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カエデ  作者: アザレア
王都の近衛
59/86

ディーナの嫉妬

"アフィシャル"第四支部を壊滅させ、ディーナとフェリスはいつも通りの日常…ではなく変わった事もあった。


まずDina's hideoutに新しい住人が増えた。ナデシコと言う六属性全てに該当しない変異属性、爆破をもつ女性。

改めて彼女の紹介を聞いたディーナ。身長は低く、フェリスよりも少し高いぐらい。だが年齢は二十一歳、あの"最強のリンドウ"と同い年で立派に成人だった。


今まではほとんどがホテル生活、研究の資金は"リンドウ"の真似事をして依頼をこなして集めていた。だが知名度やそもそも"リンドウ"ではないために依頼は自分から受けにいかないとダメだった。それでも生活に困らない程度は稼いでいたらしいが。


ナデシコの研究は主に属性に関しての研究を進めていた。最も普通の属性の研究ではなく自分の変異属性について調べている。

他の属性よりもサンプルが全く存在していないためナデシコの天才の頭脳でも困難を極めていた。だが知識に貪欲のナデシコは自分の足で各地を回っていた事を話した。


その結果、変異属性は爆破以外にも存在している事が分かった。その変異属性の持ち主がどこにいるのかは未だに調査中ではあるが自分以外の変異属性を宿す人間と会えば研究はグッと進む。

ナデシコが次の目的は変異属性を探す事だと言った。変異属性は他にどんな属性があるのか、その種類を探る事にしていた。


だがディーナには自分が動く時は事務所にディーナが絶対にいる時にしか動かないと宣言した。拠点をDina's hideoutに置く事の条件はここに住まうフェリスの用心棒。ディーナが依頼に赴いている時にはフェリスを守るため離れられない。約束はキッチリと守ると言った。


現にナデシコが事務所に住んでからディーナが依頼に赴いた時はフェリスの面倒を見ていた。その証言者はフェリス自身だった。その影響かナデシコととても仲良くなっているフェリス。

だがどんどんと仲良くなる二人に少しジェラシーを抱いていたディーナ。何故かフェリスが取られたように感じているディーナはまた別の話。


そんなナデシコが来てから三週間程が経った頃、ある"リンドウ"がディーナに依頼を持ち込もうとしていた。


----------


ある日の昼過ぎ、ディーナはデスクに足をかけながら組んでいつもの体制で雑誌を読んでいた。

ナデシコはソファに座り幾つもの数式や数字が並ぶ紙をじっと見つめていた。自分で書いた数字を見ながら缶コーヒーを飲む。かれこれ三十分程紙を見続けるナデシコにさすがに気になり始めていたディーナは「さっきから何見てるの?」と、堪らず声をかけた。


声をかけられたナデシコはハッとなってディーナの方を向いて「あぁすまないねぇ。以前赴いた街の住人の属性の数とその属性を数字に直してみて、変異属性が生じる可能性を調べていたんだよ。結果から見ると約0.1%しか変異属性は発生しない。またこの数式を解いていけばもっと可能性は低くなる。効率的に見つけるのは少し骨が折れそうだねぇ」


ナデシコがにらめっこしていた数字に少し興味が湧いたディーナはデスクから足を降ろして「私にもちょっと見せて」と、言って手を差し出した。


「構わないが難解ではあると思うよ」ナデシコは紙をディーナに渡した。渡された紙を見たディーナは見た事の無い数式や謎が過ぎる数字の並び、各国の数字等もあり見た瞬間に頭がショートするほどだった。


「ごめん、何にも分からない…」頭をフル回転しても分からないためにすぐに頭が疲れてしまったディーナ。自然と紙を渡すようにナデシコに差し出していた。


ナデシコは紙を手に取り「まぁ無理もない。私が分かりやすい用に数字を並べているからねぇ。私以外にこれを解読出来るのなら天才と称してもいいだろう」また数字を見るかと思いきや紙をソファに置いた。


