5話 はじめての武器修繕
いつも通り夕食をいただいたあと、僕は武器修繕が可能になったことをデルフさんへと伝える。
すると「是非!」とお願いされたため、僕は彼の武器を預かった。
デルフさんの武器もやはりよくこれで戦ってたなと思うほどに錆びだらけ、刃こぼれだらけであった。
状況を確認し、このレベルなら今の魔力でも直せると判断した僕は「ではいきますね」という声の後、イメージしながら修繕をする。
そしておよそ30分で僕は作業を終えた。
「よし。これで完成です」
「す、すごいわ!」
「きれいね!」
「あぁ……」
「ぜひ試し斬りをしてみてください」
キラキラした目をしたデルフさんが、僕から剣を受け取る。
やはり大人になっても新品のように美しい剣にはロマンを感じるのかもしれない。
デルフさんははやく試したいのか、ソワソワしながら藁の束を用意する。
そして皆の安全を確認したあと一閃。それにより藁はきれいに真っ二つになった。
ちなみにこの世界の剣は日本刀よりも西洋剣に近い。故に切るというよりも叩き切る感じだが、それでも真っ二つにできるということはかなりの切れ味なのではないか。
「こんなに変わるのか……」
「お父さんすごい! ファンもすごいわ!」
「ほんとねぇ」
「ファン、これは革命だ。君が『鍛冶』を手に入れてくれて本当によかった!」
言って興奮冷めやらぬ様子で僕の手を握った後、真剣な表情で言葉を続ける。
「それで、礼はなにがいい?」
「あ、実はこれから村のみんなの武具や農具を少しずつ修繕していこうと考えてまして。そこでどこから直していくべきか、村のみんなと話し合って順番決めをしてほしいのです」
言葉の後「殺到されても困るので……」と続ける。デルフさんはまさかの回答だったのか、目を丸くしながら口を開く。
「そんなことでいいのか?」
「はい。お金は今のところ使い道がないですし、食事もみんなから分けてもらって足りているので」
「そうか。ならこちらで順番を決めておこう」
「ありがとうございます! よろしくお願いします!」