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カエデ  作者: アザレア
王都の近衛
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格付け完了

湖の"マリー"との決着をつけるため各々が臨戦態勢に入る三人。"マリー"も突如増えた一人に警戒をしており様子を伺っていた。


「ハオウ、貴方の属性であいつの急所は分かる?」「探知した結果奴の弱点は、あの舌と目と目の間だ」ハオウの属性により"マリー"の急所の箇所が分かった。


「舌を何らかの方法で切り落とせば、奴の動きは止まる。最大の弱点は目と目の間。あそこをつき刺すもしくは撃ち込めば絶命するはずだ」「舌ねぇ。あいつの一番の長所が弱点になるなんてね。それが分かれば充分ね。狙いを定めるのは得意よ」"マリー"の狙う箇所が分かったディーナは照準を口元に向けた。


「聞いていた通りハオウさんの属性は驚きますね、まさか"マリー"の弱点を知れるなんて」ディーナの過去の話を聞いていたが目で生物の急所を見極められるハオウの属性に改めて驚きを隠せなかったスイレン。


「分かるだけだ。それからの対処は私達の手にかかっている。奴が死ぬか、私達が…」「私達は死なない、あいつが死ぬ。でしょ?」目の前の"マリー"に殺されかけたと言うのに、"マリー"に臆することはなくむしろ余裕の微笑みを浮かべるディーナ。


ディーナの表情を見て少しだけ驚くように眉を上げたハオウは「落ち着きも二つ名"リンドウ"に相応しくなったか、それでこそ私の一番弟子だったな」

手塩にかけて育てた部下が二つ名を持つまで立派になった姿を改めて嬉しく思った。


ハオウの様子を伺っていた"マリー"は、驚いていたハオウを見逃さなかった。長い舌を一気にハオウの足首に目掛けて伸ばした。

勢いよく伸ばした舌だったが「自ら弱点を露出するとはな、よほど死にたいようだな」逆手に持つナイフを見せつけた瞬間、"マリー"はすぐさま舌を引っ込めた。


「どうしたのでしょう?自ら攻撃を辞めるなんて」好戦的だった"マリー"の消極的な行動に理解が出来なかったスイレン。

「"マリー"の勘が働いたんでしょ?あのままだったら舌を斬られたから、ハオウの殺気を感じ取ったのよ」

ディーナは分かっていた。"マリー"の行動は本能的に身を引く動作だった、それほどハオウと言う人間が危険だと判断したのだと。


「直感の働く"マリー"だな。面倒な奴だ」向かってきていれば手に持つナイフでつき刺せたがそう簡単にはいかなかった。


すると、"マリー"口を開けた。長い舌での攻撃かと思っていたハオウだったが、"マリー"の口から放たれたのは電撃の玉だった。突如の属性攻撃に驚いたハオウだったが体は動いてその場からは咄嗟に離れた。

電撃の玉はハオウがいた場所で炸裂した。


スイレンは驚く表情を見せて「あれは…"マリー"の属性は水ではないのですか?」水中に引き込みまったく抵抗感のない速度で動いていた"マリー"をずっと水属性だと思い込んでいたが、突然雷の属性を扱った"マリー"に困惑していた。


「納得したわ、私の雷の弾丸を直撃しても無傷で反撃した理由。雷属性持ちなら電撃の玉が当たってもさほど痛がらないのも当然ね」

ディーナずっと疑問だった。ローゼンから放たれた雷の属性弾は強力ではなかったが、威力はそう弱いものではなく、普通の"マリー"であれば動きを止められる程の威力はあり耐性が無い"マリー"であれば即死級であった。

だが"マリー"はほぼ無傷どころか属性弾とほとんど同じ威力の電撃の玉が返ってきた。

水の属性であれば雷の返すのはほとんど不可能ではあるが"マリー"が雷属性だったら辻褄が合う。雷属性であれば瞬時にディーナに向けて電撃の玉を放つことも出来る。先程のハオウの対しても同じ電撃の玉を放ったのである。


「しかし、それでは水中で呼吸をする術がないと思いますが…」「"マリー"だからって言う理由じゃない?それにあの見た目は爬虫類、陸上でも水中でも動ける生物がいると考えれば不思議じゃないんじゃない?」未曾有の”マリー”と言う生命体に疑問を持つスイレンだが、それが全て”マリー”だからと納得するディーナ。


「どんな”マリー”であれ関係ない。私達の役割は即座に討伐し、国を守護することだ」「それもそうね。さてと、雷になら…」

ディーナはローゼンのマガジンを入れ替えようとしたとき、突然"マリー"は口を開け姿勢を低くした。


「何かする気ね、二人共気をつけてね」警戒を強める三人に"マリー"は口を閉じた。「どうしたのでしょうか?何を…」スイレンが意図が分からない"マリー"に疑問を持ったその瞬間、目では追えない程の速度で舌を伸ばした。


