復讐の終わりと崩壊の始まり
二人と別れた直後のクロカとスワイ。真ん中の通路を歩くクロカはずっと落ち着かないのか目をキョロキョロと見渡しながら歩く。
何かを気にしながら歩くクロカにスワイもさすがに気がつき「どうしたの、そんなにもここが気になる?"アフィシャル"の支部の一つ、緊張するのも分かるけどもっとリラックスして…」クロカは緊張して落ち着かないと思ったスワイは話しかけてある程度和らげようとした。
「そうじゃないの」だがクロカは緊張している訳ではなかった。「ここは、ウチがいた頃と何も変わっていない。そう思っていただけなの」過去に実験体にされたクロカは、"アフィシャル"の内部構造を知っている。何も変わっていないこの支部に過去の記憶が徐々に蘇ってきた。
「クロカちゃんここにいた?どういうことよ」"アフィシャル"にいたと言ったクロカに疑問を抱くスワイ。スワイに自分の過去を話そうとしたクロカ。
「ウチはここで……」蘇る実験の記憶。ヒガンとの楽しい記憶で埋めていただけだった過去がこの場にいるだけで掘り起こされ、火傷跡の傷が疼き始めて体内はどんどんと炎が包み込まれるような感覚に襲われる。
クロカはその場に座り込み息遣いも荒くなりギュッと胸を握った。部屋の中は暑くはないのに額からは汗が流れていた。
突然座り込んだクロカに「クロカちゃん!ご、ごめんなさい、何か辛い過去を思い出しちゃって!いいよ別に無理に言わなくても!!」慌てふためき謝罪した。
「大丈夫…大丈夫なの」クロカは流れる汗を腕で拭いて二度深呼吸をした後にゆっくりと立ち上がり「だからこそ、ウチが終わらせないといけないの。そのためにずっと頑張ってきたの。今日が、終わる前に、絶対に」全ての過去に決着をつけるためにクロカは進み始めた。
だがスワイは、どこか既視感を覚えていた。スワイを置いて進んでいくクロカの後ろ姿はある人と似ていると思っていた。クロカは自分が寄り添い進んでいくエーデルとクロカを重ね合わせていた。
「クロカちゃん。貴方のその歩みは本当に後悔しない?」口には出さなかったが、ただ少し思ってしまった。
置いていかれないようにスワイは翼を羽ばたかる。すると、クロカとスワイの目の前に複数人の"アフィシャル"の研究者達が前に立ちはだかった。白衣を着た研究者達はクロカを見た後に突然拍手をした。
意図が分からないスワイは「ちょちょ何よアンタ達は!この子に何かしたらウチが!」不気味に思うスワイは研究者達が近づいてこればすぐにクロカを連れて逃げる手筈を考えていた。
しかしクロカは研究者達を見た後は引きつった顔をして「なんの、真似なの?」軽蔑の目をするクロカに研究者の一人は「よく戻ってきてくれた、シラー様がこの先でお待ちだ。お前が逃げ出した時からあの人はずっと心配していたんだ。戻ってあげなさい」
「あの人が、ウチを?」心底信用出来ないクロカだが研究者は拍手を止めて振り返って「案内する。さあ早く」敵意の無い研究者達は先へ歩き始めた。
みえみえ過ぎる罠だと思ったスワイはクロカの前に飛び羽ばたかせて「クロカちゃんついて行っちゃダメ!こんなのどう考えても相手の思うつぼじゃない、エーデルやディーナちゃんが戻ってくるまでは…」
クロカは絶対について行ってしまうと感じたスワイは静止させようと説得するが「ごめん、ここの一番上の人にわざわざ会わせてくれるって言うのならウチは行くの。それにウチはあの人いや、あいつに会わなくちゃ」
スワイの説得も虚しく言われるがままにスワイを通り越して研究者について行くクロカ。
「ああもう!なんで皆ウチの言うことを聞かないかな!!」そう言ってクロカについて行くスワイ。「どうしてついてくるの?」「言われたからよ、ディーナちゃんに貴方を頼まれたからね。でも本当に危なくなったらどんな状況でも連れて行くから」
