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カエデ  作者: アザレア
討滅戦~過ぎ去りし代償~
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超大型"マリー"討滅戦

シスイに連れられ超大型”マリー”の元へと向かうディーナとヒガン。高速移動するためにディーナは風の属性弾を使い自分を浮かせて移動し、シスイはヒガンにも風のぞ属性を纏わせて共に移動した。シスイの属性はディーナの属性弾よりも速くシスイとヒガンは先に超大型”マリー”の元に向かった。


ディーナは遅れて超大型”マリー”に向かう中「”超大型”マリー”、このタイミングでの出現は恐らく人間を食べるため、町を襲った事により人間を食べ味を知ってしまった。腹が減れば人間も生物も気性が荒くなる。そして標的になったのはラゴンってところね。何かを食べるのは生き物としては当然だけど人は食べ物じゃないよ。ここで絶対に止めてみせるよ」考察の余地はあるもののディーナは超大型”マリー”の行動原理を考えていた。一度人間の味を覚えれば山から下りてくる熊のようなものと一人推測していた。なんにせよ”リンドウ”は討伐する選択しかない。


ディーナが風に乗って向かっていると、シスイ達の姿見えた。「シスイ!」と声をかけ目の前を見ると”アフィシャル”第四支部があった場所辺りに来ると、そこには全身が真っ黒の四足歩行の下顎から伸びる二本の鋭利な牙はありとあらゆるものを嚙み砕くだいた痕があるように血のような赤い痕もついていた。何より前面には大きな口のような器官が無数の牙が蠢いていた。


見た瞬間にゾっとしたディーナは風纏いを解除して集合していたシスイとソニアとヒガンに合流して「ひぇ気持ち悪る。話に聞いていたよりも想像の倍以上にグロテスクね」その見た目の気持ち悪さやグロテスクの見た目から少し引き気味のディーナ。


わたくしも初めて目の当たりにしましたがあの大きな口があるのは初めて知りました。納得しました、超大型”マリー”が通った後は建物も何もかもが無くなっていましたがあの大きな口で食べていたのなら無くなっていても不思議ではありません。あの中に食べられた人もいると考えれば…想像したくありません」全てを飲み込む口、それは建物も人間も同様に。


「ずっと監視を続けていましたが動き自体は鈍い可能性が高いです。彼方で見えた瞬間にシスイさんに貴方方を呼んできてもらいましたがようやくここまで来ました。あの巨体故の鈍重なのかは分かりませんが」ソニアはミズバを構え臨戦態勢に入っていたが、動きが遅い”マリー”に射出することなくただ動向を確認していた最中、ディーナ達が来た。一人では戦闘しなかったのにはディーナの言葉が少し響いていた可能性もあるが。


ヒガンはずって煙管キセルを持っていたが超大型”マリー”相手にはさすがに煙管キセルを袖に入れ「いよいよじゃ。この中で最年長のわっちから一つ激励じゃ」普段仕切ったりすることのないヒガンが突然全員に言葉をかけた。三人はヒガンの方を向いた。「苛烈な戦いになりそうじゃが、決して死ぬではないぞ」真剣な顔のヒガンに三人は「了解!」「分かりました~」「承知」各々が同意した。


「それでは…わたくしが先陣を切らせていただきます」完全に臨戦態勢に入ったシスイはその場から消え”マリー”の背後に瞬間移動し風を纏わせフリージアを逆手にどこが急所なのかを探ろうとしたシスイだが、超大型”マリー”は突然四足から二足になると二つの口で雄たけびを上げた。その雄たけびの音圧は凄まじく少し離れていた三人両腕で防がないと吹っ飛ばされてしまう。そして近くにいたシスイは抵抗出来ずに空中に浮いたまま吹き飛ばされてしまった。


かなり飛ばされたシスイは何とか風を再度纏わせ空中で体制を立て直して「咆哮でここまでの圧…一筋縄ではいかないかもしれないですね」動きが遅ければ自分のペースに引き込めると思っていたがさすがにそんな甘い考えは超大型”マリー”の前では通用しなかった。


超大型”マリー”はシスイの方を振り返りその巨体でシスイに突進していった。一歩一歩の歩幅は大きいものの動きは鈍重のため風を纏うシスイは瞬時にその場から消え超大型”マリー”の背後に再び回り込んだ。


