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12話

月のウサギと機械時掛けの神56


真実





「君は『世界を欺く』能力を持っている」


「はぁ」


「それを使って君はある事件を無かったことにしたんだ」


キリカの言うことは荒唐無稽に思えた。


だが、不思議と信じられた。


「君は過去でフードをかぶった人に追いかけられたはずだ」


「はい」


端的たんてきに言おう。それはここにいる長瀬だ」


「なんで、そんなことを?」


「君の能力を覚醒させるためだ。命の危機にひんした時、能力が覚醒しやすいのでな」


「じゃあ、その後校内放送で流れたのも?」


「いや、あれはまた別のやつの仕業しわざだ」


「話を戻すぞ。その後君が学校の教師たちに捕まった際にある事件が起きた」


「ある事件?」


「我々を喰らうモンスターが放たれたのデス」


「おかげで我々完全犯罪クラブは散り散りになり、君はモンスターが放たれた事件を無かったことにして偽りの学園生活を謳歌おうかしていたわけだ」


「でも、無かったことになるんならその方が良いんじゃ……」


「君が現実から『目を逸らす』能力者でなければな」


「『目を逸らす』能力……」


「そうだ。君が現実を否定しても、現実は変わらない」


長瀬も言う。


「無かったことにしても、有った事件は完全に無かったことにはできないってことさ。じゃあキリカ。ここもヤバげだから移動するよ」


「分かった」


「あの、僕はどうすれば?」


「自分で考えろ」


結局僕はキリカたちについて行くことに決めた。


「白崎、長瀬、来るぞ!」


「なにが?!」


「モンスターが、だよ」


キリカは腰からサブマシンガンを取り出すと、構えた。


「来るぞ!」


ドォオオオン。


空から降ってきたのはカマキリに似た昆虫のような化け物だった。


「モンスターだ。奴らを倒すことが当面の完全犯罪クラブの目的だ!」


キリカはサブマシンガンを乱射する。


長瀬はどこからか取り出した手榴弾のピンを抜き、投げた。


バンっ!