あくまでクロカを絶対に無事にディーナ達と合流する事がスワイに頼まれた事だった。そのためクロカを置いていくと言う選択はそもそも無かった。
危険になるかもしれないがそれでもついてくるスワイに少しだけ微笑んで「ありがとう」と、感謝を伝えた。
だがクロカは心の中は「やっと会える、会ってウチの手で、まだ見える悪夢を全部終わらせる」グツグツと煮えたぎる感情を抑え込んだままだった。
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しばらく歩くと一つの扉の前まで来たクロカ達。来た途端に研究者の一人が扉をノックして「シラー様、被検体クロカ・イリアを連れて参りました」被検体と聞いた瞬間にクロカは下唇を噛み締めた。「誰が被検体なの」小さく独り言を呟いた。
「入れ」返事が返ってくると研究者が扉を開けてクロカを誘導した。クロカとスワイは誘導されるがままに部屋に入った。
部屋は複数の白いベッドがある。だが全て血に塗れていた。怪しい機械や実験材料となるか分からないような液体、水につけて腐敗防止のためか分からないが"マリー"の手や足もある。
スワイは異常過ぎる空間に気分が悪くなり吐き気をもようしていた。クロカはこの場は慣れているのか何食わぬ顔で自分の目の前にいる人物に近づいていく。
部屋にいた女性は白衣に金髪の長髪をしており、クロカを目の当たりにするとニヤニヤと笑い始めた。
女性もクロカに近づいていき「クロカよ、会いたかったですよ。よくぞ戻ってきてくれましたね、私は怒りはしません。ほら、貴方の好きなクッキーも用意しますよ」女性はクロカに手をさし伸ばした。
その手をずっと見続けるクロカはしばらく見た後に「どうしてそんな事が出来るの?」「どうして…そんなの決まってるではありませんか、貴方の母だから、ですよ」
母と言う言葉を聞いたスワイは驚き「えぇ!絶対に嘘でしょ!!ウチには分かるわよ、その目は犠牲も何も厭わずにただ目的だったら子供だろうと利用するクズよ!!」
何か飛んでいる鳥がいるという認識だけだった女性は言葉を話したことにより見る目が変わり「へえ、面白いペットを飼っているわね。お話が出来る鳥ね、これはまた解剖が楽しみわね」分解される恐怖を感じるスワイ。
「だれがペットよ!アンタ達になんか捕まって…!」反論を言った後にやはりこの"アフィシャル"にいる研究者達は全員異常者だと感じクロカを連れて逃げようと思っていた時だった。
クロカのため息をつく声が聞こえた後に起こったのは、クロカの手に持つ鎌で女性の差し伸べている手を貫いた。
あまりの衝撃にその場にいた全員が何が起こったか一瞬分からなくなった。
手を貫いた鎌をすぐさま抜いた後に女性の腹部に回し蹴りを繰り出した。突然の事に対応も出来ない女性は腹部を蹴られて吹っ飛んだ。謎の薬液が入ったビーカーが置いてある棚にぶつかり棚に置いてある複数の薬液が地面に落ちた。
「ちょ、えぇ!クロカちゃん先手必勝過ぎるって!!」さっきまで話していた女性が攻撃され、スワイも戸惑っていた。
「お、お前!」研究者達は一斉に白衣に隠されていた銃を取り出し銃口を向けてクロカに発砲しようとした。だがクロカは鎌をあさっての方向にほおり投げた。
意図が分からない研究者達は気にせずに照準を合わせてクロカに撃とうとしたその瞬間にほおり投げた鎌は研究者達に向かっているのを気が付かず、研究者の体や脚を斬り一網打尽にした。
銃を落とし斬られた部分を押さえる者もいれば斬られた箇所が悪かったのか動かない研究者もいた。
研究者を斬った鎌はクロカの手に戻っていき鎌を掴んだクロカは「お前達はウチの属性に何も興味を持たなかった。その結果が今よ」そう言うと鎌を吹っ飛ばした女性に突き出して「シラー、ウチのお母さんはヒガンなの。お前はウチをただの実験道具にしか見えていないの。
