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私の推しは和泉くんです。

───推し、というものをご存知だろうか。


その多様さは、自分の好きなアイドルや俳優、アニメやゲームのキャラクターなど挙げれば果てがない。


こんな話が始まった以上、私にも当然ながら推しと呼べる存在がいる。


「おはよう。伊波さん」


隣の席の和泉くんだ。


どうやら客観的に見ると、同じ学年のナントカくんに比べて特別イケメンというわけではないらしいが、その落ち着いた雰囲気と聞き上手な事で誰からも好かれるくらいの人気者の和泉くん。(私調べ)


運良く隣の席になっただけの雑草のような私にも分け隔てなく挨拶を交わし、会話をしてくれる。優しい。


今だって、しっかりと私の目を見て朝の挨拶をしてくれている。


はしゃいだり、皆との交流が苦手な私がそんな彼を好きにならないなんて事があるのだろうか、いや、ない。


「おはよう。和泉くん」

「どうしたの?……もしかして夜更かしでもした?普段よりへにゃってなってるけど」

「へにゃって何ですかね……寝るのはちょっと遅かったけど」

「眠くてどこかにぶつかったりしないようにね」


仕方ないなぁ、なんて微笑みながら言ってくるものだから、ちょっと恥ずかしくなって思わず目を反らしてしまう。


急な推しの過剰供給はとてもクリティカルなので宣言してからやって欲しい。


「先生来たら起こしてあげるから、少し寝たら?目を瞑るだけでも楽になるよ」

「おっと?悪魔の誘惑だ……じゃあ、お言葉に甘えようかな。おやすみ」

「…………はい、おやすみ」


入学してから行われる和泉くんとの壮絶な舌戦(ただの会話)に連敗中の私は、赤くなってるであろう顔を隠すように机に突っ伏した。


それなりに付き合いがあるといっても、流石に寝不足がバレるとは思わなかった。せっかくの推しとの貴重な時間を削ってしまうことを勿体なく感じるも、このままだったら和泉くんによって私の心臓が破裂しかねなかったので、この撤退は必要なものであると納得しておこう。


───私の推しは今日も尊い。

(……おやすみって、なんかいいな。やばいニヤけてないか今)

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