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カエデ  作者: アザレア
討滅戦~過ぎ去りし代償~
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甘味の致命毒

臨戦態勢に入ったヒガンは不敵な笑みを浮かべ超大型"マリー"と対峙する。

大きな口を近づける"マリー"。何時でも襲えると言う威嚇をする"マリー"だがヒガンは「言ったじゃろ?わっちを食えば死ぬぞ?」するとヒガンは左腕を突き出し「試しに腕を食ってみるか?主の巨大であれば死ぬ事はないじゃろうが致命傷は避けられんぞ」人間の言葉を理解しているのかは分からないがヒガンの挑発に乗りその口でとうとう噛み付こうと動き出した。


だが腕を噛み砕こうとした"マリー"だが途端に動きを止めた。何かを察知したのか少しずつヒガンから後ずさりしていく。

「どうした怖気付いたか?せっかくじゃ楽しもうじゃないか。そうじゃな、まずはわっちの……」ヒガンが"マリー"に仕掛けようとした瞬間、風に攫われてしまった。


風を纏いヒガンを抱えたのは「ヒガン何やってるの!?"マリー"に食べられそうになってるのにボーッと立ってるだけじゃダメじゃない!」ディーナが焦った表情で"マリー"から遠ざかった。

なんの躊躇いもなく自分を抱えて逃げるディーナに驚いていたヒガンは「主……わっちの属性を聞いておらなんだのか?」誰かから属性の話を聞いていないのかと思っていた。


ディーナは少し黙った後に「……聞いたわよ。確かに危険かもしれないけどそれでも貴方を助けない理由にはならないでしょ?仲間が危機にさらされているのに指をくわえて見ている"リンドウ"じゃないからね」

人間くさい人情を見せるディーナに「…ふふふふっ」突然笑い始めるヒガン。「何かおかしい?」「いや、主はお人好しを通り越して愉快な"リンドウ"じゃのうと思ってな」「それ、褒め言葉として受け取っておくよ」


ディーナはヒガンを連れて離れた場所にいる二人の元に連れてきた。シスイはヒガンを連れてきた事に少しだけ怒っていたようで「ディーナ様~私(わたくし)はしっかりと忠告しましたよ~」ディーナも危険を顧みずにヒガンを救助したことに怒っていたようだ。

「ごめんって。でもこれでヒガンが大怪我負うことはなかったでしょ?」得意気な顔をするディーナにシスイはため息をついた後に微笑みを見せた。


だが地響きがし始めると超大型"マリー"がこちらに突進してきていた。「身体が大きいからあのゆっくりな動きでも近づいてくるのが速く感じるわね」焦りはしていないソニアは既にミズバを構え矢には電流を流していた。


しかしここでヒガンがソニアの前に右手を広げ「まぁ落ち着きなんし。少し休息は必要じゃ」少し戦闘続きのソニアに休みように伝えた。

「悠長に言っている場合ではありません。止めなければ…」ミズバを引く手をやめないソニアだが「なに、安心しなんし。来れば、苦痛に溺れるだけじゃ」そう言ったヒガンの左手には紫色の球のようなものが手にはありその球を超大型”マリー”の進行方向に軽く投げた。


地面に球が落ちると球は割れ中から紫色のおどろおどろしい液体が零れ辺りの地面が侵食しはじめた。進行を止めない”マリー”だが液体を見た瞬間に歩を止めた。

明らかに警戒する”マリー”は地面を掘り始め巨体を地面の中に身を隠した。警戒する一同だが真下やその周辺に出てくる様子はなく一時的に”マリー”はその場から離れているようだ。おどろおどろしい紫色の液体はしばらくすると蒸発するように消えていった。


「危機を察知したようじゃな。あのまま踏んでくれたら楽じゃったんじゃが」ディーナは初めて見たヒガンの属性を見て驚愕していた。少し空いた口が塞がらないディーナにヒガンは「どうしたディーナ?あぁそうじゃったな。主はまだわっちの属性を見たことがなかったのう」驚いている理由が分かったヒガン。