ずっとこの時を待っていたの、ウチの手でお前を殺す。そしてヒガンと一緒に星座を見て、指で星座を縫って、全部全部忘れる!!」
この戦いが終わればまたヒガンと星を見れる、それだけで傷ついた心が浄化されていくのを感じた。この戦いでどれだけ傷つこうが、クロカは帰ってくればヒガンが待っている。それだけで良かった。だからこそ自分を実験体にした女性、シラーを自分の手で終止符を打とうとした。
クロカに吹っ飛ばされた女性は「フフっ、フフフッ…成長したのですね。自分の属性を分かってここまで扱うなんて、私も鼻が高いです。ですが…」立ち上がり白衣からメスのような刃物を複数個取り出した。突き刺された手は血を拭っただけで処置は何もしていない。
「やった事の取り返しはお仕置で返さないといけませんね。貴方のやった事は"アフィシャル"の貴重な人材を損失させた。貴方の後ろにいるのはもう使えない役立たず、後に実験する廃棄物に成り下がりました。
安心しなさい、殺しはしないわ。ただ、バタバタするその腕と脚を無くして、あの時の実験再開しましょう。今度はもっと強大な属性が待っていますよ。
"アフィシャル"第四支部、支部長シラー。貴方を捕らえ再び貢献しましょうか。あの日の再現のために」
狂気に満ちたその表情は笑顔だった。だがその笑顔は、決して娘に向ける母ではなくただ実験体が戻ってきて再び実験させようと妄想し結果を楽しみしている、人間とは思えない顔だった。
「何を言ってるのよコイツは」シラーの言っている言葉は本気だと感じていたスワイは一刻も早くこの場からクロカを連れて逃げようと考えいた。
だが「クロカちゃん、貴方のその目はしちゃいけない目なのよ。復讐を果たそうと憎しみに燃えている。それじゃあまるで、ウチと一緒にいるあの子みたいじゃない。あの子がもし同じ状況になったら多分クロカちゃんと同じ目をしちゃう。分かるのよウチには、その先に残る感情なんて…」
クロカとエーデルを重ね合わせた時、似ていると思った。ただ復讐を実行する、その一点だけを見続けるエーデル。それと同じくクロカは芽生えていた。このクズを絶対許さない覚悟と生かしてはいけない、復讐の心が。
「ただウチに他人の復讐を止める資格なんて無い。もしあったら今頃…」クロカとシラーの戦いを最後まで止めずに見届けることを決意した。
クロカは鎌をシラーに向けてほおり投げた。縦回転に進んでいく鎌に臆することは無いシラーは手に持つ数本のメスのような刃物を鎌に飛ばした。鎌に当たった刃物は鎌の勢いを落として軌道を変えた。
軌道を変えられシラーには当たらないと瞬時に判断したクロカは遠隔で鎌を操作して左に手を動かすと同時に鎌を左にカーブして、今度は右に動かすと鎌は右方向に回転しながらシラーに向かっていく。
さすがに軌道はこれ以上変えられないと考えたシラー。だが回転の勢いは投げた時よりも落ちているため避けるのは簡単だった。左から向かってくる鎌を注意もせずにクロカに向かって走り出した。
両手にはメスのような刃物を再度白衣から取り出しクロカに突き刺そうとしていた。
クロカはこちらに向かってくるシラーに「何も考えていないのね。ウチはお前が思うほど弱くないの!」遠隔で操る手を引っ張るような動作をした。
すると鎌はシラーに向かって猛スピードで向かってくる。後ろから勢いの増した鎌が来ていることに気がついたシラーは焦りを隠せずに「そんな、勢いを加速させるのが自在ですの!?」
クロカに向かっていた足を止めて振り返ってスピードが上がり避けるのは難しいため両手の刃物を突き出してなんとか食い止めようとするシラー。
だが全てクロカの策略だった。自分に背を向けるシラーに「ほら、そうやってウチからずっと目を背けるの」操作する手を上に上げる動作をした。すると鎌はシラーに当たる直前に宙に浮いた。