「やったか?!」


「キリカ」


キリカの肩を貫いたのはモンスターの指にあたる部分だった。


「なんとかしないと。なんとかしないと、なんとかしないと……」


『目を逸らす』能力。


『世界を欺く』能力。


「なら、」


僕はモンスターに向かって手をかがげる。


「消え去れ!」


モンスターは消滅した。


「キリカ、長瀬。早くここから離れよう!」


「……そうだな」


「いつまでも無かったことには出来ないものね」


「ああ、そうだね」








月のウサギと機械時掛けの神57


改めて自己紹介





「キリカ、肩は大丈夫?」


「ああ、かすっただけだ」


僕と長瀬、キリカは病院に逃げ込んでいた。


「やつら、モンスターはあの日に突如として出現し、人々を襲い始めた」


「……」


キリカは僕を見た。


「本当は君が『目を逸らした』ままでいてほしかった」


「けど、キリカは真白を現実へ連れ帰った。私の『目を醒ます』能力で……」


「ああ、今は人手が足らない。悪いが、協力してもらうぞ」


「はい」


「じゃあ、黒たちと合流するぞ」


「どこで?」


「フロリアで、だよ。籠城ろうじょうしているらしい」





フロリア前。


「見事にモンスターに囲まれてますね」


「白崎。無かったことにしろ」


「はい」


手をかざす。


「消え去れ!」


モンスターがカゲロウのように揺らめいて、消えた。


「今だ!」


僕ら三人はカフェ、フロリアへ入った。


「やぁ、キリカ。久しぶり」


「そっちのモヤシみたいなやつは誰だ?」


黒たちは僕と初対面のような反応をしている。


「完全犯罪クラブNo.7白崎真白くんだ」


「そして、完全犯罪クラブNo.8長瀬湊です」


「No.7は空席だったはずだぞ」


「いろいろあって、な」


キリカは僕に向かって言った。


「君が教師に捕まってから、君は異世界に居たようなものなんだ。だから、リアの『目を変える』能力を通して君のことを知った私以外は初対面だと思ってもらったほうがいい」


「はぁ……」


「白崎真白くんか……白くんでいいかな」


「はい」


「俺の名前は木戸秋葉。そっちの長髪の人は外神黒。で、そっちにいる女の子は秋瀬正臣。で、そっちでパソコンを弄っているのが……」


「フランベルジェ。フランちゃんですよね」


キリカが僕の肩に手を置く。


「そして、彼が完全犯罪クラブNo.7白崎真白。『目を逸らす』能力だ。そして、『世界を欺く』能力者でもある」


「で、具体的な能力は?」


「その前に自分たちのことを話すのが先、じゃないかな?」


「ちっ!」


「完全犯罪クラブNo.1キリカ。存在感を増やし、注目を浴びる『目を盗む』能力だ」


フランちゃんが手をあげる。


「完全犯罪クラブNo.2フランベルジェ。触れた対象を『知る』能力」


「完全犯罪クラブNo.3外神黒。記憶を操作する『目を殺す』能力だ」


「完全犯罪クラブNo.4木戸秋葉。気配を消す『目を隠す』能力です」


正臣が手をあげる。


「完全犯罪クラブNo.5。秋瀬あきせ正臣まさおみ。他人の能力を強化する『目が冴える』能力だよ」


そばにあったノートパソコンに女の子の画像と音声が出る。


「完全犯罪クラブNo.6。リア他人の能力を取り替える『目を変える』能力デス」


みんなの視線が僕に向く。


「完全犯罪クラブNo.7。白崎真白。現実から『目を逸らす』能力です」


「完全犯罪クラブNo.8長瀬湊です。他人の能力を打ち消す『目を醒ます』能力です」





月のウサギと機械時掛けの神58


閑話休題ではなく





学園祭前日。


「ねぇ白くん?」


「なに?」


「白くんって好きなタイプの女の子とかいないの?」


「うーん。考えたことないから分かんないや」


「じゃあ、今考えて」


「時同さん。そんな急に」


「急じゃないよ」


「っ!?」


キスをされた。


「私、白くんのこと、好きだから……」


「ごめん。でも僕はいつもの時同さんが好きだから」


「……」


「『無かったこと』にさせてもらうよ」


「……」


「キスのことも、告白のことも」


「……たとえ全てを忘れたって、この思いだけは『無かったこと』に出来ない」


「じゃあね。時同さん」





「…………はっ!?」


僕は今、モンスターによる危機にさらされた世界にいる。


僕の『目を逸らす』能力を使えばこの危機を一時的に無かったことに出来る。でも、所詮は時間稼ぎにすぎない。


「どうすればいいんだ……」


プルルル。


携帯が鳴る。


「誰〜?」


「やぁ、主人公。僕の名前は上条式。この危機を救いたかったら僕の指示に従うことだね」


「誰かな? この番号は知り合いにしか教えてないはずなんだけど」


「ふふふ。僕は一兆の能力を持っているからね」


「で、救えるの?」


「ああ、もちろん準備が必要だけどね」


「で、僕はなにをすれば?」


「準備が整うまで、完全犯罪クラブの皆の記憶を無かったことにせずにモンスターだけを『無かったこと』にしなさい」


「出来るの?」


「君は主人公だからね。もちろんできるさ」


「やるしか、ない」


僕は手を掲げた。


「モンスターを『無かったこと』に」


「でも、皆の記憶を無かったことにせずに」


「する!」


「へぇ〜、やれば出来るじゃないか」


「……」


「じゃ、準備ができたら知らせるぜ」


携帯が切れる。


