第52話 決戦!ドラゴン便の逆襲
「グルルルルルァァァァァッ!!」
リュウガの雄叫びが、
夜明け前の静寂を切り裂き、
リンドブルムの空に、いや、大地に木霊した。
それは、傷ついた翼を持つ竜の、
しかし何者にも屈しないという、
魂の咆哮だった。
ゴードン率いるギルドの私兵たちが、
鬨の声を上げ、
まるで黒い波のように俺たちに襲いかかってくる!
その数、数十人。
一人一人が手練れというわけではないだろうが、
この数はこちらにとって圧倒的な脅威だ。
矢が雨のように降り注ぎ、
剣と剣がぶつかり合う甲高い音が、
静かな森に響き渡る。
「小僧!
リュウガの翼がまだ本調子じゃないことは分かっているな!
無理な機動は避けろ!
敵を引きつけ、各個撃破するぞ!」
ギドさんが、愛用の金槌を旋風のように振り回しながら叫ぶ!
その小柄な体からは想像もできないほどの気迫で、
次々と私兵たちを打ち据えていく。
ドワーフの戦士としての血が、
今、この瞬間に滾っているのが伝わってくる!
「はい!
リュウガ、低空を維持して、
ギドさんの援護に回るぞ!
そして、例のブツを試す時だ!」
俺は、リュウガの背で体勢を低くし、
ギドさんが作ってくれた、
鞍の側面に装着された連続式『黒煙弾』発射装置の
引き金に手をかけた!
「食らいやがれぇっ!」
バシュ! バシュ! バシュ!
連続して放たれた黒煙弾が、
私兵たちの密集する地点で炸裂し、
一帯を濃密な黒煙で包み込む!
「ぐわっ! 煙で前が見えん!」
「こんちくしょう、どこから撃ってきやがる!」
敵陣が混乱に陥る!
その隙を逃さず、
ギドさんが、まるで猪のように突進し、
数人の私兵をまとめて吹き飛ばした!
「リリアさん!
今だ! 援護を!」
「はいっ!」
洞窟の入り口近くに身を潜めていたリリアさんが、
薬草の知識を活かして調合した、
特殊な刺激臭を持つ液体を詰めた小瓶を、
混乱する私兵たちの足元へ次々と投げ込む!
それは、直接的な殺傷力はないものの、
強烈な臭いで敵の戦意を削ぎ、
動きを鈍らせる効果があった。
彼女の機転と勇気が、
確実に戦況を俺たちに有利に傾けている!
「グルルルァァァッ!」
リュウガも、翼の痛みを堪えながら、
ギドさんが新たに装着してくれた金属製の鉤爪で、
果敢に敵に立ち向かっていく!
その鋭い爪は、私兵たちの粗末な鎧を紙のように切り裂き、
彼らの戦意を打ち砕く!
(スキルウィンドウ、起動!
敵の配置、動きの予測…!
右翼が手薄だ!
あそこを突破すれば、ゴードンの本陣に迫れる!)
俺は『異世界物流システム』の情報を元に、
戦況を冷静に分析し、的確な指示を出す!
このスキルは、直接的な戦闘力にはならない。
だが、戦場全体の情報を把握し、
最適な戦術を導き出す上では、
何よりも強力な武器となるのだ!
「ギドさん! 右翼をお願いします!
リリアさん、引き続き攪乱を!
リュウガ、俺たちは中央突破でゴードンを狙う!」
「「おう!」」
「はい!」
仲間たちの力強い返事が、
俺の心をさらに熱くする!
俺たちは、もうただの運び屋じゃない!
このリンドブルムの未来を賭けて戦う、
誇り高き『ドラゴン便』なのだ!
だが、ゴードンも、
そう簡単には引き下がらない。
追い詰められた獣は、
最後に最も牙を剥くものだ。
「おのれ、小賢しい真似を…!
傭兵部隊! 何をしている!
さっさとあのドラゴンを仕留めんか!」
ゴードンの怒号と共に、
森の奥から、
新たな敵が現れた!
それは、以前俺たちを襲った、
あのワイバーン騎兵団だった!
しかも、その数は以前よりも多い!
「まずい…!
あいつらまで出てきたか…!」
空と陸からの挟み撃ち!
絶体絶命のピンチ!
だが、俺たちの心は、
まだ折れてはいなかった!




