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チクシュルーブ作戦

本日2回目の更新です。

……………………


 ──チクシュルーブ作戦



 いよいよスターライン王国によるドラゴニア帝国帝都レックス攻略作戦が始まった。


 作戦名はチクシュルーブ作戦。


 まずはMiG-29戦闘機とSu-24戦闘爆撃機が飛竜騎兵の厩舎を夜間爆撃で完全に破壊する。それから軍の宿営地を爆撃し、敵に大打撃を与える。


 夜の目を持つのはスターライン王国だけで、ドラゴニア帝国は全く反撃できない。


 航空優勢が完全に確保されたのを確認してから第13独立空中機動猟兵大隊が帝都レックス中心部にある帝城に向けて6機のMi-24攻撃ヘリに護衛されて、突き進んでいく。風の魔法によりローター音を消したヘリの群れは帝城上空に達し、帝城中庭に向けて降下していく。Mi-24攻撃ヘリは人狩り機仕様で帝城周辺の敵勢力を狙う。


 攻撃ヘリの火力に援護された状態でティノ率いる第13独立空中機動猟兵大隊は帝城を突き進んでいく。近衛兵と銃撃戦を繰り広げて制圧し、帝城を派手に破壊しながら突き進んでいく。


「勝ちますかねー」


「ここまで来て負けるかよ」


 ティノたちが帝城攻略に動いているとき、鮫浦たちは帝都レックスの外でBTR-70装甲兵員輸送車をベースにした指揮通信車の傍にいた。今は参謀長のピーリアとシャリアーデが車両の中にいる。


 王立機甲連隊と王立機械化歩兵連隊は出撃準備を済ませており、第7山岳猟兵大隊と第9戦闘工兵大隊もいつでも突入できる。


「待たせましたね、鮫浦殿」


「いえいえ。それでは?」


「はい。突入を決定します。それから残りの兵器、そしてパーツと燃料、弾薬の買い取りにも同意します。契約書を」


「どうぞ」


 これで晴れて鮫浦は在庫をゼロにすることができた。


「それではこの戦いに勝利しましょう。これで本当に終わり」


 長い戦いを戦い抜いてきたシャリアーデがそう言う。


 二重の都市の城壁上空を攻撃ヘリが飛び回り、敵を排除している。そこにさらに迫撃砲の砲撃が加わり、同時に迫撃砲が照明弾を打ち上げる。


 そして、王立機甲連隊と王立機械化歩兵連隊が先陣を切って突入する。


 城門が砲撃で破壊され、戦車が突き進んでいく。


 そこで建物に隠れていた武装衛兵隊が戦車の上部構造に向けて火炎弾を放った。


 都市防衛を任されていたイーティア・ツー・ケラトプス大将は戦車というものが、燃える液体で動いていることをイーデンたちから聞き出していた。それで戦車に炎を浴びせれば、その炎に引火して破壊できると思ったのだ。


 だが、そこは自分たちで火炎瓶を作り、ロシア軍の戦車と戦ってきた兵士たちだ。戦車の上部には火炎瓶除けの籠がつけてあり、炎の弾はそこに命中して止まった。


 そして、容赦なく後続の86式歩兵戦闘車が武装衛兵隊が潜む建物を砲撃した。


 命中精度の低い86式歩兵戦闘車の主砲でもこの距離ならば命中する。


 戦車は敵歩兵を捕えると情け容赦なく砲撃し、無理やり帝城までの道を切り開いていく。武装衛兵隊が決死の抵抗を試みるも、装甲化された歩兵戦力の前には手も足も出ず、情け容赦なく機関銃で薙ぎ払われ、迫撃砲の砲撃を受けて散った。


 武装衛兵隊は次々と投入されるが、スターライン王国側は軍団砲兵連隊も投入し、市街地ごと彼らを吹き飛ばした。


 そして王立機甲連隊と王立機械化歩兵連隊が道を切り開いていき、帝城に迫る。


 その頃帝城では第13独立空中機動猟兵大隊が制圧戦を繰り広げていた。


 近衛兵たちも決死の覚悟で戦ったが第13独立空中機動猟兵大隊を阻止することはできず、突破を許してしまう。第13独立空中機動猟兵大隊は攻撃ヘリの援護を受けたまま、帝城の各地を制圧していき、いよいよ皇帝エムリルの執務室に迫る。


 そして、近衛兵の警備を排除して執務室に押し入った。


「ほう。そなたらがスターライン王国の兵士たちか」


「皇帝エムリルだな。お前を拘束する」


「結構。だが、私を捕えても軍は止まらぬぞ」


「分かっている。次は陸軍最高司令官だ!」


 皇帝エムリルを玉座の間に連れていきながら、ティノたちは次にリスタを探す。


 第13独立空中機動猟兵大隊は帝城から陸軍省の建物に向かう。


 陸軍省では大した抵抗はなかった。ここが戦場になるときはドラゴニア帝国終焉のときとしたリスタによって、兵士たちは武装解除されており、ティノたちは易々と陸軍省に押し入り、参謀本部に突入した。