「一体なんだったんだ」








月のウサギと機械時掛けの神59


主人公補正





「ぐ……」


動けない。


体の芯から痛みがくる。


上条式はそんな僕に言った。


「主人公補正とは偉大だね。僕にすら勝った君たちが今や僕に傷ひとつつけられないなんてね」


「なんの……話だ……」


「簡単な話さ。主人公は白崎真白に変わり、今や主人公ではない君や君たちは僕の脅威ではなくなったというだけさ」


「全く話が分かりませんわね」


暁も立とうとするが、式から受けた傷で立てない。


「今の僕には白崎真白という扱いやすいこまがいる。これで僕の好きなように世界を変えられる」


「……させるか」


「ん?」


「……たしかに僕は主人公じゃないかもしれない。脇役なのかもしれない。でも、脇役にも意地がある」


「脇役? いや、君たちは脇役以下だよ。モブキャラですらない」


「……でも、ここで引いたら本当に終わりだ。僕はそんなエンドは嫌だ!」


『よく言った』


「君も主人公だったなら分かるだろう? 主人公には誰にも勝てない」


『俺の名を呼べ』


「まったく、逢魔集。最期までかっこ悪く無様ぶざまに死ぬなんてね」


『俺の名は……』


「……日比谷」


「なんだ?」


「……日比谷。日比谷棺ぃいいい!」


「なんだこれは?!」


『ようやく呼んでくれたな。俺の名を』


光の柱が現れる。


そして、光の柱の中から棺が現れた。


「ずいぶん待たせたな」


「ごめん」


「まあ、いいや。さっさと片付けようぜ」


「うん」


棺の手をとる。


再び光の柱が現れ、僕の手に大剣が現れた。


「くっ! ……なんて言うと思ったかい?」


式の後ろに扉が現れた。


「バイバイ」


式は扉の向こうへ消えた。


「待て!」


僕らは扉をくぐった。





「ん。ここは?」


「やっと気付いたか」


目を覚ますとカフェにいた。


「ようこそ。カフェ『フロリア』へ」


優男やさおとこに体を起こされる。


「大丈夫? ひどい怪我をしてたから……」


「あの、棺は? 日比谷棺はどこですか?」


「こっちだよ」


棺はカフェの奥でパソコンを弄っていた。


「この世界は危機にさらされている」


優男がそう言った。


「危機?」


「そう、人外のモンスターが現れたんだ。今は白くんの『世界を欺く』能力で一時的に無かったことにされているんだけどね」


「白……白崎真白のことですか?」


「へぇ、白くんを知ってるんだ」


「実は僕たち、上条式という人を追いかけてこの世界に来たんです」








月のウサギと機械時掛けの神60


クロスオーバー





「……ということがあったんだ」


キリカさんに話を聞いて、分かったのがここが異世界だということだった。


「で、君たちは上条式を追いかけて扉をくぐったわけだ」


「ああ、そうだよ」


棺はリアという人とパソコン越しに会話しながら答えた。


「で、帰る方法は無いと?」


「ええ、多分、ていうか必ず暁や周もこっち側についてる可能性もあって……」


「分かった。じゃあ取り引きしよう。君たちは戦える。そして偽りの平穏はもうすぐ終わる、なら?」


「僕らは戦います」


「そうだな。私も上に暁や周が来ていないか問い合わせてみよう」


チリン。


カフェの鈴が鳴る。


「おはよ〜、学園祭に誘いに来たよ」


「白くん。俺は怪我人の看病があるから……」


「学園祭!?」


棺がいきなり大声を上げた。


「棺?」


「いや、俺は学園祭に行ったことないからさ。行きたいかな〜って」


「じゃあ行こう」


白崎に連れられ棺はフロリアを出て行った。


「君はどうする?」


「僕は式を探します」


「探す必要はないぜ」


優男のとなりに何時の間にか式がいた。


「はっ!?」


一瞬だった。


周や暁の時と同じように一瞬で僕らは負けていた。


「やっぱり、主人公補正のない君たちでは僕に勝てないようだね」


「それは、どうかな」


学園祭に行ったはずの棺がそこにはいた。


「学園祭なんて飽きるほど見てるっーの。俺がいなくなる時を狙ってたんだろうが、あいにくだったな。俺は勘がするどいんでね」


「『目を閉じる』能力。日比谷棺……」


「『目を閉じる』能力?」


「ああ、集は俺の能力について知らなかったんだよな。俺の能力は……」


式が一瞬で消える。


そして、棺に打撃を与える直前のポーズで止まった。


「俺の『目を閉じる』能力は二つの使い方がある。一つ目は発動している能力の強制終了。そして、もう一つは……」


式の髪が白く染まる。


「能力の封印だ。悪いが一兆の能力全て封印させてもらったよ」


「く……だけど良いのかい?」


「なんだ?」


「白崎真白の『世界を欺く』能力はもうすぐ時間切れだ。僕以外にモンスターを絶滅させる方法なんて……」


「ありますわよ」


カフェ『フロリア』に入ってきたのは神崎暁だった。


いや暁だけではない。


周や舞浜学園のみんなもいた。


「みんな、どうして?」


「その前に、私の髪の色を見て」


周の髪を見る。


アルビノ特有の赤い目、白い髪だ。


理不尽な暴力によって生まれた特徴。


「真っ白だ。なんで?」


「答えは明白だ」


「犬塚会長?!」


「ここは月のウサギと機会時掛けの神のゲーム内だからだ」

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