伸ばした先はディーナであり、あまりの速度にディーナも反応出来ずに腰周りに巻き付かれ引っ張られてしまった。

ディーナは反応は出来なかったが、次なる行動をすかさず考えた。すると、"マリー"はディーナを食べるのではなく目の前まで引っ張った。


目の前の獲物を必ず仕留めようとする"マリー"はその長い舌を超高速で動かし八つ裂きにしようとした。

"マリー"の舌は例え人間だろうと軽く引っ張れるほどの力を持っており、凶器とほとんど変わらない舌で何度も殴られればただでは済まない。


対峙する"リンドウ"が普通の実力者であれば即死は免れない…が、湖の"マリー"と対峙しているのは二つ名を持つディーナ。生半可では殺せるはずがなかった。

ディーナは引っ張られる一瞬でナイフを抜いており超高速で動かし回る舌を全てナイフで受けきった。

その動きは常人が出来る動きではなく、何度も"マリー"と対峙してきたディーナだからこそ対応できた賜物である。


「あっぶな、反射神経が良くてよかった」猛攻を凌いだディーナは一安心していた。

僅か数秒の出来事にスイレンは驚愕して目を見開き絶句していた。「私であれば、何度もあの舌の猛攻に巻き込まれていた…」自分が舌で引っ張られていればあの速度にはついていけなかった、そう考えれば背筋が凍るスイレン。


ディーナは"マリー"に目を向けると"マリー"は長い舌を口に収めずに垂れ流したまま息遣いを荒くしていた。

「お前も疲れちゃった?じゃあ休ませてあげる、永遠にね」ナイフを鞘に納めたディーナはローゼンを取り出し近距離の舌に向けて属性弾を発砲しようとしたその時、"マリー"は舌を動かしディーナのローゼンを持つ手首に巻きついた。


「また同じ事をするつも…り?」手首を巻き付かれたまま何もしなかった"マリー"だが、舌から電流を纏わせた。

電流は巻き付いたディーナにも流れ、ディーナの体に電流が走った。


「いっ!」苦痛の表情を浮かべるディーナ、その中でもなんとかローゼンの属性弾を発砲しようとしたが掴むだけでも精一杯、トリガーを引く力は今のディーナにはかなり難しい状態だった。


かなり強力な電流を流され続けるディーナが耐え続けられるのも時間の問題。このままでは命が尽きるまで電流を流され続けてしまう。

だが、ディーナは抵抗の意志を見せずにただ耐え続けた。それは必ず誰かが来るのを待つかのように。


その想いが通じたかのように、もう一人の"リンドウ"が自身の属性を使い猛スピードでこちらに向かってきていた。

噴水を発生させその噴水をアーチ状にさせ、上空からスイレンは"マリー"に突っ込んでいく。


「ディーナさんから離れろ!!」手にはロータスを持ち、舌を斬り落とそうと突っ込んでいくスイレン。

しかしスイレンが突っ込んでくることを察知した"マリー"はディーナの手首から舌を引っ込めその場から離れた。


スイレンはロータスを振り下ろす事が出来ずにディーナの目の前に着地した。

「クッ!また仕留められなかった」逃げられたことに自分に苛立ちを見せるスイレンだが、膝を着いてしまったが「ありがとスイレン。おかげで助かったよ」舌から離されたおかげで電流から開放されたディーナはスイレンに感謝を伝えた。


「ディーナさん大丈夫ですか?」スイレンはディーナの元に駆け寄り安否を確認した。「大丈夫、ちょっと電流でビリビリするけど。でも助けてくれるって信じてたからちょっと待ってた」スイレンの目を見て笑った顔を見せて安心させようとした。


「そんな不確定な、私が助けに行かなかったら…」「そんな選択スイレンに出来た?仲間想いのスイレンに見捨てるなんて選択は無いって分かってたからね」

スイレンの仲間想いの性格を分かっていたディーナはスイレンが仲間が危険な目に合っていれば必ず助けに行く。だからディーナは反撃をしなかった、絶対に助けに来るから。


「買いかぶりすぎですよ、それよりも"マリー"にまだ一撃も与えられていません。ハオウさんもまだ様子を伺って…ってあれ?」スイレンがハオウの方に振り返るとその場に居たはずのハオウがいつの間にか居なくなっていた。


「どこにいったのでしょう…」「あぁそう言えばハオウの得意戦術を言ってなかったね」「得意戦術?」

「うん、ハオウは私達みたいに属性で攻撃出来る訳じゃない。だからこそ彼女は戦術や戦略に力を入れている。今もそうじゃないかな?ハオウは、強力な属性を持っていなくても"マリー"を討伐出来るよ」


その言葉通りの事が起こっていた。"マリー"は二人から下がっていたが、"マリー"の動きを予測していたかのように"マリー"の裏に回り込んでいた。"マリー"は後ろにいるハオウに気がついていない。

