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【ショートショート】こちらテレビ局、正義の偏向報道課《火星人が攻めてくる……のを隠す!?》【二転三転】

作者: 無敵ざかり
掲載日:2026/02/22

「嫌です! 僕は偏向報道なんてしたくありません!」


「新人くん、これは人々の心を守るためなんだよ。偏向報道課は、正義のためにあるんだ」


 課長と新人スタッフは、テレビ局の一室で言い争っていた。


「真実を報道すべきです!」


「じゃあ、火星から宇宙人が攻めてくるのを、そのまま報道しろというのかい。そんなことしたらパニックだよ」


「では火星人が来た時、市民は何も知らずに襲われるべきだと!? 火星人の存在は知らせるべきです!」


 新人スタッフは《知ること》の大切さを説く。


「確率は低いが、宇宙で米軍が火星人を食い止める可能性もある。だったら、火星人の存在なんて、知らない方が幸せじゃないか」


 課長は、《知らないこと》の大切さを説く。


「しかし!」


「うーむ……」


 その時……





 バンッ!  部屋の扉が勢いよく開かれ、武器を携帯した集団がなだれ込んできた。


「しまったっ! 見つかった!」


「火星人!?」





 後日、街頭テレビにて。


『テレビ△□のスタッフが、精神病棟に緊急入院となりました』


 アナウンサーは、課長と新人スタッフについて知らせている。


『2人は偏向報道課を名乗り、《火星人が攻めてくる》と主張していました』


 専門家が続けて語る。


『火星に知的生命体の痕跡は、ありませんがねぇ。今は完全に、人類に管理されている星ですし』


 一人の男が、テレビに目もくれず、自宅を目指していた。愛する妻に会うためだ。





「ただいまー」


「あなた。火星は……いえ、今は第2地球と呼ぶのでしたね。そちらへの出張はどうでしたか?」


「ああ。テラフォーミングのおかげで快適だよ。20年も前にあんな開発をした人達はすごいねぇ」


「人類の力は凄いですね」


「しかし火星人がいなかったのは残念だな」


「うふふ、火星人って、どんな生き物なんでしょう」


「火を吹くんじゃないか? ハハハ」


「故郷を奪われた気持ちは、貴方には分からないのでしょうね」





 男は、炎に焼かれて消えた。

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