「フェリス君は二階でお昼寝かい?」ナデシコは辺りを見渡してフェリスがいないことを知った。

「ええ、最近は貴方に影響を受けたのかは分からないけど言葉の勉強をしてるの。日記を書き始めたのもあると思うけどね。それで朝から勉強してたらしくて、疲れて寝ちゃったのよ。子供だから寝ないといけないからね」

ナデシコの研究を近くで見て、自分も知識を付けたいと思ったフェリス。新聞の文字を読むがどうしても分からない文字があったりして内容が分からない事が多い。その時はディーナに教えてもらったりしていたがディーナが寝ている時は起こすのも悪いと思いそのまま分からないままにしていることもある。


「彼女は勤勉だねぇ。私も教えているがすぐにメモを取ったりして知識をつけている。君がフェリス君のために色々と勉強道具を買ってあげて、フェリス君は大切に扱っている。君からの贈り物が嬉しかったのだろう。君とフェリス君はとても想い合っているのがよく分かるよ」

ディーナが依頼をこなしている間、ナデシコはフェリスの用心棒と同時に先生として勉強を教えていることがある。

フェリスは楽しく勉強をしてナデシコに常に感謝の言葉を伝えているためナデシコも少し満更でも無い様子で教えていた。


「想い合ってる?」「君が"リンドウ"として仕事に赴く間ずっとフェリス君は君を心配しているんだ。君が帰ってくればすぐに君の元に駆け寄るだろう?君達の姿を見ると私も妬いてしまう事もあるよ」

ディーナが依頼から帰るとフェリスが喜んで、ディーナに駆け寄って今日の勉強の成果を伝える。それを聞いたディーナもフェリスを褒めて頭を撫でる。

自分の大好きな人に褒められて頭を撫でられる事がとてもモチベーションを高くして、さらに勉強を頑張るようになっていたフェリス。


「そっ…か。それは、嬉しいね」フェリスにとても想われているとナデシコの言葉に恥ずかしくなりながらも涙ぐむディーナ。


「だから君が私に嫉妬することはないんだよ。君から彼女を奪うつもりはないよ」ディーナは少し驚いくように体をビクッとなった。

「い、いやだな~私が嫉妬するわけ…」「バレバレだよ。私とフェリス君が戯れている時の君の視線はずっと私に向けているからねぇ」


ディーナは頬を膨らませ「別にフェリスが楽しかったらそれでいいし。ナデシコの場所が私だったらいいな~って思っただけだし」顔をそっぽ向けるディーナにナデシコはほくそ笑み「ふふっ君も可愛いところがあるんだねぇ」「うっさい」ディーナとナデシコも良好な関係を築いているのも分かる。


「そういえば"アフィシャル"の動きはどう?」話を変えて現時点での"アフィシャル"の動きを聞いた。

「目立った動きはしていないはずだ。元々神出鬼没の組織、一つの研究支部が無くなった所で何か動きを見せる事は無いだろう。だが、何かをする可能性は否定出来ない。引き続き警戒をする必要はある」

この数日間ディーナとナデシコは"アフィシャル"の襲撃に警戒していたが特にそういったことも起きずに依頼の日々を送っていた。研究以外に"アフィシャル"の情報を集めているナデシコだが警戒心の高くしっぽを出さない"アフィシャル"の情報は中々掴めずにいた。

第四支部の崩壊により混乱しているのか、これも全て計画通りなのか、依然として不明な箇所が多すぎる。


「まぁ何も事が起きていないのなら私達から動くのもちょっと危険ね。フェリスに何かあったらダメだから」ディーナは最優先はフェリスの安全、このまま動かないのであればわざわざこちらから動く必要もなかった。