「シスイから聞いただけだったから実際に見て驚いたよ。貴方の属性が変異属性、闇属性ではなく毒の属性を持つなんてね」「いかにも、わっちは恐らく闇属性の変異、毒を自在に操ることが出来る毒人間なんじゃ。”甘味(かんみ)の致命毒(ちめいしゅ)”。わっちの毒は甘いのじゃ、甘味のように。甘さに浸りながら致命に至る。わっちらしい二つ名じゃ」ヒガンの属性は闇属性の変異属性、毒属性であり毒を操ることが出来る属性だった。


「毒ねぇ…確かに属性としてはかなり強力無比、でも”マリー”からしても私達からしても危険な属性ね。何せ私でも未知の属性だからね」ディーナは六属性全てを扱うことが出来るがナデシコのような変異属性は扱えない。それはヒガンの持つ毒属性も例外ではない。


「ヒガン様の属性は私(わたくし)や皆様にも危険です。そのためヒガン様は”リンドウ”としては誉ある皇帝の称号を与えられていますが前線を退いておられるのは一般人や”リンドウ”に被害が及ぼさないためなのです」皇帝の一人であるヒガンだが前線から退いている理由は広範囲に広がる毒は"マリー"だけではなく人にも影響が広がり最悪死に追いやってしまう可能性があるため現在は前線を退いている。


「それ以外にも理由はあるのじゃがな。わっちの話はこれぐらいにして、目の前の"マリー"に集中じゃ。そろそろ何かをしてくるはずじゃ」自分の属性の話を辞めて超大型"マリー"に集中するように言った。


"マリー"は螺旋状の咆哮をもう一度繰り出そうとしているのか再び息を大きく吸っていた。「またさっきの?私の属性で耐えられるって分かったからきても無駄だよ」ディーナはローゼンのマガジンを変えて銃口を向けた。


「ディーナさん、その属性弾は不要です」ディーナの隣で右膝を地面につき狙いを定めミズバを構え逆手に弓を引くソニア。矢はより強力な電撃を纏っていた。めいいっぱい引いた矢を放ったその一撃は今まで比べる間もないほどの速度で"マリー"に向かっていく。


"マリー"は避けなければならないと分かっていたがあまりの速度に動くことは出来ずに巨体に直撃した。明らかに強力になっていた電撃に思うように体が動かない"マリー"はその場に留まってしまった。


ソニアは立ち上がり「防ぐ術が無ければ発動させなければよいだけです。無様な真似ばかりでは二つ名の称号に傷をつけるだけですから」ディーナやシスイに助けられてばかりだと思っていたソニアは汚名返上とばかりに強力な一撃を放ったのだった。


「さすがねソニア。それに貴方の動きでもう合わせてる子もいるよ」「それは…」辺りを見渡すとそこにはシスイの姿がなかった。"マリー"の方を見ると痺れて動けない"マリー"の頭上からフリージアを逆手に構えたシスイが"マリー"に突っ込んでいく。


「動かないでください」そう静かに呟くとシスイの姿が見えなくなった。姿が見えたのは"マリー"の顔の目の前で何かを斬りつけたように腰を低くした状態だった。

だが"マリー"がシスイの姿が見えた瞬間にその巨体の身体が斬りつけられ黒い血が吹き出した。

連続してただの”マリー”であればソニアの一撃で絶命している。それはシスイの一撃でも同じことが言え、超大型”マリー”は苦痛の表情を浮かべていた。ソニアの電撃の麻痺の効果はなくなっているはずだが”マリー”は動くことができずにいた。


シスイは反撃の可能性も考慮してすぐさまその場から消え去りディーナ達がいる場に戻ってきていた。

シスイはディーナに満面の笑みでピースをしていた。「ありがとシスイ。的が止まってくれるならこの銃弾を当てれるね」ディーナはローゼンを斜め上に発砲した。


「これで終わってほしいよ。なんて言ったってローゼンの属性弾最高威力なんだからね」発砲した属性弾は"マリー"の真上まで進むと突然電撃を纏い本物の雷の同じ程の勢いで"マリー"に雷が直撃した。