「その動きではわたくしに当たるなんて…ッ!」背後に回り込んだはずのシスイだが超大型”マリー”はシスイが移動することを読んでいたように華麗にドリフトを繰り出し残り歩幅二歩三歩でシスイに当たる距離だった。「あの巨体であそこまで速く!」再度距離を取ろうとしたが勢いは先程よりも上がっており考えている最中では当たってします。何も考えずに遠くへと移動しようとしたシスイ。その時、雷を帯びた弓矢が後ろから顔の真横に通りすぎ弓矢が超大型”マリー”に命中した。命中した瞬間に超大型”マリー”の動きが止まった。その隙にシスイは瞬間移動してディーナ達に合流して風纏いを解いた。ソニアがミズバを構えて手には電流が流れていた。


ミズバを下ろして「一人ではご無理ではありませんか?わたくしに忠告を施しておいて自らが向かうのは愚かでは?」一人で討伐で討伐に向かおうとしていたソニア忠告をシスイが言ったが単身で向かったシスイに少しキツい言い方をした。

しかしシスイはいつもの口調になり「すみません~少し気を張ってしまいました~」先陣を切れなかったことと一人で向かったことを謝罪した。


だがディーナは少し笑って「でもソニアはシスイを助けた、そうでしょ?」シスイの危機を救ったソニアは見捨てはしなかった。「当然です、優秀なる”リンドウ”を失うのは惜しいですから」そっけない態度ではあるがソニアはシスイの実力を認めていた。

それを聞いたシスイは少し驚いた顔をした後に笑みを浮かべ「ありがとうございます~」


「微笑ましいやりとりじゃが見てみろ、”マリー”は既に電撃から放たれてのじゃ。耐性もそれなりにあると言うことじゃのう」超大型”マリー”は動かずに警戒しているがソニアの矢はあまりダメージにはなっていなかった。

わたくしも本気で射ったわけではありません。これは想定内の結果です。あの電流で少しでも動きを止められると分かっただけでも戦いを有効に進められます」本気で放ったわけではない雷の矢でも行動妨害が出来ると分かっただけでも十分だった。


「それじゃあ今度は私の番ね。超大型"マリー"討伐経験者の実力見せてあげるよ。サポートよろしくね」そう言ってディーナは猛スピードで超大型"マリー"に向かって行った。ソニアはため息をつい「はぁ……何方も勝手ですね。ならばこちらも気ままにやらせてもらいます」ディーナの後に続きソニアも走り出した。

「皆様やる気ですね~ではわたくしも御一緒させていただきます~」穏やかな顔だったシスイだが鋭い眼光を見せ、もう一度風を纏いその場から消えた。


ディーナは超大型"マリー"に近づいて行けば行く程その巨大な身体に「この距離で見ると大きわね。さてこの属性から行かせてもらうわよ」ディーナはローゼンを取り出しある程度距離を取りながら三発の属性弾を撃った。その巨体と鈍重の動きではローゼンの弾速を避けることは出来ずにまともに属性弾が命中した”マリー”。


属性弾は氷の属性弾で命中した箇所からどんどんと凍っていく”マリー”だが”マリー”は先程の咆哮ほどではないが大きな叫びをあげると凍っていた箇所が砕けた。

「さすがにこの程度じゃ大したダメージにはならないね。でも気は逸らせたんじゃないかな?」ディーナに向かっていく”マリー”だがディーナより少し離れた場所かソニアがら弓矢を引き雷を帯びた矢を放った。さらに間髪入れずに箙からもう一本取り出し少し角度を変え矢を放った。


二本の矢は時間差で二本共命中し再度麻痺状態にさせた。動きが止まる”マリー”に突如シスイが”マリー”の顔面の前に立ち「急所が分からないのならその顔は斬るだけです」何のためらいもなく”マリー”の眼を刺した。麻痺は治っていた”マリー”だが眼を刺された痛みはさすがに効き巨体をよろめかせた。


三人の連携にかなりのダメージを与えたと手ごたえを感じていたディーナ。シスイは瞬間移動でディーナに合流した。ソニアもディーナに合流して「見事です」初めて属性弾を見たソニアは短い言葉ではあるがディーナを称賛した。

「皆の連携のおかげね」「はい~これでヒガン様のお力をお借りすることなく…えっ」シスイはかなりのダメージを負っていると思い”マリー”の方を見ると”マリー”は無傷だったかのように三人を睨みつけていた。眼も失明などしておらず負傷程度だった。