「引き続き調査は進めるさ。何か分かったらすぐに言う」「ええ、お願い」


ディーナとナデシコは世間話を続けていると「ピンポーン」と、事務所のインターホンが鳴った。ディーナは事務所の扉に手をかけて開けるとそこには「ご無沙汰しています、ディーナさん」過去に何度かディーナと依頼をこなしたスイレン・メリアージュがいた。


突然の訪問に驚くディーナ。「スイレン?どうしたの急に」「今日はディーナさんに私から依頼を持ってきました」「スイレンの依頼?」まだ若手の二つ名ではあるが二つ名であることは変わりない。"リンドウ"としての実力は確かなスイレンがディーナに依頼を持ってくるのは少し疑問だった。


「とりあえず入って、詳しく聞かせてもらうから」「ではお邪魔します」スイレンを事務所の入れたディーナ。初めてディーナの事務所に来たスイレンは周りをキョロキョロと見渡した。


すると、見慣れぬ人がソファに座っていた事に驚き「えっ…どちら様ですか?」当たり前のようにいるため戸惑いを隠せずにいた。

「ほぅ、スイレン・メリアージュ。君の事は知っているさ、二つ名"遊宴の水演舞"水の属性を持ち優雅な舞のように"マリー"を斬る、君の属性も興味深いねぇ」ソファから立ち上がりじろじろとスイレンを見渡す。


「な、なんですか。いきなり人の体をみつめるなんて失礼ですよ」少し顔を赤く染めるスイレンに笑って「はははっ中々純粋だねぇ。安心したまえ、何もする気は無いさ」ナデシコはスイレンから離れて「申し遅れた、私はナデシコ・カミト。今はこの家に住まわせている人だよ」


「ナデシコさん?貴方は"リンドウ"ではないのですね。ディーナさん、どうしてこの方を事務所に?」「う~ん話せば少し長くなるんだけど…」


----------


「なるほど、住む家が無くなってしまいディーナさんが留守の間フェリスさんの用心棒としておられるのですね。それに変異属性とは、私も初めて聞きました。

ナデシコさんは御自身の属性をより詳しく知る研究をなさっているのですね。納得しました」

ディーナはスイレンには"アフィシャル"の事を伝えなかった。"アフィシャル"と言う組織は世間には知られておらず秘匿の存在。それは"マリー"を討伐する"リンドウ"も例外ではなくディーナもヒガン達から知らされてなければ今も分からない状態だった。

そのため下手にスイレンに知らせて公に晒される可能性も否定出来ない。世間に知れ渡れば"アフィシャル"も何をするか分からない。そのため"アフィシャル"の情報は徹底して他に渡る危険が無いようディーナ達は注意を払っていた。


「君の交友関係は広いねぇ。私も二つ名"リンドウ"とこんなにすぐ会えるとは思わなかったよ」二つ名を冠する"リンドウ"はひと握り、多忙の日々を送る二つ名"リンドウ"は会おうと思っても会える存在ではない。


「ナデシコさんの変異属性は爆破、まだ半信半疑ではありますがディーナさんがおっしゃるのであれば本当なのでしょう。また機会があれば目の当たりさせてください」属性が変異して新しい属性になるなんて聞いたことがないスイレンだが興味は湧いている。ナデシコの爆破は一度見てみたいと思っていた。


「そういえばフェリスさんはどこに?」「二階で寝てるよ。それよりもスイレンは私にどんな依頼を?貴方が手に負えないような"マリー"がいるの?」二つ名を冠してまだ日は浅いがそれでも一般的な"マリー"であれば討伐は容易のはず。それでもディーナの元に依頼を持ってくるのは、かなり強大な"マリー"がいるのではないかと思ったディーナは息を飲んだ。


「いえ、"マリー"のご依頼ですがそうではないのです」「どういうこと?」「私宛に一つの依頼が来たのです。それは、大国"グラト"からの救援要請です」

国の名前を聞いた二人は驚いた。「大国、グラトから救援要請…」「これはまた、大きな問題になりそうだねぇ」

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