驚くシラーだが宙に浮いたまま進んでいく鎌の取っ手を掴んだのは飛んでいたクロカだった。クロカは落ちていく勢いのまま鎌を振り下ろした。
咄嗟に振り返って二つの刃物を顔の前に構えてなんとか鎌を受け止めるシラー。だが落ちていく勢いのクロカの鎌を受け止めきれない。刃物を折りそのままシラーの体を斬ったクロカ。
クロカからの一撃に血を吐くシラーはその場に膝をついた。「実験ばかりしている非力な腕力で、ウチの一撃を止められるはずないの。お前が思っているよりも、ウチは強くなってるの」シラーの見上げた先には自分を見下し本気で殺そうとしている、元実験体だった。
クロカの持つ鎌は決して軽い物ではない。それを自由自在にほおり投げて掴むには相当の力が必要。シラーの何も鍛えていない力でクロカの一撃を受け止めるわけがなかったのだ。これもヒガンとの特訓成果の一つである。
斬られた体の血は止まらずに治療も何もしなければ出血多量で死んでしまうシラー。だがこの状況でもシラーは笑った。
「フフフフフッ、これは良いですわ。これだけの実力を持ったのですね。全て私の実験のため、これであれば貴方なら耐えられますわね。ようやくこれを実戦出来ます」
まだ何かあるような言い方をするシラーに「何を言ってるの、これでお前もおしまいなの!」鎌を振り上げてトドメを刺そうとするクロカ。
だがシラーは白衣から注射器を取り出し、鎌を振り下ろされる前に首に注射器を刺した。
注射器を刺した瞬間、クロカにやられた手と体の傷が瞬時に治り振り下ろされる鎌の刃を素手で受け止めた。受け止められ鎌を引き抜こうとしたが、非力だったはずの腕力がクロカの力では一切動かない程の力を持ったシラー。
「どういうことなの、お前自分に何をしたの…?」力の正体は注射器だと確信していたクロカだが何をしたかは分からない。力をどれだけ込めてもピクリとも動かない鎌を必死に動かそうとする。
だが刃を持つシラーは刃にさらに力を込めた。そして、その圧力に耐えられなかった鎌の刃は砕け散ってしまった。
唖然となりクロカの唯一の武器が無くなってしまい、対抗手段がどこを探しても何も無い。持ち手から手を離し後ずさりしてシラーから距離を取るクロカ。
そして、シラーは全身の筋肉が膨張しクロカよりもふたまわりほど体が大きくなり、綺麗な顔立ちも獣のような牙が生え瞳孔も開ききった。腕の筋肉も肉眼で見えるだけで分かる、掴まれれば人間の骨なんて粉々に砕けてしまう。
その巨大になった存在はまるで、"マリー"のようだった。
目の前の人間が"マリー"となった事にクロカは青ざめ尻もちをついた。息遣いも荒くなり呼吸も上手く出来ない、目には溢れんばかりの恐怖に極まりきった涙が零れていた。例え鎌があったとしても化け物に成った人間を殺すなんて不可能だと、絶望に叩き落とされてしまった瞬間だった。
変異が終わったようなシラーは「素晴らしいですね、これが"マリー"の力。やはり私達はこの力を屈服させなければもったいない。どうかされましたかクロカ?私の姿が恐ろしいですか?安心してくださいね、その恐怖も何も感じない程、痛みを思い知らせてあげますから」
異形化した姿になったが知能はそのままのようで普通に会話も出来る。だが声帯が人間の物ではないのかエコーがかかっているような頭に響く声をしていた。
肥大化した足はまるで蛙のように平たくなってしまっていた。その足でクロカに近づいていくシラー。
「いや…来ないで……」恐怖には勝てないクロカはまだ尻もちをついたまま後ずさりをする。走ることも立ち上がることも、震えきった全身では出来ることではない。そこにいるのは、まだ運命を受け入れられないか弱い少女なのだ。
「クロカちゃん!」シラーの異形化には驚いていたがそれよりもクロカの安全を確保しなければいけないスワイはクロカを脚で掴もうとしたが、突然スワイに突風が吹き荒れた。
