2/14
「は、はろー?どちら様?」
「ハロー」
家を出てすぐ、見知らぬ女性が話しかけてくる。
とても気さくで馴れ馴れしくて私は嫌だ。
厚着をしている。こんなにも暑いのに。
金髪な髪と緑色の目。
私は美人だと思った。
でも、なんでだろうか。懐かしいとか、そんな気持ちが溢れてくる。
けれど、知らない人だから、
「は、はろー?どちら様?」
そう言うととても悲しそうにした。
これでは私が悪者みたいでは無いか。
「そ、そうだよね。あんなことがあったあとだもんね。ご、ごめんね!」
そう言って何だしそうな顔を最後に駆け出してしまった。
私は彼女の名前も、ましてや私の名前も知らないのに。
「私が私の名前を知らないのはおかしくない?」
その疑問に答える人はいない。
答えてくれそうな人は既に遠く小さな背中を見せるだけ。
「足遅いな」