「動くな!」


「降伏する、スターライン王国の軍人よ」


 そこでリスタが両手を上げていた。


 リスタは責任を取って自決しようと考えたが、皇帝エムリルから『死ぬのは逃げだ。死んで責任を取ろうなど卑怯だ。生きて屈辱に塗れ、それでもこの敗北を後世に伝えるのが貴公の役目だ』と言われ、自決しなかった。


「陸軍最高司令官として全軍に降伏の命令を」


「陸軍部隊は降伏させよう。だが、武装衛兵隊は指揮系統が違う。あれは国家全体戦線党の私兵だ。あれを止めるには国家全体戦線党の党首ヒルニアル・ツー・アルバレスを拘束する必要がある」


「そいつはどこにいる?」


「屋敷だ。この位置にいるはずだ」


 リスタが帝都の地図でヒルニアルの屋敷を指さす。


「王立機甲連隊と王立機械化歩兵連隊に連絡。作戦目標を変更。ヒルニアル・ツー・アルバレスを拘束せよ」


「了解」


 すぐに大隊本部付きの通信兵が連絡を取る。


「諸君らはその通信機をどの程度持っているのかね?」


「1個小隊に最低1個と思っていただきたい」


「小隊単位で持っているのか?」


「そうだ」


 リスタは銃の強さはもちろんスターライン王国の指揮通信能力にも驚かされた。


「王立機甲連隊から1個小隊がヒルニアルの確保に向かいました」


「さて、陸軍最高司令官閣下、ご同行願おう」


 ティノたち第13独立空中機動猟兵大隊はリスタを捕虜にして玉座の間に連れていく。


「やめろ! 平民がっ!」


「少佐殿!」


 そこでフロックが叫ぶ。


「どうした? 」


「メテオールです。関係者によると、この男が我々についての情報を帝国に提供した、と。いかがしますか」


「銃殺にしろ」


「了解」


 イーデンたちが壁際に立たされる。


「嫌だ! 平民に殺されるなんて嫌だ!」


「撃て」


 そして、イーデンたち亡命貴族が崩れ落ちる。


 それから、王立機甲連隊から抽出された1個小隊の機械化歩兵はヒルニアルの屋敷に向かった。ヒルニアルを確保して、武装衛兵隊による抵抗を止めさせるために。


 だが、ヒルニアルは逃亡していた。


 あれだけ戦争を煽った男が、今は必死になって逃げていた。


 ここまでスターライン王国が強いなどとは彼は思っていなかった。武装衛兵隊が本気になりさえすれば阻止できると思っていた。だが、現実はそう甘くはなかった。


 スターライン王国は一瞬で飛竜騎兵を壊滅させ、軍の宿営地に打撃を与え、今は市街地で戦闘している。それを武装衛兵隊が押さえているという。


 もはや、勝ち目はない。このままどこかに逃げ──。


 けたたましい銃声が響き、ヒルニアルが恐怖にすくみ上る。


「止まれ! ヒルニアル・ツー・アルバレスだな! 同行してもらうぞ!」


「ば、蛮族め! 我々は降伏など……!」


 また銃声が響く。


「ひいいっ! 分かった! 分かった! 降伏を命じる!」


「それでいい。同行してもらおう」


 王立機甲連隊はヒルニアルを捕えると、帝城まで連行していった。


 そして、ヒルニアルが魔道具で降伏を命じ、指揮系統を外れた武装衛兵隊の小部隊以外は降伏した。抵抗を続けた武装衛兵隊も壊滅に追い込まれ、帝都防衛司令官であったイーティアは自決した。


 陸軍全軍にも武装解除命令が出され、戦闘は終結した。


……………………

次回、最終回!

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新連載連載中です! 「人を殺さない帝国最強の暗殺者 ~転生暗殺者は誰も死なせず世直ししたい!~」 応援よろしくおねがいします!
― 新着の感想 ―
[一言] イーデンさんたち、銃殺刑ですか~。 銃弾がもったいないから絞首刑でも良かったかな。
[一言] いよいよ次で終わりですか。お疲れ様です。 最後まで圧倒的でしたねスターライン。この分だとこの世界で産業革命が早期に起きてしまう可能性もありますね。しかも土魔法や風魔法は残りそうな気配ですし。…
[気になる点] あー規約違反意識していたんすね、成程、それにしてもゲリラが数話で壊滅とか、哀れですなぁ、戦車に火炎瓶が効果的だったらしいと聞いて驚きましたなぁ、皇帝退位したら、国情安定しなくて、女王に…
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