「無傷ですか。まさか今回も自然回復の属性?」独り言をつぶやくシスイ。驚きはしたが冷静に分析して前回討伐した超大型”マリー”と同じ属性ではないかと考えるシスイ。

だがディーナは傷を与えた箇所を見ると自然に治癒してはいなかった事を見ると「いいえ傷は癒えていない。自然回復の属性ではないね。多分ただ耐久性が異常なだけかもね」未知の存在の超大型”マリー”、ディーナが圧倒的な耐久を持っていると考えていた。

「であれば攻勢の手を緩めなければ討伐出来ます」そう言ってミズバを構えるソニア。「強気ね。まぁそっちの方が分かりやすいけどね」ディーナもローゼンを構えた。


さらなる攻撃を仕掛けようとする三人だが”マリー”は突然息を吸う動作をした。「気を付けて、何かするつもりだよ」ディーナは二人に警戒を促した。

そして息を吸った”マリー”は口を開けるともう一つの口と同時に咆哮を放った。だがその咆哮は辺り全てを吹き飛ばすほどの大咆哮。あまりの衝撃にディーナ達は立つことすら出来ずに吹き飛ばされた。


ようやく咆哮も収まりディーナ達は吹き飛ばされ倒れていた。骨にまで響き一般人なら全身の骨が砕けるほどの衝撃に「これが超大型”マリー”。やっぱりそこらの”マリー”とは桁違いね」改めて超大型”マリー”の脅威を感じていた。ディーナはなんとか立ち上がり左右を見た。

シスイは膝をつき息を整えて立ち上がった。ソニアはまだ骨が響いていいるのかまだ立ち上がることが出来なかった。


「ソニア、待ってて今から…っ!」ソニアに寄り添おうとしたが超大型”マリー”はまだ立ち上がることが出来ないソニアに向かって突進してきていた。「追い打ちをかけるっていうのね。どうやら私達を敵対者としてみなしたようね」超大型”マリー”は”リンドウ”を排除しようと完全に力を出したようだ。


「まずはソニアの救助ね。雷が有効なのは分かるけどソニア程の属性弾をこの距離で撃つにはソニアが危険過ぎる。ってなれば風の属性弾でソニアを助けて…」

頭をフルに回転させてソニアの救助方法を考えるディーナ。「急がないとソニアが…」”マリー”からソニアの方を見るとシスイが既にソニアの腕を肩に背負いアイコンタクトで「こちらは大丈夫ですよ~」と言ったように思ったディーナ。シスイはソニアを抱え瞬間移動でその場から移動した。


超大型”マリー”は鈍重の動きでもソニアがいた場所に来たがそこにはソニアはいなかった。

「ナイス、それじゃ心置きなくぶっ放せるね」ディーナはマガジンを変え超大型”マリー”にローゼンの銃口を向け「とりあえず大人しくしてろよ」一発放った属性弾は超大型”マリー”の胴体に命中すると特大の電流が炸裂し超大型”マリー”は痺れて動かなくなってしまった。


動かない”マリー”に追撃はせずに”マリー”から離れた位置に移動していたシスイとソニアの元に向かった。ソニアはなんとか一人で立つことが出来るようになっており二人に合流したディーナは「ソニア大丈夫?」中々起き上がれなかったソニアを心配した。

「ご迷惑をお掛けした事は謝罪します。ですが行動不能になっている”マリー”に何故追撃しないのですか?あの状態であれば膨大な耐久を持つ”マリー”に少しでも傷を…」”マリー”に追撃しなかったことに疑問を感じていたソニア。


だが話している最中のソニアにディーナは「私一人じゃ勝てない相手だからね。貴方の力が必要なのよ」一人で立ち向かうことはせずにここにいる”リンドウ”総力で戦わないと勝てない相手だと分かっていたディーナ。

無表情のソニアだがほんの少し感情が動いたように見えたディーナ。「ならばお力添えさせていただきます。不甲斐ない結果で終わるのもわたくしとしては不本意ですので」ソニアはディーナの言葉に賛同して全員で討伐することに同意した。

「でもソニアはちょっと身体が弱いと思うから弓だし後方支援に徹した方がいいかもね」「そうですね~あの大きな声はとても衝撃的でしたがわたくしでも耐えられますからね~」「それに関してはあなた方が異常なのでは?」


