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得もいえぬ空気
今日の季節は秋のみみたい。
遠くに見えるこの街のシンボル的な木が紅葉しているのが見える。
あの木は桜を咲かすし、イチョウや紅葉をつけるし、たまにお金が降ってくる。
よく分かんない物体でもあった。
それが普通。
そんな普通の木がある広場を通り過ぎても歩き続ける。
何処へ行くの、その一言さえ出てこない。
き、気まずいなあ。
「さて、私の家に来るのも久々になるのかしらね」
振り返って言う。どこか期待しているような口振りだった。
全く知らないし、そんな記憶は無いのだけれど、
「そうだね」
と、言った。カリーナは困ったように笑った。