羽ばたかせていた羽の制御が効かなくなってしまったスワイは突風に飛ばされ壁に激突してしまった。
「スワイ……」「うん、いいです。この姿になっても属性が使えますね、素晴らしい。さて邪魔はいなくなりました。クロカよ、まずは動けないように…」シラーの属性が風の属性だと分かった。そこまで強力ではないが、鳥を一匹飛ばすには充分だった。
クロカはなんとか逃げようと扉に近づくが追いつかれてしまい、その巨大な手でクロカの小さな右腕を掴むだ。掴みながらクロカを持ち上げたシラーは手に力を入れるとクロカの右腕の骨が粉砕される音が聞こえた。
恐怖と痛みにより精神すらも崩壊しかけているクロカは悲鳴を上げた。壁に激突したスワイはまだ動けない。クロカの悲鳴は痛々しく、とても少女が出していい悲鳴ではない。「クロカちゃん…」
「痛い?痛いよね。楽になりたいですか?でしたら抵抗はやめて。もう痛みは感じないようになりますよ」シラーの問いかけに何も返さないクロカ。いや、返す気力も無かった。
「ウチは…結局、何も出来ないの…これで良いの。この化け物の狙いはウチ…ウチが捕まれば、ヒガンも皆も安全……もぅ、疲れたの…」全てを諦めシラーに連れていかれる事にした。どうしようもない、運命がそう定めたように、クロカは虚ろな目を閉じた。
「沈黙は肯定ですね。それではまず貴方の属性を取り除き……!」クロカを連れていこうとしたその時「パチンッ」誰かが指を鳴らした音が聞こえた瞬間、シラーの顔面が爆発した。まるで目の前でダイナマイトが爆発したような衝撃がシラーを襲った。
その衝撃でシラーはクロカを掴んでいる手を離し、クロカは地面に倒れ込んだ。シラーは顔を押さえ「これは、まさかっ!」誰がやったのかは大方の見当はついているようだ。
突然のことに全貌を見ていたスワイも驚きを隠せずにいた。「な、何よ、爆発なんて属性…」驚ているスワイの隣に立っていたのは一人の女性だった。
長く白い長髪の半分を三つ編みにして編み込み、紺色のコートを羽織った女性は再度指を鳴らすと、顔を押えているシラーの足元が爆発した。爆発すると巨大でも吹っ飛ぶ程の威力なのかクロカから強制的に離されてしまった。
爆発による火傷や衝撃で吹っ飛ばされた後に上手く立ち上がる事が出来ないシラーは両手を地面に着けたまま、指を鳴らした方向を向けた。
スワイの隣に立っていた女性は歩きだし倒れて動けないクロカの前に立った。クロカは微かに目を開け自分を助けてくれた女性の後ろ姿を見た。
「だれ…?」その女性はディーナでもエーデルでもなく、もちろんヒガンでもなく初めて見る女性だ。
すると、女性はため息を吐いて「はぁ…やはり君は脳も何も無い愚か者だな。"マリー"等の力に頼り切り人間の進化を諦めるなんて愚の骨頂。いや君はもう人間なんて大層な存在ではないな、"マリー"に成り下がった馬鹿だ」"マリー"と成ったシラーを見下し罵倒する女性。
「貴様、何をする!何故私の邪魔を!!」「君は未来有望な"リンドウ"を悪あがきのように手をかけようとした。勝敗はこの少女が君に致命傷を負わせた時点で決した、人間としても君は負けてるんだよ」勝負の一部始終を見ていた女性。
「だからこそ私は君の醜いその思考を終わらせようと思うんだ。そもそも"リンドウ"が来ているんだ、ここの"アフィシャル"支部も終わりだよ。君の最後の引導は私が渡そう、少女にやらせるには荷が重いだろう」
女性の言葉に頭に血が上るシラーは怒り狂い「貴様!言わせておけば、この力は見たことが無いでしょう。その発言は後悔に変わります、まずは貴様を黙らせましょうか!」
シラーはその巨体を立ち上がり女性に牙を向ける。
「ここでの生活はもういい。シラー君、君は"マリー"だ。私は"リンドウ"ではないが世界に仇なす存在となった君をほおっておける程私も愚かではない。私の人類にはあまり無い唯一性の属性を君にぶつけてあげるよ」