三人は超大型”マリー”の方を見ると麻痺状態は治り再び息を吸っているのが見えた。しかし距離が少しあるため先程の大咆哮を繰り出しても無事な位置にはいる。

だが何か不穏な予感を感じるディーナはローゼンにマガジンを変え「二人共気を付けて、何か仕掛けてくるよ」警戒をする三人。だが”マリー”の息を吸う動作が長い。すると前面の巨大な口を三人に向けた。ディーナは背筋が凍り「二人共私の後ろに隠れて!!」鬼気迫る表情になるディーナに二人は驚きすぐにディーナの後ろに行った。


ディーナは属性弾を撃つと目の前に大きな氷の壁が広がった。そして”マリー”の大きな口から放たれたのは螺旋状に渦巻く竜巻のような衝撃波を吐いた。氷の壁に激突した衝撃波。その威力は圧巻なもので衝撃波は収まる気配もなく氷の壁がひび割れていく。

ディーナはさらに属性弾を撃ち複数枚の氷の壁を広げさせた。一枚目が割れさらに二枚目も割れ険しい表情になるディーナは「お願い、耐えて」自分の属性弾の耐久力を信じた。そして最後の一枚に到達しさらにひび割れていたが衝撃波は収まっていった。


冷や汗をかいたディーナはホッと一息をついて「よかった。にしてもこの”マリー”の属性は確定したね」この衝撃波をもって超大型”マリー”の属性が分かったディーナ。

唖然となるソニアはディーナに「でぃ、ディーナさん。あそこまでの大規模な衝撃波を耐える属性弾を生成出来るのですか?驚きました、わたくしではどうすることも出来ませんでした」ディーナの属性弾の防御性能にさすがのソニアも驚きを隠せなかった。「まぁ何とか耐えたってところだけどね。二人を守れて良かったよ」「ありがとうございます~。ディーナ様は本当に多彩な方ですね~」いつもの調子のシスイだが感謝を伝えた。


「さてあの衝撃波を何回もやってくるってなるとちょっ厄介ね。どう対策しようかな…」衝撃波の対策を考えるディーナ。”マリー”は衝撃波を放った後に下顎から伸びる牙で唐突に地面を掘り始めた。「何?今度は何をするつもり?」またしても何かをするつもりの”マリー”。堀り進めるとそのまま地面の中に潜っていった。


「地面に潜った…まさかあの時…」何かを感づいたディーナだが突然地響きを起こり始めた。ソニアはこの地響きは”マリー”と分かり「”マリー”が地面の中を潜行している。まさかそんな”マリー”がいるなんて」地面を泳ぐ”マリー”に驚愕するソニア。「どこから来るか分からない。警戒しててね」いつ地面から出てくるか分からない中で常に気を張る三人。


しかし地響きが徐々に収まっていく。「離れて行っている?逃亡した…?」ソニアはどこかに離れていく”マリー”に疑問を感じたがディーナは「違う、標的を変えたのよ。ヒガン!」直観的にヒガンの元に向かって行くのが分かったディーナ。


「皇帝とは言えヒガンでも超大型"マリー"相手は手に余るよ!早く行かないと」ヴァレアと同じ皇帝の称号を持つヒガンでも超大型”マリー”単身の討伐は不可能と思っていたディーナ。

ヒガンの元に向かおうとするディーナだがここでシスイが「お待ちくださいディーナ様」ディーナを止めた。


「どうしたのシスイ?早く行かないと…」「ディーナ様はヒガン様の属性をお知りではありませんでしたね。正直ヴァレア様がヒガン様を今回の討滅戦にご参加させるのは驚きました。あの方が今前線から退いているのは少々ご理由があります。何せヒガン様の属性は我々にとっても危険過ぎる属性ですから…」「えっ?」


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 一人ヒガンは三人の戦いを遠くで見守っていた。「うむ、やはりあの三人であれば超大型”マリー”でも討滅は可能じゃのう。わっちの出る幕はないようじゃが…ん?」ヒガンの周りが地響きが起こり始めた。すぐに”マリー”がこちらに来ていると分かったヒガン。

するとヒガンの目の前の地面が盛り上がり始め、地面が割れると超大型”マリー”が姿を現しヒガンの前に立ちはだかった。おぞましい形相を見せる”マリー”だがヒガンは笑みを浮かべ「わっちを先に食おうと言うのか?それもよかろう。じゃがな、それは主の極上の死を意味するぞ」そう言ってヒガンは特に構えなどはしなかったが臨戦態勢に入った。

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