存在感を完全に消して背後に回り込んだハオウ。その手には逆手に持つナイフ。


「油断したな」ハオウは"マリー"に飛びかかった。飛びかかった瞬間に"マリー"は気がついたが時は既に遅かった。

ハオウは"マリー"に飛びかかり「貴様の弱点を晒し出せ」"マリー"の後ろの首元辺りをナイフで突き刺した。


"マリー"は突き刺された瞬間に叫ぶや暴れるではなく、"マリー"は口からその長い舌を垂れ流した。

「OK、ハオウ」ディーナはハオウの意図を分かり、膝を着いた状態でローゼンを構え狙いを定めた。


狙いを定めた後に放たれた一発の属性弾は"マリー"の舌に命中した。当たった瞬間、"マリー"の舌は凍りついた。凍りついた舌は口に引っ込めることが出来ない。

「スイレン、後は任せるよ」ディーナは立ち上がりスイレンの背中を優しく触った。


「名誉挽回のチャンス、受け取りました!」そう言ったスイレンは地面に水を張った。足元が少し浸かるだけの水を張ったスイレンは水の上に立つと猛スピードで滑って行き一気に"マリー"との距離を縮めロータスを振りかざし凍りついた舌をスピードの勢いで一刀両断した。


長い舌は地面に落ち"マリー"の挙動はなくなり、動くことが出来なかった。「やっぱり舌を失えば行動が出来なくなるのね、ハオウの属性のおかげね」ハオウが弱点を見抜いていなければ舌を斬り落とすと言う選択は出来なかったであろうディーナ。


スイレンもすぐにディーナの元に帰ってきて「本当に動きが止まってしまうなんて、ハオウさんの属性は唯一無二ですね。改めて凄さが分かります」今まで戦闘に特化した属性ばかりを目の当たりにしていたスイレンにとってハオウの属性は新しい戦いが出来る属性だと分かった。


スイレンが舌を斬り落とす瞬間には"マリー"から少し離れていたハオウは全く動くことが出来なくなった"マリー"にとどめを刺そうとどんどんと近づいていくが、突如"マリー"は舌が無くなった口元に電気を集結させていた。


それはディーナとスイレンも気がついており、集結させ放つ方向は明らかにディーナの方角を向いていた。

電気は徐々に大きなっていき、ディーナ達と同じ程の大きさになっていた。


ハオウはその大きさに危険を察知し「ディーナ!スイレン!避けろ!!」当たればひとたまりもないと判断して二人に叫んだが"マリー"は電撃の玉を二人に放った。


大きくなった玉を避ける事は不可能と即座に判断したディーナは「何とか時間は稼げるかな?」と呟くとローゼンを電撃の玉に銃口を向けたが、スイレンがディーナの前に立った。


「スイレン?」ディーナの前に立ったスイレンは息を吸うと、地面に貼っていた水がどんどんと無くなっていきスイレンは掛け声と共に右手を地面に叩きつけるように手の平でつくと、スイレンの目の前に水の壁が浮かび上がった。

水の壁はスイレン達よりも巨大でどんな攻撃でも通らない程の厚さだった。

水の壁に電撃の玉は直撃した。険しい表情を浮かべるスイレン、水の壁は少しずつ押されているが電撃の玉も小さくなっている。


「絶対に崩されるものか!」スイレンは地につける手をギュッと握ると水の壁はさらに強度を増したかのように水の色がさらに透き通った。

そして攻防の末、電撃の玉は完全に消え失せ、水の壁はすり減らされたがディーナを守ることが出来た。


衝撃が無くなったと悟ったスイレンは水の壁を崩れさせ再び地面に水が貼った状態にした。かなりの疲労だったのか息を荒くしたスイレン、膝を着いた状態だったが顔をディーナの方に振り返り「はぁ…はぁ…後は、お願いします…」と、少し微笑んだ。


「さすがね、二つ名"遊宴の水演舞"の名に恥じない活躍よ。Check」

ローゼンの銃口を向けた先は、最大限の属性を引き出したが食い止められ唖然となっている"マリー"の目と目の間だった。


「湖如きの主が二つ名の水属性の"リンドウ"に勝てるわけがないでしょ?格付け完了、私達の圧倒的勝利よ。Checkmate」発砲したその弾丸は属性も何も無いただの弾丸だったが、"マリー"の目と目の間を的確に撃ち抜いた。


撃ち抜かれた"マリー"は一瞬空を見上げた後に静かに目を閉じ、息を引き取った。

勝利を確定した事が分かったスイレンはまだ疲労が抜けていはいないがロータスを支え替わりに立ち上がりディーナに振り返り「お疲れ様です、貴方を呼んで間違いはありませんでした」「同じ"リンドウ"でしょ?助け合わないと、ね」言葉と同時にスイレンにウィンクをしたディーナだった。

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