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第62話 土地の選定とギルド残党の影

リンドブルム領主アルフォンス侯爵から、

『ドラゴンステーション』建設の許可という、

望外の支援を取り付けた俺たちは、

早速、次のステップへと動き出した。


それは、ステーション建設のための、

最適な土地の選定だ。


侯爵からは、いくつかの候補地が提示されていた。

リンドブルムの街の東西南北、

それぞれに広がる未開発の土地。

どこも広さは十分だが、

それぞれに一長一短がありそうだ。


「よし、リュウガ!

今日は、俺たちの新しい城を建てる場所を探しに行くぞ!」


俺は、すっかり元気を取り戻したリュウガの背に跨り、

リリアさんとギドさんと共に、

候補地の視察へと飛び立った。

ピクシー・ドレイクたちも、

興味深そうに俺たちの後をついてくる。

いつの間にか、彼らは俺たちの周りを

遊び半分で飛び回るのが日課になっていた。

時には、小さな木の実や、

キラキラ光る石ころを運んできては、

得意げに俺たちに見せびらかす。

その姿は、見ていて飽きない。


最初の候補地は、街の東側に広がる平原地帯。

見渡す限り平坦で、広さも申し分ない。

街道へのアクセスも比較的良い。


「ふむ、ここは悪くないな。

これだけ広ければ、リュウガの滑走路…

いや、発着場も余裕で作れるし、

倉庫や厩舎も十分に確保できそうだ」

俺は、スキルウィンドウのマップ機能で

地形を分析しながら言った。


「ですがケンタさん、

ここは少し風が強いかもしれませんね。

それに、雨季になると水はけが悪くて、

地面がぬかるんでしまうという話も聞きます」

リリアさんが、薬屋の知識と、

地元住民ならではの情報を元に指摘する。

確かに、開けた平原は風の影響を受けやすいし、

水はけの問題は、荷物の保管にとって致命的だ。


次に訪れたのは、街の南側、

大きな湖に面した丘陵地帯。

景色は最高だ。

湖からの湿った風も心地よい。


「おお、ここは眺めがいいな!

ステーションが完成したら、

お客さんのための休憩所を作るのも良さそうだ!」

俺は、思わず声を上げた。


「フン、景色なんぞで仕事ができるか、小僧。

ここは地盤が少し緩いようだぞ。

それに、湖が近いということは、

霧が発生しやすいということでもある。

竜の飛行にとっては、あまり良い条件とは言えん」

ギドさんが、地面を金槌でコンコンと叩きながら、

厳しい顔で指摘する。

確かに、霧は空の安全を脅かす大きな要因だ。


西側の森林地帯、北側の岩場に近い荒れ地…。

俺たちは、丸一日かけて全ての候補地を視察したが、

それぞれにメリットとデメリットがあり、

なかなか「ここだ!」という決め手に欠けていた。


(難しいな…

ただ広いだけじゃダメなんだ。

リュウガや、将来仲間になるかもしれない他のドラゴンたちが

安全に離着陸できて、

荷物を効率的に、そして安全に管理できて、

なおかつ、リンドブルムの街や街道へのアクセスも良くて、

さらには、ギルドの残党どもからの襲撃にも備えられるような…

そんな都合のいい場所、そう簡単に見つかるもんじゃないか…)


俺が頭を抱え始めた、その時だった。


「ピィ! キュルル!」


俺たちの周りを飛び回っていたピクシー・ドレイクの一匹が、

何かを見つけたように甲高い声を上げ、

ある方向を指差すようにして旋回し始めた。


「ん? どうしたんだ、チビすけ?

あっちに何かあるのか?」


俺たちは、ピクシー・ドレイクが示す方へと、

半信半疑でリュウガを進めた。

そこは、リンドブルムの街から少し離れた、

小高い丘と、その麓に広がる、

今は使われていない古い牧草地だった。


一見すると、何の変哲もない場所だ。

だが、よく見ると、

丘の頂上は平らで、見晴らしが良く、

風も穏やかだ。

麓の牧草地は広大で、

リュウガの発着場や訓練場を作るには十分な広さがある。

そして何より、

丘の側面には、いくつかの天然の洞窟があり、

それを拡張すれば、倉庫や厩舎、

あるいはギドさんの工房としても利用できそうだ。

街道へのアクセスも、少し手を加えれば問題ないだろう。


「ここだ…!

ここしかない!」

俺は、直感的にそう感じた。

スキルウィンドウのマップ情報も、

この土地が地盤も安定しており、

水はけも良く、

風向きも比較的安定していることを示している。


「素晴らしい場所じゃないか、ケンタ!

あの小さな竜たち、お手柄だな!」

ギドさんも、満足そうに頷いている。


「はい!

ここなら、きっと素敵なドラゴンステーションができますね!」

リリアさんの瞳も、期待に輝いていた。


こうして、俺たちの『ドラゴンステーション』の建設地は、

意外な協力者であるピクシー・ドレイクたちのおかげで、

ついに決定したのだった。


だが、そんな俺たちの希望に満ちた計画を、

快く思わない者たちがいることも、

俺たちは忘れてはいなかった。


土地の選定を終え、

リンドブルムの街へ戻る途中、

俺は、ふと背後に不穏な気配を感じた。

スキルウィンドウは、まだ何も警告を発していない。

だが、俺の社畜時代に培われた(?)危機察知能力が、

確かに何かを捉えていた。


「…ギドさん、リリアさん。

少し、様子がおかしい。

誰かにつけられているかもしれない」


俺の言葉に、

二人の表情にも緊張が走る。


ゴードンは失脚した。

だが、運送ギルドの残党や、

ゴードンの不正によって利益を得ていた者たちが、

このまま黙って引き下がるとは思えない。

彼らは、俺たちの『ドラゴン便』と、

そして『ドラゴンステーション』計画を、

何としてでも阻止しようとするだろう。


俺たちの新たな挑戦は、

またしても、

見えざる敵との戦いから始まるのかもしれない。


リンドブルムの空に、

夕焼けの赤い光が広がり始めていた。

それは、美しい光景であると同時に、

どこか不吉な未来を暗示しているかのようにも見えた。

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