黒焦げになってもおかしくない雷の属性弾。"マリー"は息遣いが荒くなりかなり消耗しているのが目で分かるがそれでもまだ生きていた。


「良い連携じゃったがまだ奴は生きておるのう。しぶとい奴じゃ」ヒガンはため息をつきまだ生きている”マリー”に少し呆れていた。

「私も討伐できたかと思ったけどまだのようね。さすがは超大型”マリー”ってところね」その巨体に見合うタフな身体に逆に関心してしまうディーナ。


手負いの状態の”マリー”だが怒りを見せるかのようにその場で二足歩行で立ち上がり大咆哮をした。その振動は少し離れているディーナ達にも身体全体に振動が起こったかのような衝撃が襲った。ディーナは顔を片手で抑えシスイは両手で顔を抑え、ソニアは膝をついてしまった。ヒガン顔をしかめて「やかましいのう」その表情からは苛立ちを隠せていなかった。


咆哮が終わりディーナは膝をついたソニアの方を向き「ソニア大丈夫?」と言って手を差し出した。ソニアは抵抗もなくディーナの手を取り立ち上がり「ありがとうございます。それにしてもあの”マリー”の属性はいったい…」ソニアは”マリーの属性がいまいち分かっていなかった。


だがディーナは「いや”マリー”の属性はあの声だよ」「声?」「”マリー”の属性は闇属性の圧倒的な肺活量や声量を出せる属性。今まで咆哮も全部属性から出るものだよ」超大型”マリー”の属性、それは声による咆哮であるとディーナは推測していた。


「なるほど、確かに今まで咆哮全てが”マリー”が出していたものではなく属性から衝撃波など出しているのであれば納得が出来ます。生物の域を超える存在かと思っていました」属性ではなく”マリー”が自ら出しているのかと思っていたが属性だと聞いて納得がいったソニア。


「驚異的じゃのう。口を塞ぐ方法でも探すか?」ヒガンは属性を止める方法を聞くが「いや止めるよりかはすぐに討伐した方がいいかな。奴はかなり消耗している、一気にたたけば討伐も出来るよ」属性を止めるよりかは早期に討伐を提案したディーナ。

「勝ち筋はあるのか?」ディーナは自信満々の表情でローゼンを懐に納めもう一丁の銃、フォーリーを取り出し掌から二発の弾丸を創りだしフォーリーのシリンダーに装填した。「フォーリーを使う。あの”マリー”にとっておきの銃弾を浴びせてやるわよ」この弾丸で終わらせるようだ。


ヒガンはその表情を見てほくそ笑み「ククッその意気やよし。二人もそれで良いか?」シスイとソニアにも聞くと「はい~私(わたくし)は大賛成でございます~」「決着は速いほうが良いです」そう言ってソニアは一度深呼吸をした後の右手を広げて静かに目を閉じると電流が右手集まっていく。集まっていく電流は自然と弓矢の形に生成していきソニアが握るとそこには雷の弓矢が完成していた。

「ディーナさんが秘策を使うのであれば私(わたくし)も少し本気を出させていただきます」弓矢を持参していたソニアだったが今回は自らの属性で生成した弓矢を使い本気を出すと宣言した。


「ソニア様も本気でございますね~」「シスイや、わっちも”マリー”の元の連れてってくれんか?奴との決着じゃ」高速で移動する手段を持ち合わせていないヒガンは移動をシスイに頼んだ。

「お安い御用です~。…ならば私(わたくし)も本気で行かせてもらいます」シスイも臨戦態勢になり本気をだすことに。


「皆やる気だね。それじゃあ行こっか。あの”マリー”に最高の地獄を見せてやろっか」そう言ってディーナはフォーリーの銃口を”マリー”に向けた。

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