミングを合わせ、二発目、左手の銃を撃つ。


商品は倒れた。


「大当たり!! なんと豪華商品の携帯オーディオプレイヤーを当てました!!」


周りから拍手を受ける。


「いや〜、どうも」


「はい。商品」


「ありがとう〜」


「それから……」


「なに?」


「おめでとうございます」








月のウサギと機械時掛けの神89






舞浜学園と本土をつなぐ道路を僕らは車に乗って移動していた。


「あの、スフィアってヘヴンズゲート計画の要なんですよね」


「ええ」


「父さんのヘヴンズゲート計画とどう違うんですか?」


「リアライズシステムを使って人々を現実世界に戻すのが私たちの計画で、あなたの父が進めているのは外の世界にみんなを導く。リアライズシステムの代わりになる能力者を見つけ出す計画よ」


「なぜ、知っているんですか?」


アリスさんが言った。


「神崎暁と犬塚一果くん、安心院さんが定期的に報告してくれますから」


「どうやって?」


「ハノイ。三人を回収します。東京中央病院へ」


「はい」





東京中央病院。


三人はヘッドギアを付け、眠っていた。


「体があっても意識がない場合。君ならどうする?」


「それはあのエデンシステムからどうやって帰還するかということですよね」


「ええ」


「エデンシステム内で死ねばいいんじゃ……あ!?」


僕は犬塚会長に撃たれたことを思い出した。


「その通り。体がある場合のみ。死ねば戻ってこれる」


「でもいつ死ぬかなんて」


「そろそろだ」


「う……うん」


「……おはよう?」


「……いや〜、寝たな」


三人が起きていた。


「三人ともどうしたの?」


「自殺したんだ」


「早く準備しろ」


何時の間にか後ろに男がいた。


「シドくん? だよね」


「ああ、逢魔零」





「さて、準備も出来たし」


「バベルの塔へ行くか」


「その前に武装。ちゃんとして」


黒芝が僕を見て言う。


「私のヴォイド兵器を使いなさい」





バベルの塔。


「黒芝。君を使う」


「ええ、いいわよ」


黒芝の胸に右手を押し込む。


「あ……あ……」


取り出したヴォイドにイメージを流し込む。


そして、


「柄だけの剣!?」


アリスが言う。


「私が引き出した時と違う」


「……」


柄の先をバベルの塔の入口へ向ける。


バベルの塔の入口が真っ二つになる。


「無限に伸びる不可視の剣、か」


「行きますわよ」







月のウサギと機械時掛けの神90

バベルの塔





「ハッキング開始ですわ」


暁のハッキング中。僕らは暁を守るように立っていた。


「逢魔くん。アメいる?」


「いえ。いいです」


「そう。美味しいのに」


「そう言えば、シドさんは?」


「シドなら表で自警ロボを引き連れて逃げてるわよ」


外を見る。


「本当だ。大丈夫なんですか?」


「大丈夫。シドは殺しても死なないから」


「ハッキング完了まであと二日。ハノイ、私の代わりにハッキングをしてください」


「じゃあ、そろそろあなたたちも行きましょうか」


「どこへ」


「鏡代学園へ」


「じゃあ、行くわよ」


安心院さん。暁。犬塚会長と僕はヘッドギアを付けた。


「スイッチオン」


視界が暗転する。


「ここは?」


「バベルの地下居住区だな」


「逢魔集。どうせですからフランベルジェと日比谷棺を助けませんか」


「暁。……うん。分かった」


居住区を手分けして探す。


そして、


「いたよ」


犬塚会長が見つけた。


「二人とも、大丈夫?」


「逢魔集」


「集……」


二人とも健康そうだ。


ただ、眠っているところを起こされたのかぼんやりとしている。


「まあ、こんなところですし、昼夜逆転しても仕方ありませんわ」


「棺。フランベルジェさん。起きてください」


「誰だ!」


居住区に明かりが付く。


「逢魔涯!?」


「父さん」


「集。そこをどけ」


「まったく、石頭ですわね」


暁がナイフを構える。


「ここは私が。あなたたちは早く外へ」


「分かった」








「ねぇ、父さんを暁は殺したりしないよね」


「場合による。だが、多分神崎暁は勝てないでしょう」


「なぜ?」


フランベルジェさんが言う。


「ふところに、銃を隠してた」


「なんだって!?」


パンッ。


後ろから無機質な音が聞こえてきた。

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